บททั้งหมดของ 婚約者に売られ、親友に顔を奪われた私は、二度目の人生で全てを取り戻す: บทที่ 251 - บทที่ 260

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親友の告白

「私、理央のことを好きになってしまったの」 美月は涙を浮かべたまま、綾香を見つめた。「……そうなの?」「ええ。ずっと言えなかったの。理央は綾香の婚約者だったから」 綾香はカップを置いた。 前の人生でも、美月と理央は親密な関係にあった。けれど、二人がいつからそうだったのかは知らない。「それなら、私に遠慮する必要はないわ」「え?」「理央との婚約は延期したままだし、私は遥臣とお付き合いしているもの」 美月は驚いたように目を見開いた。「……怒らないの?」「どうして怒るのかしら?」「だって、理央はずっと綾香のことが好きだったでしょう? 私が好きになるなんて、許されないと思っていたから」「人を好きになることは、誰にも止められないわ」 綾香は微笑んだ。「理央があなたの気持ちに応えてくれるといいわね」 美月は俯いた。「でも、理央はまだ綾香を諦めていないの」「それは理央が決めることよ」「……そうね」 美月はハンカチで目元を押さえた。「綾香は優しいのね。私だったら、きっとこんなふうには言えないわ」「そうかしら」「ええ。ありがとう」 美月はようやく笑顔を見せた。◇◆◇ その夜、綾香は遥臣と電話で話していた。『今日は何をしていた?』「美月が家に来たの」『昨日、美術館で会った友人か』「ええ。少し驚くことを聞いたわ」『何だ?』「理央のことが好きなんですって」『そうか』 遥臣の返事はあっさりしていた。「驚かないの?」『綾香の友人と、昔の婚約相手の話だろう。俺が口を出すことじゃない』「ふふ、そうね」『それより、来
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婚約解消

『じゃあ、僕から美月に話してもいいんだね。綾香が僕との結婚を断ったって』「ええ。構わないわ」 綾香が答えると、理央はしばらく黙っていた。『……本当に、それでいいの?』「ええ。曖昧にしていたのは、私もよくなかったと思っているわ」『僕は、まだ諦めていないんだけど』「気持ちはありがたいわ。でも、私の答えは変わらないの」 電話の向こうで、小さく息を吐く音がした。『分かったよ。綾香がそこまで言うなら』「ありがとう」『ただ、ひとつだけお願いがあるんだ』「何かしら?」『御影のおじさんには、僕から話してもいいかな』 綾香は少し考えた。「いいえ。お父様には私から話すわ。私が決めたことだもの」『……そうだね』 理央は力なく笑った。『じゃあ、また』「ええ」 通話が切れた。◇◆◇ その日の夕食後、綾香は父に婚約の話をした。「理央との婚約のお話だけれど、正式になくしていただきたいの」 父は少し驚いたものの、すぐに頷いた。「そうか。綾香が決めたのなら、それでいいよ」「ありがとう、お父様」「橘にも私から話しておこう。理央にはもう伝えたのかい?」「ええ。先ほど」「そうか。長い付き合いだから、少し寂しくはあるけれどね」 父は穏やかに微笑んだ。「九条先生と幸せになってくれれば、それが一番だよ」 綾香は嬉しくなって、父の手を握った。◇◆◇ 翌日の昼過ぎ、美月から電話がかかってきた。『綾香、理央から聞いたわ』「婚約のこと?」『ええ。正式に解消するんですってね』「そうよ」『……本当にいいの?』「もちろんよ。
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身勝手な条件

