それぞれが一日を過ごし、翌朝。 一行は出立の準備を終え、夜の街の東出口に立っていた。 朝の光は、街の輪郭を薄く白ませている。夜にはあれほど濃く沈んでいた石畳も、今は淡い陽を受け、どこか別の場所のように見えた。 「さて、出立するぞ」 シイナが短く告げ、先頭に立って歩き出す。 その背へ、控えめな声がかかった。 「あの……」 「あっ! アンタら、無理すんなよ!」 グレンが振り返り、声を張る。 その奥に、住民たちの姿があった。何人も、何人も。陽の下に立つにはあまりに淡く、輪郭の透けた者たちが、東出口の手前に並んでいる。 誰もが穏やかな顔をしていた。 「あなた方はこの街の恩人ですゆえ、そうはいきません……」 「でも、辛いんじゃねぇのか?」 グレンの眉が寄る。 男はゆっくりと頷いた。朝日に晒された輪郭が、ほんのわずかに揺らぐ。 「ええ……。幽霊である我々にとって、陽の光は天敵です。ですが、また死ぬわけではございませんので……」 「出迎え、感謝します」 シイナが一歩前へ出た。 硬さのある声だったが、その響きはいつもより少しだけ柔らかい。 「ですが、我々はやるべきことをやったまでです。他の冒険者たちも言っていたでしょう。その時、力を持った俺たちがいた。それだけですから」 申し訳なさを抱えたままの住民たちへ、シイナの言葉が静かに置かれる。 気にするな、と。 そう言い切る代わりに、彼は淡々と事実だけを差し出した。 「ありがとうございます。では、私たちはここで、あなた方の来訪をまたお待ちしております……」 (幽霊にとって、陽の光は苦しいはずなのに……) エレナの視線が、住民たちの顔を順に追った。 誰も、痛みに顔を歪めてはいない。透けた身体で朝の光を受けながら、それでも彼らは、旅立つ一行を見送ろうとしていた。 「皆さん、ありがとうございます」 エレナが深く頭を下げる。 その時、男がふと思い出したように口を開いた。 「そういえば……」 一行の足が止まる。 「皆さんのお仲間に、銀髪の女性はおりませんでしたかな……?」 沈黙。 エレナたちは互いに顔を見合わせた。 やがて、視線がひとつに集まる。エレナへ。 「もしかして……エレンのことかもしれません。彼女がどうかしましたか?」 「
Last Updated : 2025-08-05 Read more