บททั้งหมดของ 白い恋の結晶~キミへと続く足跡: บทที่ 71 - บทที่ 80

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第71話

グッと腰を折って、あたしの顔を覗き込んできた柊。あたしはドクンっと心臓を持っていかれ、体が固まってしまった。「変……かな?」緊張で声もかすれ、瞬きの回数が多くなる。長い階段の向こう側では、賑やかな音楽と騒がしい声が聞こえて来る。和風の音楽に、あたしの早鐘を打つ鼓動がまるで和太鼓のように重なった。あたしが遠慮がちに柊を見上げあると、彼は夏の日暮れよりも柔らかい微笑むを見せてくれた。「すごく似合ってる」ボンっと、顔に火がついたかのように急に熱くなった。あたしは恥ずかしさをごまかすために、頬に空気を溜めて膨らませ、柊から目を逸らす。「はいはい、みんな揃ったところで早く行きますよ」あたしと柊の会話を聞いていたマキが肩をすくめて言い、先に階段を上っていく。ハルはしばらくあたしをジーッと見て、その後何も言うことなくマキの後について階段を上っていった。取り残されたあたし達は、ふたりで微笑みあって階段を上る。あたしの住む町にひとつしかない神社。そんなに大きな神社ではないけれど、夏になればたくさんの人で賑わうんだ。小さな子供からお年寄りまで、殆どが馴染みのある顔ぶれで、とても落ち着く夏祭り。境内まで続く石造りの道の両はしに、多くの屋台が並んでいる。わたあめの甘い匂い、イカの焼けた香ばしい匂い、そして、色んなゲームで遊ぶ子供たちの笑い声。音楽と共にガヤガヤ楽しむ声を聞いているだけで、心もお祭りモードだ。「篠原、足痛くない?」浴衣のせいで狭い歩幅と、下駄の慣れないあたしの歩き方を見て、ハルが心配そうに聞いてきた。「ああ、うん。平気だよ。ちょっと歩きにくいくらい」あたしが言うと、ハルは微笑んで頷いてマキと屋台を見に行った。「柊、あたし達も何かで遊ぶ?」あたしの少し後ろからついてくる柊を振り返り聞く。柊は「う~ん」と屋台を見ながら答え、そしてあたしを見て口角を引いた。
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第72話

「懐かしいな」柊が言った瞬間、あの頃の記憶がフラッシュバックした。まだ、付き合う前だった。友達とここの祭りに来ていたら、たまたま柊のグループと会い、一緒に祭りを楽しんだんだっけ。ただ少し興味があって、柊を遠くから眺めていた頃だ。話したこともなければ、あたしなんて彼の眼中にないものだと思っていた。柊はあの頃からモテてたから、女の子も引き連れているんだと思ってたけど、グループにいたのは男子のみ。それが少し嬉しかったのを覚えている。あの時は何度か目が合っただけで、大して会話はしなかった。彼が得意そうに射的をする横顔を、ただ眺めていたっけ。狙いを定め真っ直ぐ前を見る眼差しが、好奇心に溢れキラキラしていたけれど、とても真剣で、彼のことを好きなのかもしれないという気持ちに火が付いたんだ。「あ、射的。またやる?」柊が、子供たちが群がる射的の屋台を指差して言った。“またやる?”あたしの中にある記憶と、彼の中にある記憶が一致して嬉しくて細胞がざわついた。あたしが大きく頷くと、柊はジーンズの後ろポケットから財布を取り出しおじさんにお金を渡した。「どれを取るかな~」柊は銃を構え、片目を閉じて狙いを定める。あたしは、あの頃と同じように柊の横顔を見つめる。身長が伸びた柊は腰を折っているし、あの頃より銃が小さく見えた。腕の筋肉の筋が浮かび上がり、カッコよくてドキドキが止まらない。射的の景品に何があるかなんて見てる暇はなかった。ずっと、狙い定めに集中する柊の横顔を眺める。射的のコルクは5つ。なかなか的に当たらないらしく、柊はとても真剣な表情だった。この、遊びに集中する柊の横顔を見ているだけで幸せだ。残りのコルクは一つ。最後のコルクを手に取り、一度あたしを見下ろす。「これにかける」眉を垂らしながら笑う柊に、思わず頬が緩んでしまう。柊は精神を統一するように大きく息を吸い、また狙いを定めた。慎重に的を絞り、引き金をゆっくり引く。そして……。
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第73話

