「レオネル?」名前を呼ばれて振り返ると、久しぶりに会う友人・マクシミリアンがいた。「よお、マックス」「よお、って……久しぶり過ぎだよ」マックスの苦情に、俺は苦笑いを返すしかない。「いろいろ忙しくてな」「忙しいからって、男盛りの独身公爵が男ばかりの辺境に引きこもるなよ」マックスの言葉に俺は何も返さず、一歩踏み出す。行き先は二人とも同じだ。案の定、マックスも隣に並んで歩きだす。「人のことは言えないだろ、マックス」横目でマックスを見る。「社交シーズンなのに王都にいないと、着いてすぐ、ご令嬢たちの嘆く声が聞こえたぞ」「暖かくなってきたからさ、海を警戒しないといけないだろ」「海の蛮族は酋長が死んだばかりだ。侵略どころではないだろう」「耳が早いなあ」マックスは『降参』と言うように両手を上げる。「『いい加減に結婚しろ』と母上が煩いんだ。今回だって王命で王都に来ただけなのに、タウンハウスの入口に立っていたんだぞ」「歓迎の印だろう」「両手に見合い写真を持っている必要はあるか?」マックスの家は、貴族では珍しく家族の仲がいい。それを分かっているのだろう。だからこそ、マックスは母親の願いを頭から拒否はしていない。幸せな悩みだと思う。だが、マックスの友として期待されている返事をする。「結婚と離婚を二回ほど繰り返せば『結婚には不向き』と思われて何も言われなくなるぞ」経験者だから語れる。最初は恋愛結婚。次は政略結婚。どちらの結婚も妻の浮気で終わってみれば、母だと名乗るあの女も何も言わなくなった。「2回目はやけくそだろうが」マックスの言葉に足が止まる。「……マックス」「悪い……」謝りつつも、マックスはまだ何か言いたげだ。その『何か』など簡単に分かる。.「まだその剣を使っているんだな」マックスの背に目をやる。そこには、マックスの背丈くらいある大きな両手剣。この10年、マックスは折れてもこの剣を修理して使い続けている。東部の青い海を閉じ込めたような柄。この装飾は人気の彫刻家によるものだが、マックスがこれを使い続けているのは、『彼女』との思い出があるからだと知っている。――ヴィクトルの奢りなんだから、高い剣を買うわよ!そんな、がめつい台詞付きの甘さのない思い出だが。……しまった。――レオ!元気のよい声が聞こえ
آخر تحديث : 2026-10-07 اقرأ المزيد