わびしい造りに見せかけて、実は何重もの織りと魔法で強化されたテントの布が、あっさりと切り裂かれた。「ななな、な?」「俺の大事なみんなに手ぇ出してくれるとは……」 次の瞬間、吹き込む暴風。「いい覚悟してんじゃねーか嘘つかないプセマさんよぉっ!」 飛び込んできたのは、脚。 鋭く蹴りつけられ、貧弱なノームの身体は吹っ飛んだ。 その間にも暴風は秘薬の鍋をひっくり返して蒸発させ、その薬効を遠くに運んでしまっている。「大丈夫か、サーラ」 軽く頬を叩かれ、覚醒したサーラが叫んだ。「ベガ!」 ケンタウロスの草原で別れたベガが、そこにいた。 ◇ ◇ ◇ ◇ 俺は、スシオからプセマに関することを聞いた。 プセマはノームの魔法使いで魔法を売る行商人なのは、この街の皆が知っている。 そして、スラムの人間などを捕えては何処かに連れて行くことも知っている。 ただ、プセマが持ち帰る食糧や魔法の恩恵にあずかっている街民は、スラムの人間や余所者が被害者の間ならと目を背けていた。 スシオは、プセマに掴まっていたことがある。 何かの実験を受けて、逃げてきたはいいが、自分の身体に何が埋まっているか分からず、スラムに留まるしかなかった。 そして、プセマの被害者が増えないように見張り、プセマが実験体として執着する若い女ばかりの行商人……俺たちが来たのを見て、絶対にプセマが手を出すと思い、しかしプセマの恩恵を受ける街民がその妨害を知れば最悪殺される可能性もあると、俺たちの周りにいる人が消えるのを待っていたけど、人が消えたら消えたで近付きようがなく、俺が離れたのを見て声をかけてきた、のだそうだ。 本能的に、それは真実だと思った。 ノームは嘘を吐けないと【鑑定】に出ていた。 だけど、「本当を言わない」ことは可能だとも。 仲間たちが連れ去られたと分かり、心話でもサーラに繋がらないと知った俺は、シャーナを呼んだ。 シャーナとは心話は無事に繋がり、「それならわたくしより頼れる神子がいらっしゃるのでは?」と答えてくれて、それでやっとベガの存在を思い出した。 目を閉じたり開いたりしている俺を見上げていたスシオに、この街で人目につかない、風の吹く場所を知らないかと聞いて、立入禁止だけどスシオが隠し入り口を知っている崖に案内してもらって、そこで
Mehr lesen