บททั้งหมดของ 大嫌い!って100回言ったら、死ぬほど好きに変わりそうな気持ちに気付いてよ…。: บทที่ 111 - บทที่ 120

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第111話  金曜日の視線がまだ追いついてくる

歩道を並んで歩きながら、朱里はこっそり指先をぎゅっと握りしめていた。 嵩が「ゆっくり歩こうか」と言ったその穏やかさは、胸の奥をやわらかく揺らす。 でも同時に、《金曜日の“あの視線”》がどうしても消えてくれない。 (……望月さん、絶対に気づいてたよね) あの日、コンビニの袋を手にした瑠奈は一瞬だけ固まり、 「おっ、平田先輩と中谷先輩!」 と目を丸くした。 その表情が、今日になって何度も脳裏をよみがえる。 その気配を感じ取ったのか、嵩がゆっくり朱里の歩幅に合わせながら口を開いた。 「……やっぱり、気にしてる?」 「えっ……な、なにをですか」 「金曜のこと。望月さんに見られたこと」 その一言で、胸の奥を触れられたように朱里は息をのんだ。 「少し……だけ、気になります。でも、あの日は偶然ですし」 「うん。偶然だよ。だから心配しなくていい」 嵩の声は、金曜よりも落ち着いている。 まるで朱里の不安を吸い取るように。 「……でも、望月さんって朱里さんの後輩だよね」 「はい。しかも仕事、すごくできて……ちょっと、ライバルです」 「なるほど。それなら余計に気を遣わせちゃったかな」 嵩は申し訳なさそうに眉を下げた。 その仕草が、逆に朱里の胸を締めつけ
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第112話  それでも、平穏は続かない

会社までの道のりは、通常なら十五分ほど。 なのに、嵩と一緒に歩くとその時間がどうしてこうも“特別なもの”に変わってしまうのか。 朱里は胸の奥がじわりと熱くなるのを感じながら、ほんの少しだけ歩幅を調整した。 隣にいる嵩が、絶妙な距離で合わせてくれているのが分かる。 ふと、嵩が口を開いた。 「朱里さん、今日の仕事……悩んでることある?」 「え……急にどうしたんですか?」 「さっき、打ち合わせで少し元気なかった気がして」 「……見てたんですね」 「そりゃあ見るよ。同じチームなんだから」 なんでもないように言うその声が、どうしようもなく胸を揺らす。 (こんなの……反則でしょ) 朱里は誤魔化すように視線を逸らし、歩道の花壇に落ちた雨粒を追った。 「ちょっと考えごとをしてただけです。望月さんのこととか……いろいろ」 「そっか」 嵩は深くは追及しなかった。ただ、一度短く息を吐いたあと、穏やかな声で続けた。 「でも、金曜のことは気にしなくていい。望月さんにどう思われても、俺は俺だし」 「……平田さん、そういうところ、ずるいです」 「ずるい?」 「なんか……落ち着いてて。私ばっかり、ぐるぐるしてる感じで」 嵩は立ち止ま
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第113話  止まった時間は、どちらのせい?

追加資料の準備でバタバタする月曜の夜。 会社のフロアにはもうほとんど誰もいないのに、 蛍光灯だけは妙に元気にぎらぎらしていた。 プリンターがガガガと騒がしく動く中、朱里は疲れた肩を軽く回す。 (はあ……まさか、今日こんなに遅くなるなんて) せっかく「ゆっくり歩こうか」なんて言われて、 胸の奥がほんのり甘くなっていたのに。 全部、部長の“急ぎで頼む”のせいだ。 「中谷さん、こっちは終わったよ」 隣から、落ち着いた声。 朱里が顔を上げると、嵩が資料の束を揃えて立っていた。 シャツの袖をまくって手首に光る時計が、どこか品よく見える。 (……ちょっと。なんでこんな時間でもかっこいいの) 理不尽に腹が立つのは、疲れているからだろうか。 「平田さんも……お疲れさまです」 「うん。でも、朱里さんのほうが大変だったでしょ。急に呼び出されて」 「……まあ、そうですけど」 朱里がプリンター横の紙を確認していると、 隣で嵩が少しだけ声を落とした。 「——さっきの、続き」 「……っ」 指がぴたりと止まった。 「え、あの……つ、続き……?」
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第114話  言えない理由、聞けない理由

