공유

『彼女』の娘
『彼女』の娘
작가: 酔夫人

第1話

작가: 酔夫人
last update 게시일: 2026-10-07 17:47:04

「レオネル?」

名前を呼ばれて振り返ると、久しぶりに会う友人・マクシミリアンがいた。

「よお、マックス」

「よお、って……久しぶり過ぎだよ」

マックスの苦情に、俺は苦笑いを返すしかない。

「いろいろ忙しくてな」

「忙しいからって、男盛りの独身公爵が男ばかりの辺境に引きこもるなよ」

マックスの言葉に俺は何も返さず、一歩踏み出す。

行き先は二人とも同じだ。

案の定、マックスも隣に並んで歩きだす。

「人のことは言えないだろ、マックス」

横目でマックスを見る。

「社交シーズンなのに王都にいないと、着いてすぐ、ご令嬢たちの嘆く声が聞こえたぞ」

「暖かくなってきたからさ、海を警戒しないといけないだろ」

「海の蛮族は酋長が死んだばかりだ。侵略どころではないだろう」

「耳が早いなあ」

マックスは『降参』と言うように両手を上げる。

「『いい加減に結婚しろ』と母上が煩いんだ。今回だって王命で王都に来ただけなのに、タウンハウスの入口に立っていたんだぞ」

「歓迎の印だろう」

「両手に見合い写真を持っている必要はあるか?」

マックスの家は、貴族では珍しく家族の仲がいい。

それを分かっているのだろう。

だからこそ、マックスは母親の願いを頭から拒否はしていない。

幸せな悩みだと思う。

だが、マックスの友として期待されている返事をする。

「結婚と離婚を二回ほど繰り返せば『結婚には不向き』と思われて何も言われなくなるぞ」

経験者だから語れる。

最初は恋愛結婚。

次は政略結婚。

どちらの結婚も妻の浮気で終わってみれば、母だと名乗るあの女も何も言わなくなった。

「2回目はやけくそだろうが」

マックスの言葉に足が止まる。

「……マックス」

「悪い……」

謝りつつも、マックスはまだ何か言いたげだ。

その『何か』など簡単に分かる。

.

「まだその剣を使っているんだな」

マックスの背に目をやる。

そこには、マックスの背丈くらいある大きな両手剣。

この10年、マックスは折れてもこの剣を修理して使い続けている。

東部の青い海を閉じ込めたような柄。

この装飾は人気の彫刻家によるものだが、マックスがこれを使い続けているのは、『彼女』との思い出があるからだと知っている。

――ヴィクトルの奢りなんだから、高い剣を買うわよ!

そんな、がめつい台詞付きの甘さのない思い出だが。

……しまった。

――レオ!

元気のよい声が聞こえた気がした。

幻聴だと分かっていても、後ろを振り返ってしまう。

だが、やはりそこに『彼女』はいなかった。

.