『九条先生との交際を認める代わりに、会社を辞めるって言い出したらしいの』 美月からのメッセージを読み、綾香は眉を寄せた。「どうした?」 遥臣が顔を覗き込んだ。「理央が父の会社を辞めると言い出したみたいなの」「何か問題があったのか?」「分からないわ。ただ、私の交際と結びつけているようなの」 遥臣は少し考えてから言った。「それは別の話だろう」「ええ。私もそう思うわ」 綾香は美月に返信した。『理央が退職するかどうかは、本人と会社が決めることよ。私には関係ないわ』 すぐに既読がついた。『でも、御影のおじ様も困っていらっしゃると思うの』『お父様には私から確認するわ』 綾香はスマートフォンをしまった。「帰らなくていいのか?」「ええ。父から連絡があれば別だけれど、今は私たちの休日だもの」 遥臣は微笑んだ。「そうだな。じゃあ、もう少し歩こう」◇◆◇ 夕方、帰宅した綾香は父の書斎を訪ねた。「お父様、理央が退職すると言っているそうね」「ああ。その話か」 父は書類から顔を上げた。「以前から独立を考えていたからね。今日、正式に相談を受けたよ」「私との婚約がなくなったから?」「それも理由のひとつだと言っていたが、仕事は仕事だ。私も引き止めるつもりはないよ」 父は苦笑した。「ただ、後任への引き継ぎはきちんとしてもらわないとね」「そうね」「綾香が気にすることはない。理央も大人なんだから」 綾香は安心して頷いた。◇◆◇ 翌日、理央から電話がかかってきた。『綾香、父さんから聞いたよ。僕が会社を辞めること、知ってるんだって?』「ええ。お父様から伺ったわ」『そう。驚かなかった?』「前から独立を考えていたのでしょう?」『まあね。でも、こんなに早く決めるつもりはなかったんだ』「そうなのね」『綾香が九条先生を選んだから、僕も新しい人生を始めようと思って』「それなら、頑張ってね」 理央は黙った。『……綾香、本当に変わったね』「そうかしら」『昔なら、僕が会社を辞めるなんて言ったら、もっと心配してくれたと思う』「理央が自分で決めたことだもの。応援するわ」『そういうことじゃないんだけどな』 理央は乾いた笑いを漏らした。『まあ、いいや。僕もいつまでも綾香に甘えていられないしね』「ええ。お互い、自分の人生を大切にしまし
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親友の本音

「理央は、お嬢様が引き止めてくださると思っていたようでございます」 橘は深く頭を下げた。「息子が身勝手なことを申しまして、まことに申し訳ございません」「橘、頭を上げてくれ」 父が穏やかに声をかけた。「理央が退職を考え直したいというなら、話は聞くよ」「ありがとうございます。ただ、本人もまだ気持ちの整理がついていないようでして……」 橘は一度言葉を切った。「勝手なお願いとは存じますが、もう少しだけ時間をいただけませんでしょうか。私からもよく話してみます」「もちろんだよ。退職まではまだ時間があるからね」「ご厚情、感謝いたします」 橘は再び頭を下げた。 綾香は黙って二人のやり取りを見守っていた。 橘は長年、御影家に誠実に仕えてきた。息子のことで主人に頭を下げる姿を見るのは、綾香もつらかった。「橘」「はい、お嬢様」「理央のことは、私も心配しているわ。でも、私が結婚を考え直すことはないの」「……承知しております」 橘は静かに頷いた。「どうか、お嬢様はお気になさらないでくださいませ」◇◆◇ 翌日の午後、美月が御影家を訪ねてきた。 応接室に通すと、美月は挨拶もそこそこに口を開いた。「綾香、理央のことを聞いた?」「ええ。会社を辞める件でしょう?」「そうよ。あんなに取り乱しているなんて、私も驚いてしまって」 美月は悲しそうに目を伏せた。「理央、ずっと御影のおじ様の会社で頑張ってきたでしょう? それなのに……」「退職は理央が自分で決めたことよ」「でも、綾香が婚約を解消しなければ、こんなことにはならなかったんじゃないかしら」 綾香は美月を見た。「それは違うと思うわ」「……
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親友の嫉妬

