紬は承一の携帯画面を覗き込んだ。それは、陸がSNSにアップした投稿だった。九枚の投稿写真には、ある高級クラブでの華やかな集まりが映し出されている。美酒とシャンパン、和気藹々とした空気。最後の一枚、その隅の方に、慎が悠然と椅子に座っていた。その隣には寧音が寄り添い、楽しげに彼と語らっている。二人の顔には柔らかな笑みが浮かび、互いを見つめ合っていた。それは、誰もが見惚れるほど「絵になる」光景だった。そして、陸の添えたキャプションが追い打ちをかける。【良き日にはシャンパンを開けるべきだ!太っ腹な代表に感謝!】紬の瞳に動揺の色はなかった。だが、笑美が激しくテーブルを叩いた。「どういうことだよ!? 彼ら、お祝いのつもり!?」それはまるで、離婚手続きの完了を物語っているかのようだった。手続きをしたその日の夜に、慎はパーティーを開いたのだ。「長谷川慎と園部寧音……本当に、仲睦まじいことだな」承一も眉をひそめ、冷笑を浮かべた。「正式に迎え入れるための、お披露目でもしているのか?」「……三年間も連れ添った夫婦なのよ。離婚を悲しめとは言わないけれど、もう少しデリカシーがないのか?終わった直後にパーティーだなんて、紬の気持ちをこれっぽっちも考えてない証拠だよ。人でなしにも程がある!」笑美は怒りで顔を真っ赤に染め、肩を震わせた。こんな仕打ち、誰が平静でいられるだろう。紬の優しさに付け込みすぎている。そう憤りながら彼女が紬を振り返ると、そこには何の感情の起伏も見せない、いつもの紬がいた。彼女はただ淡々と画面を一瞥しただけで視線を逸らし、まるで赤の他人の出来事のように見守っていた。「……それは、彼らの自由よ」彼女は箸を置いた。「もう、私には関係のないこと」笑美は安堵したが、それでも収まりがつかない様子で不満を漏らした。「でも、やっぱり酷すぎるけど……」承一がテーブルを叩き、眉を上げて尋ねた。「手続きは済んだんだ。もう彼らに義理を通す必要なんてないだろう。園部が『正式な恋人』として祝福されるのを、黙って指をくわえて見ているのか?いっそ世間にぶちまけてやればいい。彼女が不倫をして略奪したんだと。離婚した今、長谷川に何ができる?」紬は少しの間を置いて、首を振った。「あなたが思いつくようなこ
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