カン! と、軽い音の後に、それが下に落ちる音が聞こえた。おじさんが柊にそれを手渡しし、屋台から離れてからあたしに取れたものを差し出す。「はい、どうぞ」柊の手に握られていたもの。それは……。「……指輪」紫色の花のついた、プラスチックの指輪だった。「何を取ろうか迷ったんだけどさ」柊が肩をすくめていう。「あの頃、指輪が欲しいって言ってただろ?」「……覚えてたの?」あたしがポカンと口を開けて聞くと、柊は頷きながら微笑んだ。”あ、え~と、篠原さんだっけ? 何が欲しい?““え? あたし? 取ってくれるの?”“うん!!”“じゃあね、えっと……あの、指輪!!”「あの頃は失敗して取ってやれなかったから」嬉しくて嬉しくて、紫色の指輪を手にして泣きそうだった。屋台の提灯の淡い光に照らされた柊の顔が、普段とは違う表情を見せてくれて、大人の男性の色気を感じた。あたしは指輪を右薬指につけ、提灯の灯にかざして見る。その時ちょうど、ハルとマキも合流してきてあたしの指輪を見て冷やかしてきた。「篠原! 俺もなんか取ってやるよ! 何がいい? 金魚?」ハルが射的を成功したのを知って、ハルが対抗心を燃やす。「金魚? 取れるの?」あたしがハルに苦笑いを向けると、一層ムキになり、金魚すくいの屋台に走って行った。あたしは元気なハルを見て、苦笑しながら柊を見上げる。柊は肩をすくめ顎でハルを差し、3人でハルのあとを追った。
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第74話

ハルが金魚すくいに集中している。金魚が泳げるように水を張った四角い箱の中をジーッと眺め、ポイが破けないようにタイミングを見計らっていた。甚平を着てしゃがみ込んでいるから、なんだか子供のように見えて可愛い。「篠原、見とけよ!! 俺が絶対金魚とってやるからな」金魚を眺めながら、ハルが言い、あたし達は3人で顔を見合い肩をすくめる。だけど結局……。「あ~っ!! くそ!! なんで取れないんだよ!!」何度か挑戦したけど、すぐにポイが破け金魚を取ることは出来なかった。ハルは残念そうに肩を落とし、大げさに落ち込んでいる。金魚すくいくらいで落ち込むなんて……。本当に子供みたい。「あ~あ、俺カッコわる」ハルがガシガシと頭をかく。「金魚すくいくらいで何ムキになってるの? 取れなかったからって別にカッコ悪くなんかないでしょ」あたしが言うと、ハルはキッとあたしを睨むように目を細めてきた。「アホ、バカ、鈍感」まるで小学生のような言葉。「アホ? バカ? 鈍感~?」あたしもまた、小学生のようにムッとなって睨み返す。「鈍感ってなによ!! あたしは別にカッコ悪くないよってちゃんと言ったじゃん!! それのどこが鈍感なのよ!!」「それが鈍感だって言ってんだよ!!」「はぁ!? 意味わかんないんだけど!!」「あっそ。じゃ一生鈍感のままでいろよ!! もう金魚取ってやんね~」ハルが顎を突き出しベーっと舌を出した、その時。ヒュ~~~バァァァァン!!!!!夏の夜空に大きな音が響き渡り、キラキラと輝く美しい花が咲き誇った。あたし達は喧嘩を中断して、4人で目を見合わせる。そしてすぐに花火のよく見える場所まで走り、一緒に空を見上げた。境内の裏にある、木々のない場所から見上げる花火。ほとんどの人が境内の前から花火を見上げているから、裏のここにはあまり人がいなくてあたし達だけの特等席のよう。夏の楽しみと言ったら、やっぱり花火。
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第75話