「理央にも九条先生にも、あんなに大切にされて。綾香は何もしなくても、みんなに愛してもらえるんだもの」 美月の声が応接室に響いた。 綾香はしばらく彼女を見つめていた。「……美月は、そんなふうに思っていたのね」「あ……」 美月は我に返ったように口元を押さえた。「ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったの。ただ、理央があまりにもかわいそうで……」「理央がかわいそうだから、私が遥臣と別れればいいと思っているの?」「違うわ!」 美月は慌てて首を振った。「そんなこと、思っていない。ただ、綾香にはもう九条先生がいるでしょう? だから、理央のことも少しは考えてあげてほしくて」「それなら、私に何をしてほしいの?」 美月は答えに詰まった。「理央と結婚することはできないわ。会社を辞めるのを止めるのも、私の役目ではないでしょう?」「……そうだけど」「美月。あなたは私の親友よね?」「もちろんよ」「だったら、私が遥臣と幸せになることを喜んでくれないかしら」 美月の表情が強張った。「喜んでいるわ。私だって、綾香には幸せになってほしいもの」「ありがとう。それなら、この話はもう終わりにしましょう」 綾香が微笑むと、美月もぎこちなく笑った。「……ええ。そうね」◇◆◇ 美月が帰ったあと、綾香は庭に出た。 秋の風が、花壇の薔薇を揺らしている。 美月の言葉が耳に残っていた。 何もしなくても、みんなに愛してもらえる。 前世でも、美月はそんなふうに思っていたのだろうか。 綾香は小さく息を吐いた。 少なくとも、今の美月が自分の幸せを心から喜んでいるとは思えなかった。◇◆◇
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秘密の封筒

「綾香には、まだ内緒にしていただけますか?」 美月が差し出した封筒を、遥臣は受け取らなかった。「綾香に内緒にする必要があるのか?」「それは……中を見ていただければ分かると思います」「だったら、ここで説明してくれ」 美月は困ったように綾香を見た。「綾香、ごめんなさい。あなたを傷つけたいわけじゃないの。でも、九条先生には知っておいていただいた方がいいと思って……」「私のことなの?」「……ええ」「それなら、私も聞くわ」 美月は封筒を胸元に引き寄せた。「でも、綾香の前では……」「美月」 遥臣が口を開いた。「俺は綾香と付き合っている。本人に隠してまで、君から何かを聞くつもりはない」「先生、これは大切なお話なんです」「それならなおさらだ」 美月は唇を噛んだ。 しばらく迷った末、封筒から一枚の写真を取り出した。「……これを見てください」 写真には、レストランで向かい合って座る綾香と理央が写っていた。 婚約を延期する前、二人で食事をした時のものだった。「綾香と理央は、こんなに仲がよかったんです」 美月は震える声で続けた。「それなのに、突然婚約を解消するなんて……。私は、綾香が本当に自分の気持ちで決めたのか心配なんです」 遥臣は写真を一瞥した。「昔の写真だな」「ええ。でも、二人はずっと将来を約束していたんです。先生は、そのことをご存じでしたか?」「知っている」 美月は目を見開いた。「……そうなんですか?」「ああ。綾香から聞いている」 遥臣は綾香の手を握り直した。「それで、君は何を言いたいんだ?」「私はただ、九条先生に誤解してほしくなくて……」「何を?」 美月は答えなかった。 綾香は写真を見つめた。「美月、その写真はどうしたの?」「え?」「私、その写真をあなたに渡した覚えはないわ」 美月の顔色が変わった。「理央から預かったの。昔の思い出だからって……」「理央が、遥臣に見せてほしいと言ったの?」「それは……」「それとも、美月が自分で考えたこと?」 美月は俯いた。「ごめんなさい。私、余計なことをしたわね」「ええ。そう思うわ」 綾香は静かに答えた。「私の婚約のことを、私のいないところで遥臣に説明する必要はないもの」 美月の目に涙が浮かんだ。「そんなつもりじゃなかったのに……」「もう行こ
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裏切りの証拠

