シャーナは俺がそんなことをぼんやり考えている間もせっせと働いている。俺が【増加】した体を拭く布を大量に用意し、服の山をきちんと一人分ずつに区別して(多分誰もこれが自分たちの着ていたのと同一とは信じないだろ)、時々女性風呂の方に見に行って「頭がぼんやりしないうちに出てきてくださいねー」と声をかけている。多分、この世界で初めてお湯に入ってのぼせた経験のあるシャーナだからこその心遣いなので、俺も見習って男風呂に「頭に血が回る前にでてこいよー」と声をかける。 少しして、ほっこほこになった綺麗な人の集団が現れた。「こんなきれいな服を着られるなんて……」「あのお湯に浸ると言うのはこんなに素晴らしいものなのか……」「実はおれたち、もう死ぬ直前で、走馬灯でこれを見ているのかなあ……」 スシオのツンツンに立っていた髪もへにゃりと垂れて、なんか大人しそうなイメージ。「あの気持ちのいい湯に俺たちなんか入れてよかったのか? かなり湯が汚れてたぞ?」「大丈夫、源泉かけ流しだから」「ゲンセンカケナガシ……?」「湧いてくるお湯をそのまま引いてきてそのまま川に戻してるだけだから。お湯は常に入れ替わっているし掃除する人もいるから」「って、さっき、湯の方に行った……?」「あ、シャーナ、もう始めてんのか」「それダメだって俺も手伝う! 俺たちが汚したんだから!」「あ、あたしたちも手伝います! 汚しちゃったし……!」 それまで汚いの代名詞みたいだった元スラム住人たちは、綺麗になって初めて自分たちがどれだけ風呂を汚したかに気付いたんだろう、慌ててシャーナの後について入って行って、シャーナの号令の下風呂掃除に勤しむ。 善きかな。 清潔な服に身を包み、風呂掃除を終えた人々は、礼拝堂に集まった。「俺たちに仕事と飯を与えてくれるって本当か?」「本当だ」「あんた一体……何者なんだ……?」 スシオの恐る恐るの声に、言っていいものかちょっと悩み。「ん~……生物を助けることが仕事」「何だそれ」「もしや、とは思うのですが……」 スラムの長老が恐る恐る口を開いた。「まさか、貴方様は……生神様、では……?」「生神って、じいさん、そんなのいるわけないだろ」「原初の神殿と言えば大陸中央にあると言います。ケファルからここまでこれだけの人数を【転移】させるためには、神系魔法の使い手
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