 平田さんが唐突に黙り込んだあの瞬間。 まるで時間ごと止まってしまったような空気は、まだ胸の奥に残っていた。 並んで歩く私たちの間に、気まずい沈黙が降りている。 さっきまで自然に重なっていた足音が、微妙にずれはじめているのを感じる。「あの……」 耐えきれなくなって、私は小さく声を出した。「さっき、急に黙ったのは……どうしてですか?」 問いかけてしまってから、しまったと思った。 詰問みたいに聞こえる。そうしたいわけじゃないのに。 平田さんは一瞬だけ戸惑うように瞬きをして、それから、「……朱里さんが、無理してる気がしたから」 静かに答えた。「無理なんて、してません」「ううん。してるよ」 私の返事に被せるように、優しいけれど逃げ場のない声で言われる。「ほら、今も。俺の顔、ちゃんと見れてない」 ハッとする。 図星だった。 視線を向けようとしても、どうしても胸の奥がざわついてしまって、目が合うのが怖くて。「……別に、避けてるわけじゃ……」「うん、わかってる。避けてるんじゃなくて、戸惑ってるだけだよね」 そう言って、彼は少し歩みを緩める。 こちらを責め立てるような空気なんてまったくなくて、ただ穏やかに、私のペースを待つように。「……金曜日のときは、もっと普通に話せてましたよね」 自分で言って、胸がきゅっと縮まった。
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第115話  同じ歩幅で、同じ夜を

 夜の風が、少しだけ冷たくなってきた。 街灯の明かりが、濡れたアスファルトに淡く映り込んで、私たちの影を長く引き伸ばしている。 さっき「もう少しだけ」と言ってから、私たちはほとんど言葉を交わさずに歩いていた。 でも、不思議と気まずさはない。沈黙が重たくならない。 むしろ── この静けさが、少し心地いい。「……あの」 また、私のほうから声を出した。「月曜日、応接室で話したとき……」 言いかけて、言葉を探す。「私、平田さんにちゃんとお礼を言えてなかったなって思って」 彼は驚いたように私を見る。「お礼?」「はい。誘ってくれたこと、嬉しかったので」 ほんの少し視線を落としながら、正直に告げる。「正直……あの時は、戸惑いのほうが先に出ちゃって。だから、“ちょっとだけなら”って、あんな言い方しかできなくて……」 すると平田さんは、ふっと小さく笑った。「あれ、すごく朱里さんらしいって思ったよ」「……そうですか?」「うん。無理して即答しないところとか、相手の気持ちを一回ちゃんと受け止めてから返すところとか」 そう言われると、少しだけ照れてしまう。「だから、“ちょっとだけ”でも一緒に帰れるって思った時点で、もう十分だった」 胸の奥が、また静かにあたたかくなった。 同じ歩幅で歩いているはずなのに、心の距離だけが少しずつ縮まっていくのがわ
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第118話  近づくほど、素直になれなくて

 翌朝。 会社のエントランスで、瑠奈が平田さんと並んで歩いているのが見えた。「おはようございます、先輩!」 私に気づいた瑠奈が、いつもより少しだけ明るい声で言う。「おはよう……」 視線が自然と、平田さんへ向いてしまう。「昨日はありがとうございました。映画の話、すごく楽しかったです」「こちらこそ。あの作品、やっぱり好み分かれるよね」 二人は自然に笑い合っている。(……昨日、私は逃げたのに) 胸の奥が、ちくりと痛んだ。  午前中の業務中。 瑠奈は珍しく、やたらと平田さんのデスクに足を運んでいた。「この資料、ちょっと見ていただいてもいいですか?」「うん、今見るよ」「ありがとうございます!」 私はキーボードを叩きながら、何度もそのやり取りを横目で追ってしまう。(いちいち気にするな、私……) そう自分に言い聞かせても、集中できない。 ふと、デスクに小さな紙が滑り込んできた。《昼、空いてたら一緒に行かない?》 平田さんの文字だった。 一瞬、指が止まる。(……また、二人きり?) 昨日断ったばかりなのに。 私は迷った末、小さく返事を書いた。
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第119話  一歩引いたつもりが、遠くなる

 翌日。 出社してすぐ、私は自分でも驚くほど、平田さんのことを避けていた。 目が合いそうになると資料に視線を落とし、声をかけられそうになると、わざと席を外す。(昨日の帰り道……あの光景、忘れられない) 瑠奈と並んで笑う平田さんの横顔が、何度も頭に浮かんでしまう。 午後。 会議室での打ち合わせが終わり、皆がぞろぞろと席を立つ中、私は一人、残り資料をまとめていた。「朱里」 不意に背後から声がして、肩が小さく跳ねる。 振り向くと、平田さんが立っていた。「さっきから、ずっと避けられてない?」「……そんなことないです」「嘘。昨日から、距離が遠い」 的確すぎて、言葉に詰まる。「何か、俺、した?」 心配そうに眉を下げるその顔に、胸が苦しくなる。(あなたが悪いわけじゃないのに……)「……忙しいだけです」「それならいいけど」 そう言いながらも、平田さんは納得していない様子だった。「今日の帰り、一緒に──」 そこまで言いかけて、言葉が止まる。 会議室の扉が開き、瑠奈が顔を出したからだ。「平田さん、少しいいですか?」「うん、今行く」 平田さんはちらりと私を見てか
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