「どうした?」

「なんでもない」

何かあるのかと一緒に後ろを見ていたマックスに首を振ると、前を向いてまた歩き出す。

『彼女』がここにいるわけがないのだ。

俺は年に最低一回は王都に来るが、『彼女』は10年間王都に来ていない。

国王であるヴィクトルはあの手この手で呼び出しているようだが、「忙しいから無理」と書いた手紙を北部辺境伯がいつも持ってきて終わりだった。

今回もヴィクトルは『彼女』を呼んでいるだろう。

なにしろ王命。

いつもの要請とはわけが違う。

【とにかく急いで来い! 何が何でも絶対に来い!】

……本当に、いつもと違う。

俺のところに伝書鳩が届けてきたのは、形式も何もあったものではない、焦りが滲み出た王命。

あれが届いたのが2日前。

急ぎということで最低限の護衛だけを連れ、ろくに休憩せず、愛竜を駆り立ててきた。

「とにかく、ヴィクトルの元に急ごう……」

 カシャン

足元を見ると、剣の柄につけていた飾りが足元に落ちていた。

俺といい勝負で、素直さのなかった『彼女』。

「面倒臭いから代わりに選べ」と言った俺に、「嫌がらせ」と言って選んだもの。

「これ……」

『彼女』の瞳と同じ色。

夜明けの空のような薄桃色を帯びた紫色の石が割れていた。

◇◇◇

「南方将軍レオネル・フォン・ウィンスロープ公爵閣下、ならびに、東方将軍マクシミリアン・フォン・マーウッド様がいらっしゃいました」

扉の前にいた近衛兵の声に、扉が内側から開く。

相変わらず派手な扉だと思うが、王の部屋だから『威厳』を示すためにも大事なのだろう。

部屋の中にはヴィクトルのほかに、もう一人いた。

西方将軍であるヒョードル・フォン・トライアン伯爵。

どちらも俺の友人だが、国王の前ということで臣下として騎士の礼をとる。

『彼女』はいない。

上着のポケットに入れた、割れた石の重みが増した気がした。

.

「将軍たち以外は全員下がれ」

ヴィクトルが人払いをする。

珍しいことではない。

いつものこと。

だが、俺たちだけになってもヴィクトルは何も言わない。

不思議に思って顔を上げれば、ヴィクトルは普段から垂れ目の目をさらに下げていた。

「レオ、マックス、あのな……」

口を開いたくせに、その後は「あー」とか「うー」とかモダモダするだけ。

こちらは空を飛び続け、夜も野宿だった。

早く話を聞いてひと眠りしたい。

「ヴィクトル」

「あのさ……いや、でも……しかし……」

いい加減に焦れた。

ヒョードルに目を向ける。

「久しぶりだな、ヒョードル」

「あ、うん。……久しぶりだね、レオ。本当に……うん、久しぶり」

ヒョードルまでおかしい。

「お前までどうした? 何か西部で困ったことが起きたのか?」

西部を荒らす山の蛮族が何か仕掛けてきたのか。

その討伐を手伝えという王命か?

「春は山の恵みが多いから、山の蛮族が攻めてくることはないと思う。だから、うん、大丈夫」

大丈夫と言うくせに、ヒョードルは目を逸らす。

こんな落ち着きのないヒョードルを見るのは久しぶりだった。

だが、王国一の新聞社の経営者でもあるヒョードルは判断力がある。

予想通り、ヒョードルは顔を上げると俺をじっと見て、口を開いた。

「落ち着いて聞いて欲しいんだ」

이 작품을 무료로 읽으실 수 있습니다
QR 코드를 스캔하여 앱을 다운로드하세요

최신 챕터

  • 『彼女』の娘   第12話|レオネル

    俺たちが二年生に進級するとき、ヴィクトルも俺たちと同じ学院に通い始めた。俺たち五人の交流はここから始まった。.ヴィクトルが同じ学院に通う予定はなかった。隣国に留学し、当時婚約者だったその国の第二王女と交流し、仲を深めることになっていた。それが突然、留学をやめて帰国するというから驚いた。帰国の理由は、その第二王女が彼女の護衛騎士と駆け落ちしたからだった。王女の失踪が発覚すると、父王はすぐに捜索を命じた。そして、王女は花宿という、年頃の男女が数時間の休憩から宿泊といった用途で使用する施設で護衛の彼と全裸で盛り上がっているところを発見。発見した捜索隊の中には婚約者の行方を案じたヴィクトルもいて、当然だが、第二王女とヴィクトルの婚約は白紙になった。婚約者の逢瀬を見てしまったわけだが、ヴィクトルは一切ショックを受けていなかった。当然だ。ヴィクトルは第二王女の協力者だった。協力どころか「花街に連れこんで既成事実を作れ」と王家の箱入り娘を唆したのはヴィクトル。あまつさえ、娼館で使用されているから合法とはいえ、媚薬を王女に与えたのはヴィクトル。ショックを受けるわけがない。ついでに駆け落ちにも手を貸したらしい……本当、何やってんだか。まあ、第二王女は駆け落ち前に「護衛騎士との恋の道に進みたい」とヴィクトルに言ったらしい。この時点でヴィクトルは第二王女に見切りをつけたのだろう。己の恋心を優先して王族としての務めを疎かにする。そんな脳内お花畑の王妃では困ると判断したに違いない。ヴィクトルはそういう男だ。.王太子であるヴィクトルの婚約が白紙になったことで、高位貴族の令嬢の婚約は事実上全て白紙になった。有力な国にヴィクトルと年齢の合う未婚の王女はおらず、国内から新たな婚約者を探す必要があったからだ。これには俺も喜んだ。俺は婚約者を自称していたカレンデュラを王太子妃に推した。