様々な形や色の花火が夜空にあがり、空を見上げる人々の楽しそうな顔を照らし出す。あたしの隣には、大好きな柊。こうやって、同じ花火を見上げるのは中2以来だね。赤や緑や黄色……。輝く夜空を見上げる柊の横顔が虹色に光り、更にあたしの目にはフィルターがかかっているかのように普段の倍以上柊がかっこよく見えた。せっかくの夏の風物詩を見たいのに、それよりも彼の横顔の方が気になる。柊……好きだよ。とてもとても、好きだよ。この次々と弾ける花火のように、あたしの口からも“好きだよ”という言葉が弾けでたらいいのになって思う。今はこの言葉を飲み込むことしかできないけれど、いつか必ず好きだよって、伝えたい。あたしは柊の横顔から夜空に視線を移した。可愛い形の花火がたくさんあがり、たくさんの人々の記憶に刻まれていく。花火の美しさは本当に一瞬だけれど、今日、この空を見上げた人々の思い出に残る。4人で見上げた美しい夜空が、永遠に思い出として残ればいいな。柊と見上げた今日の空は、あたしにとって、最高の宝物だ。ふと、視線を感じて隣を見上げる。美しい花火に照らされた柊のキラキラの瞳が、あたしを見ていた。柊の瞳に捕まって身動きが取れない。次々と花火が打ち上げられる中、しばらくあたし達は見つめ合っていた。柊がなにを思っているのかはわからない。だけど、この瞬間がとても幸せで、花火が夜空で弾けるたびに、あたしの気持ちも大きく弾けた。好き、好き、好き。伝えられないけれど、あたしの気持ちを代わりに伝えてくれるみたいに、花火が大きく花咲く。恋の花火。あたしの気持ち。夜空で上がった大きな花火が、柊に注がれますように。あたしの、“好き”だという気持ちも込めて。
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第76話

毎年あっという間に過ぎる夏休みだけれど、今年は超高速で過ぎていった。結構バイトに入っていたからだと思う。夏休みだけのバイトだったけれど、毎日のように入っていたから財布の中はホカホカだ。これで1月の柊の誕生日には、少しいいものがプレゼントできる。宿題もマキに手伝ってもらいハイスピードで終わらせ、また、柊に毎日会える2学期が始まった。2学期最初の行事は、文化祭だ。ウチの高校は文化祭に一番力を入れていて、10月にある文化祭のために夏休み明けの9月から準備を始める。あたし達のクラスは演劇。これは、担任の強い要望で決まったんだ。あたしは、喫茶店とかお化け屋敷とか、もっと面白そうなものがよかったんだけどな……。シナリオも先生がオリジナルで考えてきたらしく、ロミオとジュリエットに似た作品だった。「演劇のヒロインとヒーローを決めたいと思います」文化委員の男女ふたりが黒板の前に出て、主役決めが始まる。夏休みが明けたばかりのクラスメイトのテンションは高く、みんな演劇は嫌だと言いながらも主役決めになるとなぜか張り切っていた。それは多分……。ヒロインとヒーロにはキスシーンがあるから。好きな人とふたりで演じたい。そう思っている人もいると思う。もし、ヒーローが柊だったらどうする?あたしは脇役で、舞台の上でキスをするふたりを見なきゃいけないんだよ?耐えられる?柊がヒーローになったら、あたしは文化祭の日は仮病でも使って休もうかな……。「ヒロインとヒーローはくじ引きで決めたいと思います」文化委員が言うと、みんなから様々な声が上がった。賛成する人。嫌だと悶える人。推薦がいいと訴える人。あたしは……。
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第77話