「理央には、綾香と九条先生が別れるまで、この写真を見せたことは秘密にするって約束していたの」 言い終えた瞬間、美月は口元を押さえた。「……今のは、違うの」 綾香は彼女を見つめた。「別れるまで、というのはどういう意味?」「私、言い間違えただけで……」「理央と二人で、私たちを別れさせようとしていたの?」 美月は首を横に振った。「違うわ! 理央が、九条先生に昔のことを知ってほしいって言うから……」「だったら、なぜ秘密にする必要があるの?」 美月は答えられなかった。 遥臣が一歩前に出た。「美月さん。俺は綾香と別れるつもりはない。理央にもそう伝えてくれ」「でも、先生……」「これ以上、綾香を困らせないでほしい」 美月の目から涙がこぼれた。「私、そんなつもりじゃ……」「もう行きましょう、遥臣」 綾香は彼の腕に手を添えた。 美月は何も言わず、二人を見送った。◇◆◇ レストランの席に着くと、遥臣がメニューを閉じた。「大丈夫か?」「ええ。ただ、少し驚いたわ」「理央があんなことを頼んでいたとはな」「美月の話が本当なら、だけれど」 遥臣は頷いた。「確かに、本人に聞かなければ分からないな」 綾香はグラスの水を一口飲んだ。「でも、少なくとも美月は、私たちが別れることを期待していたのね」「そうだな」「親友だと思っていたのに、残念だわ」 遥臣はテーブル越しに綾香の手を取った。「俺たちのことは、俺たちで決めればいい」「ええ」 綾香は微笑んだ。「せっかくの食事だもの。楽しみましょう」
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親友の嘘

『理央から電話が来たの。私が勝手に写真を持ち出したって、どうしてそんな嘘をついたの?』 綾香はメッセージを読み返した。 嘘をついた覚えはない。理央に伝えたのは、美月がホテルで写真を見せようとしたという事実だけだ。『私は昨日あったことを話しただけよ。理央が何と言ったのかは知らないわ』 返信すると、すぐに電話がかかってきた。『綾香、ひどいわ』 美月の声は震えていた。『理央、すごく怒っているの。もう私には関わらないでくれって……』「そうなのね」『そうなのね、じゃないでしょう? 綾香が余計なことを言ったからよ』「美月が理央に内緒にしてほしいと言ったのは覚えているわ。でも、私も理央に確認する必要があったの」『どうして?』「あなたは、私と遥臣を別れさせようとしていたのでしょう?」『違うって言っているじゃない!』 美月の声が大きくなった。『私はただ、理央がかわいそうだったから……』「それなら、理央を慰めてあげればよかったんじゃないかしら」『……綾香には分からないわよ』「何が?」『好きな人が、ほかの女の人ばかり見ている気持ちなんて』 綾香は黙った。 美月は小さく鼻をすすった。『ごめんなさい。こんなこと言うつもりじゃなかったの』「美月」『何?』「私は理央と結婚しないわ。これ以上、あなたの邪魔になることはないと思うの」『……そういう問題じゃないのよ』 美月はそれだけ言って、電話を切った。◇◆◇ 午後、綾香が庭で本を読んでいると、橘がやってきた。「お嬢様、少々お時間をいただけますでしょうか」「ええ。どうしたの?」「理央のことでございます」 橘は申し訳なさそうに頭を下げた。「先日は旦那様にご心配をおかけいたしました。息子とも話し合いまして、退職の件は予定どおり進めることになりました」「そう。よかったわ」「息子の私事にお嬢様を巻き込むことのないよう、私からも申し伝えました」「ありがとう、橘」 橘は深く一礼した。◇◆◇ 数日後、綾香は遥臣との待ち合わせのため、病院を訪れていた。 診察が長引いているらしく、遥臣からは少し遅れると連絡があった。 綾香がロビーの自動販売機で飲み物を買っていると、近くを通りかかった二人の看護師の声が聞こえてきた。「ねえ、九条先生の件、聞いた?」「電話のことでしょう? 婚約者のいる
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越えてはいけない一線

