第61話 それを世間では 翌朝。 私はいつも通り出勤した。 いつも通りの電車に乗り、いつも通りの時間に会社へ着き、いつも通り自席でパソコンを開く。 つまり、表面上は何も変わっていない。 けれど、頭の中には昨夜の言葉が残っていた。 俺が、琴葉さんと一緒にいたかっただけです。 あれは何だったのだろう。 仕事の打ち合わせではない。 確認でもない。 本人がそう言った。 それなら、何なのか。 私は朝からその分類に失敗し続けていた。 メールを開いても、資料を見ても、ふとした瞬間に思い出す。 玲央さんの声は、妙に静かだった。 特別なことを言っている自覚があるのかないのか、あまりにも真面目な顔で言うから困る。 ああいうのは、もっと軽く言ってほしい。 受け取る側の準備が本当にない。 「琴葉」 隣から朱音の声がした。 「はい」 「返事が会社員のそれじゃない」 「会社員です」 「そうじゃなくて、今の『はい』が呼吸してなかった」 鋭い。 朝から鋭い。
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-29 อ่านเพิ่มเติม