くじ引きでいいと思う。だって、推薦だったら、柊に票が集まるに決まってるじゃん!!そしてそれを狙うかのように、女子がヒロインになりたいと急に群がるんだから。そんなの目に見えてる。それよりは、くじ引きの方が諦めがつくし。廊下側の席から順に、教卓の上に置かれた箱の中から、クジを引きみんな恐る恐る引いていく。男子と女子で箱が分かれていた。その紙には、ヒロインとヒーロー以外にも他の役割が書かれていて「俺、大道具~」だの「あたし、家来役~」だの、紙を広げて騒いでいた。「え……俺、ヒロインに仕える執事役なんだけど」「あたし、ヒーロー家のメイド……」クジを引いたハルとマキがお互い目を見合わせ苦笑いする。「何だよ!! せっかくなら目立ちたいのに執事役って!!」ハルが教卓の前で地団駄を踏むと、ドッと笑いが起こった。「ハルは執事役っていうより、なんか小鳥をたくさん飛ばしたりとか紙吹雪を落としたりとか黒子役的なのが似合ってるのにね」あたしがクジの入っている箱に手を入れながら言うと、更にクラスメイト達が笑い、ハルは悔しそうにギシギシと奥歯をすりあわせていた。あたしはハルに冗談を言いながらも、内心はドキドキ。あたしの引いたクジには一体何が書かれているのか、緊張して紙を開く手が震えてしまった。どうしよう……。今開ける……?それとも、柊が開けてからにする……?あたしは、紙を開くフリをしながらチラリと柊に目を向けた。柊はとてもクールに箱の中に手を入れ、誰とも戯れることなくひとりで紙を開いていた。ド、ド、ド、ド、ド、ド。口から出てきそな心臓を、つばと一緒にゴクリと飲み込む。「あ……俺、ヒーロー」柊がボソリと呟き、自分で引いたクジを文化委員に渡していた。
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第78話

ひ、ヒーロー。柊が、ヒーロー……。マジで……。クジを引いても、やっぱりヒーローは柊だという運命なんだ……。はぁ……。あとは、ヒロインが決まるのを待つだけか……。「え……ユキ、あんたヒロインじゃん」「は?」突然、隣からマキがあたしの紙を覗き込んできて、あたしより先に見ていた。マキの声に、女子たちがざわつく。文化委員に紙を渡した柊もあたしの紙を覗き込み、口角を柔らかく引く。「なんだ。ヒロインが雪羽なら気が楽だ」そう言って、あたしに最高の笑顔を見せてくれる。ドッキンと、心臓が浮いたよう気がした。あたしが、ヒロイン?本当に!?目を見開いたまま、紙をよく見てみる。確かに、そこには『ヒロイン』と書かれているけど……。え!?待って!!てことは、あたしと柊がキスをするってこと!?柊と他の人とのキスシーンを見なくて済んだけど、まさか自分がすることになるなんて……。急に暑くなって夏服のシャツの胸元を仰ぐと、ハルがわざとらしく咳払いをし、自分の席についていた。文化祭の役割が決まった翌日、早速劇の練習が始まった。部活がある人以外は、放課後残って教室でセリフ合わせ。あたしと柊は、まず衣装の確認からということで、今ふたりで演劇部の部室に向かっている。去年、似たような劇をした先輩達がいたらしく、その衣装がまだ使えるか見てきてと先生に言われたんだ。もし破けたりしているところがあれば、修理が必要だからと。職員室で借りてきた鍵でドアを開け、なぜかこっそり中を覗き込む。「なんで、そんな怯えたように覗き込んでるの?」あたしの行動を見て、柊が苦笑いする。「あ、いや、なんか、ちょっと緊張して」あたしは顔を歪めて、こめかみをポリポリかく。「緊張? う~ん、言われてみれば少し緊張するかもね。俺、演劇部の部室とか初めて入ったし」そう言って、柊が先に中に入っていく。そういう緊張もあるけど、あたしはまた別な意味で緊張してるんだよ。
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第79話