  • 『彼女』の娘   第11話|ヒョードル

    【ヒョードル視点】.「謝りにいったとき、また意地の悪いこと言ったの?」模擬戦のあと何があったのか聞いたら。「嫌いなのはお互い様で、これからは近づくのは最低限にしようと言われただけだ」言われたのは、レオのほうだった。……本当に、アイシャは昔っから容赦ない。好きな子に嫌いと面と向かって言われたらショックなんだよ。男でも泣くんだから。「なんか可愛かった」……まあ、レオは例外だった。恋するレオのメンタルはすごいって思った。僕だったらフウラにそんなことを言われたらショックで寝込んだ。そして、恋するレオのメンタルにつられて、アイグナルドたちがアイシャに飛び掛かったらしい。それをレオは不思議がっていたが、僕にはその理由が分かっていた。.精霊は愛し子以外の人間には興味を持たない。でも、一部で例外がいる。それが、愛し子の子や孫。それは事実として知られているけれど、理由は定かではなく、諸説ある。僕は、愛し子が愛する者なのではないかと思っている。なぜなら、僕を加護するゼフィロスたちは、フウラにとても懐いている。家族になる前の、僕の『好きな子』のときから。フウラはおっとりしてるから、ゼフィロスが甘えても気にしない。髪と戯れ、時折引っ張っても気にせず、むしろ嬉しそうにその毛先を揺らして構っている。嬉しそうなゼフィロスを見ると僕も嬉しくなる。でも、あまりにフウラにくっつくと引きはがす。精霊は本能で行動するし、その見た目も相まって、赤ちゃんと似ている。フウラの胸に埋まろうとしたりするし……いや、その辺りは愛し子の好みかな。レオも僕と同じ好みだからね。アイグナルドたちもアイシャの胸に埋まったらしい。僕はアイシャをそういう目で見たことはないけど、アイシャの胸は大きい。形よくふっくらとしていて

  • 『彼女』の娘   第10話|ヒョードル

    【ヒョードル視点】.僕にとって、レオもアイシャも、どちらも大切な仲間だった。だから、レオから離婚訴訟の裁判を起こすと聞いたとき、「どちらの味方になれないなら司法に任せるのもありではないか」と思った。そこが間違いだったのかもしれない。二人のことが大切だったなら僕は……。僕は……。◇◇◇アイシャのことを思い出すと、一番鮮明に覚えているのは、高等部に入ってすぐの騎士団との模擬戦。あの模擬戦のあと、アイシャは雰囲気を変えた。被っていた特大の猫を脱いだ。「あの性格をよく隠していたな」と、今でも感心してしまう。素のアイシャは、色々と容赦がなかった。あの先代国王に対してあれほどの啖呵を切ったのだから、同級生に遠慮するわけがないのに、なぜかいじめを継続した馬鹿。アイシャは机の中やロッカーの中にスフィンランを忍ばせて対策していた。そして、アイシャの持ち物に悪戯しようとした者は容赦なく凍らせた。池に突き落とそうとした者は逆に突き落とし、氷魔法でそのまま凍らせた。防御も攻撃も容赦がなかった。騒げるものなら騒いでみろという態度も一切隠さなかった。アイシャは彼らが騒げないことが分かっていたんだ。愛し子には王族に対するように接しなければいけない。そのルールを破っているのは彼らのほう。もうこれだけでその罪の言い逃れはできなかった。国王相手に「将軍になんかなってやらない」「そんな義務はない」と啖呵を切ったアイシャ。アイシャは最も魔物が多く出現し、竜も多数目撃される北部を治める将軍になる予定のスフィンランの愛し子。王太子だったヴィクトルが間に入ってアイシャを宥めたが、「ひとまず保留にしてほしい」と結論を先延ばしにするのが精一杯だった。そんな状況でアイシャが「虐めに耐えられない」とか「北部将軍にはならない」なんて言えば、虐めの原因となった者は吊るし上げられ、下手すれば三代くらいまとめて処刑されただろう。アイシャだって、王族のように接しろなんて言っていなかった。目障りなら近寄らなければいい。むしろ、近づくな。鬱陶しい。アイシャはそんな態度を隠さなかっただけだ。.アイシャとレオがちゃんと喧嘩したことが嬉しかった。喧嘩したなら仲裁ができるから。虐めはなんともできない。もちろん「いい加減にしろ」「止めろ」と言うことはできるけど一過性でし

