黒岩さんと明衣ちゃんが裏で手を回し、これまでのすべての不正融資と詐欺の証拠をすでに提出していたのだ。 元婚約者とその女が、社会的に、そして完全に破滅し、大勢の報道陣と日本中の生中継のカメラの前で無様に引きずられていく。 その光景を静かに見つめながら、璃子の胸に深く突き刺さっていた過去の裏切りの傷跡は、今、完全に消えてなくなっていくのを感じていた。真冬のあの夜、服を剥ぎ取られて凍えていた私の心は、今、本当の意味で救われたのだ。 「――終わったな、璃子」 騒然とする会見場を後にし、ステージの袖へ戻ると、待っていた仁さんがそっと璃子の肩を抱き寄せた。 見上げると、そこにはかつての冷徹な鉄の仮面など微塵もない、愛おしそうな、優しい一人の男の瞳があった。 「はい。本当に……ありがとうございました、仁さん」 「礼を言うのは俺の方だ。お前が俺の妻になってくれたから、俺は本当の強さを知った。守るべき者がいる強さを、お前が教えてくれたんだ」 仁さんは、大きな手の5本の指を隙間なく絡めるようにして、もう二度と離さないと言わんばかりに強く、強く握りしめた。手のひらから、彼の熱い体温が真っ直ぐに伝わってくる。 「これからは、昼も夜も、演技なんかじゃない。俺の生涯たった一人の、本物の奥さんとして、ずっと俺の隣にいてくれ」 「はい……。喜んで、あなたの妻として生きていきます。仁さん」 窓の外から、祝福するような温かい木漏れ日が、私たちの繋いだ手に優しく降り注いでいた。 孤独だったヒーローは、もういない。 最高の仲間たちと、そして世界で一番愛する夫と共に。 私たちは今、光に満ちた新しい未来へと、確かな一歩を踏み出した。***それから、数ヶ月の時が流れた。 私たちの会社『Blue Code Studio』は、直樹と麗香専務が自爆騒動を起こしてくれたことをきっかけに、皮肉にもこれまで以上に繁盛していくこととなった。 あの会見で日本中に轟いた、明衣ちゃんの圧倒的なハッキング・情報収集能力と、黒岩さんの企業の闇を徹底的に精査する冷徹なコンプライアンスの力。そして何より、国内最大手である山城グループのトップを裏から支え、悪党を完膚なきまでに叩き潰したという前代未聞の実績。それらは、怪しげだった私たちのスタジオの信頼性を、社会的に不動のものにしたのだ。 連日、オフィス
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