ジルダの魔力は、事実とても小さかった。 魔力吸収の能力は、自分の魔力量を超え吸収することはできない。――もし行ったら、魔力暴走を起こしてしまう。 これは常識だった。 だが、ジルダはそれができたのだ。 「溢れた魔力を体に巻き付けるようにするんです。――こう、くるくると」 ジルダはトコトコと窓際に行くと、サロンのカーテンを手に取って、自分の体にくるくるとカーテンを巻き付けた。「こうすると、体に入りきらない魔力も一緒にすることができるんです」 巻き付けたカーテンから顔だけを出してジルダが説明する。 ソファーに座ってその様子を見ていたカインは、自分の手を流れる魔力を見つめた。 魔力とは魂の一部であり、命と対になるものだ。その命を体の外に出して巻き付けるなんて―― ジルダの言っている事はありえない事に思われた。 物心ついた頃から身に付いている常識だ。 体の中にある魔力は使えば減るが、ゆっくり休むことで回復もする。だから魔力を使った仕事をしても、魔力が体から無くなることもなく生活ができる。 魔力の量は個人差があるが、どれだけ魔力量が大きかろうが小さかろうが、魔力が無くなると命も終わる。 だから魔力を無駄に体の外に漏らしたり、使い切ったりしないよう訓練するのだと教えられてきたし、他の者も同じだ。 それを、目の前のこの少女は事も無げに「体の外に出す」と言ってのけたのだ。 「……やっぱり、変ですよね?私の言ってること」 カーテンから出てきて、自分の目の前に座り直したジルダは、わかりやすくしょんぼりとして、テーブルに用意されていたティーカップに目を落とした。「――びっくりしただけだよ。今まで真逆の事を言われてきたから……公女はどうしてこんな事ができるようになったの?魔力を吸収するだけでもすごいのに、自分の魔力量よりいくらも大きい魔力を吸収するなんて」 カインは子供用に淹れられた、甘い蜜の入ったお茶を勧めながら、ジルダに尋ねた。 思いがけず否定の言葉が出なかったことに驚いて顔を上げたジルダは、これまたわかりやすく顔を輝かせて話始めた。「わ……私は、一度失敗して死にそうになったんです。3歳の頃送水ポンプの魔法陣を誤って触ってしまって――それで助けてくれた使用人の魔力を吸収して助かったんです。その時、必死だったからちょっと吸いすぎたみたいで―
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-20 อ่านเพิ่มเติม