  • 『彼女』の娘   第9話

    あのときなぜ俺は『彼女』を追いかけたのか。多分、あのまま姿を消してしまうと思ったからだ。『彼女』は本当に優しい。あのときのことがあっても、10年前のことがあっても。結局は、この国に残っている。そして、なりたくないと言った将軍のまま、今もこの国を守り続けている。◇◇◇演舞場から出て、城を探し回り、諦めて学院に戻った俺は訓練場で『彼女』を見つけた。その日はみんな城に行っていたからそこには誰もおらず。無人の演習場で『彼女』は笑い声をあげていた。演習場の中では、『彼女』が楽しそうにスフィンランたちと戯れていた。その姿は軽やかで、舞いを踊っているようだった。飾り気のないシンプルな生成りのワンピースの姿で。周りを白い光がいくつも舞っていて。宝石一つ身につけていないのに、俺の目には『彼女』がキラキラして見えた。『彼女』の笑顔を、俺はこのとき初めて見た。.「冷たっ!」頬に冷たいものが突然当たり、俺は声を上げてしまった。そちらを見れば数匹のスフィンランが怒った顔をしていて――。「ウィンスロープ公子?」先ほどまで楽しげな笑顔が嘘かのように、『彼女』は嫌そうな顔で俺を見ていた。「何の御用ですか?」軽やかだった笑い声も、硬質なものに変わってしまっていた。「愛想がないな」「公子様も人のこと言えませんわ」顎を上げてツンッとそっぽを向く。「性格、変わり過ぎじゃないか?」「馬鹿の振りと愛想笑いに疲れました」何か文句があるのかと言いたげな『彼女』の態度は、毛を逆立てた猫のようだった。思わず笑いそうになったが、探した理由を思い出した。俺は『彼女』に頭を下げた。「すまなかった」顔を上げると、『彼女』はとても驚いていた。「どうした?」「……公子様って、謝ることができる人だったんですね」「お前、俺を何だと思っているんだ?」「謝ったことが一度もない高慢ちきなお坊ちゃま」遠慮のない言葉だったが、的確な表現だった。俺が何も言えないでいると、『彼女』は声をあげて笑った。「謝罪は受け入れます」「寛大な心に感謝する」「でも今後の交流は最低限にしましょう」「え?」「だって、公子様は私のことが嫌いでしょう?」「いや……」反射的に否定の言葉も出たが、そこまでだった。「気にしないでください。私も公子様のことは嫌いなのでお互い様です」

