関係の深さで言えば、浩平と承也が一番近い。けれど省之介も、幼い頃から一緒に育ってきた仲だ。浩平には、省之介があそこまで苦しんでいるのを黙って見ていることなどできなかった。万が一、本当に過労で倒れでもしたらどうするのか。浩平は二人の間で気を揉み、胃が痛くなる思いだった。いったい何の因果で、こんな役回りをしなければならないのか。「俺が言いたいのはさ、厳明さんは自業自得だってことだ。あの人は痛い目を見るべきだし、叩かれて当然だ。でも省之介は悪くない……いや、悪くないわけじゃないな。莉奈を好きになったのはまずかった。だけど、あいつはそこまで度を越したことはしてないだろ」浩平はそこまで言い、少しは承也の顔色が和らぐことを期待した。だが、言う前の承也はただ顔を沈ませていただけだったが、言い終えたあとには、陰鬱という言葉が似合うほど冷えきっていた。どこで間違えたのか。承也は無感情に言った。「神崎厳明の苦しみは、これからだ。神崎家のことは、俺には関係ない」「お前な……」浩平は舌打ちしかけた。だが、そこで止まる。待てよ。浩平は息を吸い、承也の言葉を頭の中で反芻した。――神崎家のことは、俺には関係ない。つまり、承也が狙っているのは厳明だけだ。神崎家そのものがどうなろうと、承也には関係ない。ならば、厳明の件に触れさえしなければ、ほかのことで省之介を少し助けたところで、承也は口を出さないということになる。浩平は胸の内で、そっと息を吐いた。承也のこの回りくどい考え方を読み取れるのは、やはり浩平くらいのものだ。生まれる前から縁のある幼なじみをやってきただけのことはある。浩平はタバコを揉み消し、コートのポケットから一通の報告書を取り出して承也へ渡した。「そうだ。いちばん大事なことを忘れるところだった。千鶴さんの部屋で焚かれていた香、それから飲んでいたお茶と食べていたものの検査結果だ。お前が悠斗に渡させたものは、全部調べさせた。安心しろ。信頼できる人間に頼んでいる。間違いもないし、誰かに手を加えられることもない」承也は報告書を受け取り、結果の欄に目を落とした。検査対象となったものから、異常は確認されなかった。承也の指に力が入る。報告書の端がわずかに歪み、紙の擦れる音がした。浩平は眉を
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