「私、理央のことを好きになってしまったの」 美月は涙を浮かべたまま、綾香を見つめた。「……そうなの?」「ええ。ずっと言えなかったの。理央は綾香の婚約者だったから」 綾香はカップを置いた。 前の人生でも、美月と理央は親密な関係にあった。けれど、二人がいつからそうだったのかは知らない。「それなら、私に遠慮する必要はないわ」「え?」「理央との婚約は延期したままだし、私は遥臣とお付き合いしているもの」 美月は驚いたように目を見開いた。「……怒らないの?」「どうして怒るのかしら?」「だって、理央はずっと綾香のことが好きだったでしょう? 私が好きになるなんて、許されないと思っていたから」「人を好きになることは、誰にも止められないわ」 綾香は微笑んだ。「理央があなたの気持ちに応えてくれるといいわね」 美月は俯いた。「でも、理央はまだ綾香を諦めていないの」「それは理央が決めることよ」「……そうね」 美月はハンカチで目元を押さえた。「綾香は優しいのね。私だったら、きっとこんなふうには言えないわ」「そうかしら」「ええ。ありがとう」 美月はようやく笑顔を見せた。◇◆◇ その夜、綾香は遥臣と電話で話していた。『今日は何をしていた?』「美月が家に来たの」『昨日、美術館で会った友人か』「ええ。少し驚くことを聞いたわ」『何だ?』「理央のことが好きなんですって」『そうか』 遥臣の返事はあっさりしていた。「驚かないの?」『綾香の友人と、昔の婚約相手の話だろう。俺が口を出すことじゃない』「ふふ、そうね」『それより、来
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-10-17 อ่านเพิ่มเติม