** こんなに切羽詰った気持ちでラブホテルに入ったのは、学生のとき以来かもしれないと、ベッドの傍らに立った和彦は室内を見回す。 渋滞に巻き込まれながら、とにかく一刻も早く二人きりになれる場所を探すとなると、取れる手段は限られている。シティーホテルを見つけるより先に、たまたま空室のラブホテルが目に入り、車を進めていた。 普段であれば、自分たちが同性同士であることや、立場のこともあり、人目が気になってこんな大胆な行動は取らないだろう。だが、燃え上がった欲望は、なりふり構わず二人を行為へと駆り立てた。 人と会わなくて済むガレージ式の部屋だからこそ、ここまで大胆になれたのかもしれないが、と和彦はひっそりと苦笑を洩らす。 「――先生、何か飲むか?」 三田村に声をかけられて振り返る。ネクタイを解いた三田村に向けて首を横に振ると、次の瞬間には、やや乱暴にベッドに押し倒されていた。 いきなりスラックスのベルトを外され、下肢を剥かれる。その間に和彦も、自分が羽織っているジャケットの前を開き、三田村に脱がせてもらった。 「すまない、こんな場所で……」 「車の中で、というわけにもいかないだろ。ぼくの部屋となると、もっとダメだ」 和彦がちらりと笑いかけると、三田村の手が頬にかかり、車の中ではできなかった濃厚な口づけをじっくりと味わう。体に触れられたことがありながら、三田村と唇を重ねたのは今日が初めてだった。だからこそ夢中になる。 舌を絡ませながら、互いの唾液の味を覚える。口腔を舌で舐め回され、感じる部分を探り当てられて、涙ぐむほど反応してしまう。 三田村の愛撫は丹念で、優しかった。和彦の肌に痕跡を残さないよう配慮しているのがわかり、着ているTシャツを脱がされながら胸元に唇が這わされ、たまらず和彦は三田村の頭を抱き締める。 和彦の意図がわかったのか、ようやく三田村がきつく肌を吸い上げ、ちくりと微かな痛みが走る。そうやって肌に、鮮やかな鬱血の跡を残されていく。 硬く凝った胸の突起を吸い上げられ吐息をこぼすと、誘われたように三田村が顔を上げ、唇を触れ合わせるだけのキスを繰り返す。 このまま穏やかな愛
最終更新日 : 2025-11-14 続きを読む