  • 『彼女』の娘   第8話

    「私は別に構いませんよ」国外追放について、『彼女』は呆気らかんとしていた。「文字が書けて、計算ができるなら、どこでもやっていけます。外国語も頑張ったので、国外だってなんとかやっていけますよ。ここにいる皆さんより言葉も通じる気がしますしね」『彼女』はわざとらしく手を叩いた。「不敬罪は処刑でしたね」処刑についても、あっさりとしていた。「私を殺したら、スフィンランたちは怒るでしょうね」ひとつ頷く。「大精霊を怒らせてはいけないことは、この国の子どもでも知っていること。それこそ孤児でも」「だから大精霊の愛し子たちは、王族と同等以上の扱いを受けられる。それも一般常識」「なのですが」と区切った。「どうやら『孤児の愛し子』は例外のようなので、怒らせたときのスフィンランの報復も例外だといいですね」その言葉に応じるように、スフィンランたちに殺気が宿った。そして手始めとばかりに、観客たちの持っているグラスの中のワインが一斉に凍りはじめた。先代国王の持っていたワイングラスも中が凍り、グラスにヒビが入る。「ひっ……い、愛し子が王である儂に対してなんて無礼を」「そんなに偉いなら、愛し子と同等以上のことをしてください。魔物の討伐とか。そういうの、ノブレス・オブリージュって言うのですよね」「お前は愛し子の責任を放棄するのか?」「ノブレスじゃない孤児にそんなもの期待しないでください。孤児にそういう崇高さはないと言ったのはあんたらでしょうが」……『あんたら』って、淑女教育はどこいった?「命を惜しむか!」「え、惜しまないんですか?」わざとらしいくらい吃驚した顔。「もしかして王侯貴族って命が複数あるんですか? それならなおさら、みなさんが魔物討伐にいってくださいよ」先代国王の顔が怒りで赤く染まった。血圧が心配になる赤さだった。そんな先代国王に対し、まだ言い足りないのか、『彼女』の追撃は止まらない。「私を愛し子として扱わなかったのは皆様のほう。心当たりがないとは言わせません。それなのに力は貸せとは……ずいぶんと虫のいい、図々しい話ですこと」「この国を守らないというのか?」「はい」即答に、会場のざわめきが大きくなる。「私にそんな義理はないですし、自分の命をかけて守りたい家族も名誉もありません」にこっと笑うその目は冷たい。「守ってほしいなら、そ

  • 『彼女』の娘   第7話

    「人が我慢していれば調子に乗って」怒れる魔王、いや、『彼女』はヒールを鳴らして俺に近づいてきた。石の床をカツカツと叩くヒールの音。あまりの事態に呆然としていた俺は、「あの高いヒールはどう見ても戦闘には不向きだな」のようなことを考えていた。.「それ、貸してください」「は?」脳が働いていなかったため言っている意味が分からず、間抜けな声で聞き返すのが精いっぱいな俺。「そ・れ」『彼女』の指が俺の肩を指す。「その、どう見ても邪魔な飾りでしかないそのマント。私に貸してください」俺は黙って頷くと、肩につけていた緋色のマントを外してアイシャに渡した。確かにあれは邪魔だった。.男漁りに来たのか。俺はそう言って、あんな格好で模擬戦に出た『彼女』を非難した。TPOをわきまえろと、どの口が言ったのか。衣装に関しては俺もアイシャのことは言えない。サンドラの指示で用意された衣装は、ウィンスロープの威光を見せつけようとしたのだろう。大きな宝石はくっついていたし、無駄にひらひらとした飾りがついていた。……よくあんなことを言ったな、俺。.「ありがとうございます」『彼女』は器用にマントを体に巻いた。露出度が減ったことで、あのとき俺はようやく金縛りから解けた。深い襟ぐりからのぞく瑞々しい肌は艶かしく、それが目の前にあるものだから、若い俺は目のやり場に困っていた。「まずは公子様」『彼女』は俺を見た。「これを私の趣味だと思われたら嫌なので言っておきます」「はい」素直にうなずいてしまうくらい迫力があった。「この衣装は学院長が愛人に用意させたものです。その愛人はあそこ。趣味の悪い紫色のドレスを着た女性です」指を差された女性は顔を青くした。悲鳴があがったのでそちらを見れば、学院長が隣にいた奥方に扇子で連打されていた。「……わざとか?」「全裸よりはマシ程度の衣装を用意された腹いせです。これも借りますね」『彼女』は手を伸ばし、俺の腰に差してあったギラギラと煌びやかな短剣を手に取った。実用性のない飾りでしかない剣。しかし、剣は剣。「なっ!」俺が制止する間もなく、『彼女』は自分の長い髪を無造作に掴むと肩より上の位置で切り落とした。バッサリ。そんな景気のいい音が聞こえてきそうな行動に、会場のあちこちで悲鳴が上がった。「何をしているんだっ

더보기
좋은 소설을 무료로 찾아 읽어보세요
GoodNovel 앱에서 수많은 인기 소설을 무료로 즐기세요! 마음에 드는 작품을 다운로드하고, 언제 어디서나 편하게 읽을 수 있습니다
앱에서 작품을 무료로 읽어보세요
앱에서 읽으려면 QR 코드를 스캔하세요.
DMCA.com Protection Status