文化祭当日の校舎は、朝からいつもと空気が違っていた。 廊下の天井には色紙の輪飾りが連なり、各クラスの看板やポスターが壁を埋めるように貼られている。開場前だというのに、教室の前を行き交う足音と呼び込みの声がすでに重なり始めていて、学校全体がどこか浮き足立った熱を帯びていた。 スポーツ科二年A組の会場となった第二体育館も例外ではない。 入口には段ボールで作られた簡易ゴールが飾られ、その奥にはキッキングターゲットを中心に、ピッチングやバスケットの簡易コーナーが並んでいる。「おーい、天根! ちょっとこっち!」 朝から飛んだ声に、蓮は振り返った。 クラスメイトが的の前で手を振っている。「子どもも来るだろうし、昨日広げた穴でちゃんと抜けるか確認しとこうぜ」「俺で確認するのか?」「天根なら外さないだろ」「確認にならない気がするけどな」 軽口を交わしながら、蓮はボールを足元に止める。 昨日よりも少しだけ広げられた高得点ゾーン。 それでも十分狭い。「ほら、上段の二百点」「……朝からそこ狙わせるのか」「天根なら入るだろ?」 そう言われ、蓮は視線だけで距離を測る。 踏み込みは最小限。 乾いた音とともにボールが伸び、狭い穴を正確に抜けてネットを揺らした。「はい、ほらこうなる」「だめだ! やっぱこいつで確認しても意味ねぇ!」 開場前の第二体育館に笑いが広がる。 そこへ、開場を知らせる放送が校内に響いた。 瞬間、廊下の足音が一気に増える。 文化祭が始まった。 午前中の第二体育館は、予想以上の賑わいだった。 他学年の生徒に保護者、小さな子どもを連れた家族まで次々に入ってくる。「次、こっち空いてます!」「ライン越えないようにお願いします!」 呼び込みの声、歓声、ボールがネットを揺らす音。 試合の応援とは違う、柔らかく散った熱が会場いっぱいに満ちていた。 小学生くらいの男の子が、キッキングターゲットの前で少し緊張した顔をしている。 蓮はその横にしゃがみ込んだ。「そこじゃなくて、もう少し左だ」「ここ?」「ああ。そして、蹴る前に穴を見るんだ」 男の子が頷く。 次の一球は見事に中央の穴を抜けた。「入った!」 弾けるような声に、周囲から拍手が起こる。 蓮も自然に口元を緩めた。 その熱の中で、不意に体育
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-31 อ่านเพิ่มเติม