「……美月が病院に電話したって、本当なの?」 遥臣の表情が曇った。「ああ。三日前に電話があった」「どうして教えてくれなかったの?」「病院で対応できる話だからな。わざわざ綾香に知らせる必要もないと思った」「そうだったのね。病院の方は?」「事情は説明した。仕事への影響もない」「よかった……。でも、どうして美月がそんなことを」「俺にも分からん。以前から何度か話しかけてきていたが、まさか職場にまで電話してくるとは思わなかった」 綾香は眉を寄せた。「私、美月に直接聞いてみるわ」「ああ。俺からも一度、はっきり言っておいた方がよさそうだな」「ごめんなさい。私の友達なのに」「謝る必要はない。電話をかけてきたのは向こうだろう」 遥臣は腕時計に目を落とした。「そろそろ行くか。予約の時間に遅れる」「ええ」 綾香は頷き、遥臣と並んで歩き出した。◇◆◇ 翌日、綾香は美月を喫茶店に呼び出した。「急にごめんなさい」「ううん。私も綾香と話したかったの」 美月はいつものように微笑んだ。 注文した紅茶が運ばれてくると、綾香は口を開いた。「美月。遥臣の病院に電話をしたでしょう?」 美月の手が止まった。「……どうして知っているの?」「昨日、病院でその話を聞いたの。遥臣にも確認したわ」「そう……」 美月は俯いた。「私、そんな大ごとになるとは思わなかったの」「医師の私生活について病院に苦情を入れたら、問題になるのは当然でしょう?」「でも、理央があんなに苦しんでいるのよ」 美月は顔を上げた。「九条先生が綾香と付き合い始めてから、理央はずっと落ち込んでいるの。先生
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親友の逆恨み

『……じゃあ、九条先生が理央に告げ口したのね』「美月、遥臣が誰に何を話したかは知らないわ。でも、病院に電話したのはあなたでしょう?」『だから、そんなに悪いことだと思わなかったの!』「それはもう聞いたわ」『綾香は私を悪者にしたいのね』 綾香は思わずため息をついた。「そういう話ではないでしょう?」『……もういい』 電話が切れた。 綾香は画面を見つめた。 美月が理央を好きになったことは責めるつもりもない。けれど、その気持ちを理由に遥臣の仕事まで巻き込むのは、どう考えても行き過ぎだった。◇◆◇ 夕方、理央から電話があった。『綾香、今いいかな』「ええ」『美月と話したよ。病院に電話したことも認めた』「そう」『本当にごめん。僕が綾香との婚約を諦められなかったせいで、こんなことになって』「理央が美月に頼んだわけではないのでしょう?」『もちろん違うよ。ただ、僕が愚痴を聞かせすぎたんだと思う』 理央は疲れたように息を吐いた。『美月には、もう綾香にも九条先生にも関わらないでほしいと伝えた』「分かったわ」『……それで、ひとつ聞いてもいい?』「何かしら?」『美月は、僕が好きだからあんなことをしたのかな』 綾香は少し驚いた。「本人から聞いていないの?」『今日、初めて言われたよ。僕のためにやったんだって』「そうだったのね」『でも、僕はそんなこと望んでいない』 理央の声は沈んでいた。『あんなことをされたら、かえって困るよ』「それは美月に伝えた方がいいと思うわ」『うん。伝えた』 短い沈黙があった。『綾香、九条先生にも謝っておいてくれるかな』「謝るなら、直接お話しした方がいいんじゃないかしら」『……そうだね。そうするよ』◇◆◇ 翌日の午後、綾香は買い物の帰りに美月と出くわした。 美月は綾香を見るなり、顔を背けた。「美月」「……何?」「理央と話したそうね」 美月は足を止めた。「ええ。ひどいことを言われたわ」「ひどいこと?」「もう会わない方がいいって。私が何をしても、迷惑なだけなんですって」 美月の目に涙が浮かんだ。「私、理央のために一生懸命だったのに」「美月が理央を大切に思っているのは分かるわ。でも、理央の望まないことまでしてしまったのでしょう?」「……綾香はいいわよね」 また、その言葉だった。
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