演劇部の部室は少し狭い。中央に長机がひとつ置いてあり、両はしにロッカーがあるのでそれだけで部屋がいっぱいだ。それなのに、たくさんの種類の衣装やダンボールが積み重ねられているので、体を横にして歩かないと人が通れないくらいの狭さ。こんな狭い部屋で柊とふたりっきりだと思ったら、緊張してよく衣装を確認出来ないかもしれない。ごめんなさい、先生……。一歩、部室の中に足を進めると、少し埃っぽい匂いがした。ダンボールの匂い、古い衣装の匂い、絨毯の毛の匂い。嫌な匂いではなかったけれど、なんだか不思議な気持ちになる。部屋は窓が締め切られているので、とにかく暑かった。まだ何もしていないのに、肌がベタつく。「どれだ?」柊が、床に積み重ねられているダンボールをひとつひとつ開けて確認している。あたしは緊張で震える鼓動を隠そうと、とにかくラックに下がっている衣装を見ていった。「先生は王子と姫の衣装が入ってる箱だって言ってたよな?」柊に言われて、ヒヤリとする。「あ、ああ、そうそう!! 箱って言ってたよね? なのにあたしラック見てたし……。ハハハ……。あたし、バカだ……」極度の緊張で、もう自分がなにを言っているのか、どんな行動を取っているのか、わけがわからない。ロボットのように体をギシギシ動かしていると、柊が鼻で笑ったのが聞こえた。集中できない頭でただダンボールの蓋を開けながら柊に目を向ける。すると柊は、眉をハの字に垂らして困ったように微笑みながらあたしを見ていた。「落ち着かなくなるとそうやって早口になってバタバタ動き回る癖、変わってないな」ドッキン……。柊の言葉に、心臓を掴まれた。「あの頃も、俺から目を逸らして早口で喋ってたもんな」懐かしむような、穏やかな口調。柔らかく目尻を垂らして、口角を引いている。あの頃より大人になった表情。あの頃は、ただ無邪気な笑顔だったのに、今では微笑みひとつであたしの心を幸せでいっぱいにしてくれる。柊の後ろにある窓から暖かな夕日が差し込み、彼の微笑みを何倍も優しく見せてくれる。
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第80話

胸がギューッと締め付けられた。今すぐに、抱きつきたい。誰も見ていないこの部屋で、まだ柊のことが好きだと伝えてなんの躊躇いもなく抱きつけたらいいのに。あの微笑みは、今あたしにだけ向けてくれてる。とても幸せなことなのに、抱きつくことができないなんて……。あたしは涙が出そうになって、唇を噛み締めた。どうしたらいいんだろう……。いつもこうだ。ウジウジ悩んで、ひとつも行動に起こせない。気づけばいつも手遅れで……。今はこうやって手を伸ばせば柊がいるのに、その手を伸ばすことが出来ない……。あたしは、柊に伸ばしたくて震える右手できつく拳を握り、柊から目を逸らした。「あ、暑いよね!! 窓!! 窓開けようよ!! ってか、部室に入ってすぐ開けるべきなのに、何やってるんだろうね」あたしはハハハと苦笑いをしながら、素早く窓を開けようとした。泣きそうな表情を見られないように、できるだけ柊から顔を背ける。狭い部屋の中で人がふたり通るには少し困難で、あたしは柊の隣を体を横にしてすり抜けた。その時……。「きゃっ!!」足元にあったダンボールに足が躓き、前のめりになった。「雪羽!!」柊が咄嗟にあたしに手を伸ばし支えてくれようとしたけど、部屋が狭すぎて、お互いにバランスを取ることが出来ない。ガタタタンッ!!!!あたしの体重を支えきれなかった柊と、大胆に転んでしまったあたしは、絨毯の上に大きな音を立ててふたりで落ちた。本当に、高い位置から落ちたみたいな衝撃だった。ふたりが転んだ衝撃でダンボールが崩れる音も聞こえ、あたしはギュッと閉じていた目を恐る恐る開ける。打ち付けた背中や肘が痛い。だけど、すぐ目の前にあった柊の顔を見て、その痛みはすぐにどこかに吹っ飛んだ。あたしの上に覆いかぶさるようにして倒れている柊。
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