接続者選抜戦、三日目。 陽は高く、空は抜けるように青かった。闘技場の上には雲ひとつなく、降り注ぐ光が観客席を埋める色とりどりの衣を鮮やかに照らし出している。――そして、ファンファーレ。 昨日までとは、明らかに音の厚みが違った。金管はひときわ高らかに鳴り、打楽器は腹の底へ震えを落とし込み、最後に長く伸びた一音が石壁へぶつかって幾重にも返ってくる。準決勝。その二文字が、音そのものに刻み込まれているようだった。民の喉はすでに熱を帯び、誰の胸にも、今日という場に立ち会える昂ぶりが満ちている。 「さぁさぁっ! 本日のお日柄はよろしいようでぇっ!!」 妙にふざけた第一声が、場の熱気を真っ二つに裂いた。実況席の男がマイクを両手で握り、にんまりと笑っているのが遠目にも分かる。 「今日は各ブロックの、じゅ・ん・け・っ・しょうだぁっ!! 熱量も上がってきた頃だろう! ――皆ぁ、準備はいいかぁっ!?」 返ってきたのは、ほとんど地鳴りだった。 観客席のあちこちから拳が突き上がり、歓声が何重にも折り重なって闘技場を満たしていく。石造りの柱がびりびりと震え、掲げられた旗が強く煽られたようにはためいた。熱はもう、昨日までの比ではない。 「けっこうっ!! いやぁ、それにしても――準決勝、あっという間だったなぁっ!!」 実況の声には、どこか惜しむような響きが混じる。 「残すところ、あと二日! 悔いのないように――目ぇをガン開いて、よぉっく見ていけよぉぉっ!!」 歓声が、さらに一段高く跳ねた。 「ってことで――今日の決闘はぁぁぁ……!!」 たっぷりと溜めた声が、闘技場の中央へ降りていく。 「研究所の、異端児ぃっ! ――シイナァァァァァァッ!!」 東の入場口から、黒いジャケット姿の男が静かに姿を見せた。 昨夜の律儀な佇まいとは、まるで別人だった。肩の線には張りがあり、歩幅には一分の狂いもない。一歩ごとに石畳を打つ靴音が、観客の歓声の隙間を縫って届く。彼は軽く手を挙げることもなく、ただ真っ直ぐに中央へ向かっていた。 「……異端児、とは心外だな」 ぽつりと落ちた声には、わずかに苦笑が滲んでいる。 その正面、西の入場口から歩み出たのは、銀髪に紅い瞳を宿した少女だった。エレンは肩をゆるく回しながら、面白そうに目を細める。 「お前――魔物との共存を
Last Updated : 2025-05-25 Read more