「昨日まで、私は婚約者の隣に座るはずでした。……今度は、私がいないところで話を進めないでください」 「分かった。君がいないところで決めたりはしない」 「あと、白鳥家の調査には私も入ります」 征臣の表情が、そこで初めて少し硬くなった。 「危なくなる」 「だから外す、はやめてください」 袖口に触れかけた征臣の指が止まった。 「……正直、俺だけで動いた方が早いとは思っていた」 「そうやって、あとから知らされるのが嫌なんです」 包帯の下で火傷がじんと痛んだ。 「白鳥家でも、ずっとそうでした。『あなたのため』って言われて、気づいた時には決まってる」 征臣は通知書と焦げた帳簿を見たあと、私へ視線を戻した。 すぐに対策を口にしなかったのが、少し意外だった。 「……分かった。君も入れるように組み直す」 「危ないと思った時は……」 「止めると思う。けど、今度は先に言う」 「……それ、口約束にしないでください」 征臣が一瞬目を見開いた。 それから、目元だけ、力が抜けた。 「分かった。一緒に書いておこう」 その時、客室の扉がもう一度叩かれた。 執事が銀のトレーに別の封筒を載せている。白鳥家の家紋ではない。淡いピンクの封緘シール。 差出人の名前を見た瞬間、指が冷えた。 白鳥莉々花。 封筒の中には、ホテルラウンジでの謝罪会への招待状が入っていた。 白鳥莉々花。 その名を見た瞬間、封筒の淡いピンクまで、少し湿って見えた。 可愛らしい色。 柔らかい筆跡。 封緘シールには、青い小さな花の模様。 けれど、手に残った感触は冷たかった。 「一人で読むのが嫌なら、ここにいる」 征臣は封筒に手を伸ばさなかった。 白鳥家なら、もう開いていただろう。父の机に置かれ、瀬里奈さんが読み、私のところへ来る頃には封筒に折り目までついている。 私に届いたものなのに、最初に読むのはいつも私ではなかった。 封筒の端を、包帯を巻いた指で押さえる。 まだ火傷が熱い。けれど、痛みはありがたかった。ここにいる、と教えてくれる。 「開けます。……自分で」 ナイフを使わず、指で封を剥がした。 青いシールの端が少し紙に残る。内側には、白鳥家の便箋ではなく、ホテルの厚いカードが入っていた。 姉妹で一度、誤解を解
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-03 อ่านเพิ่มเติม