庭の
常緑樹を剪定する時、まず枝ぶりを俯瞰して“何を残し、何を切るか”の基礎方針を決めるのが肝心だ。冬の終わりから春の芽出し前(多くは2〜3月)が、構造的な剪定にはもっとも適している。落葉していない樹でも活動が鈍い時期を狙うと樹の負担が少なく、傷口の回復も比較的早いからだ。
作業の順序は、消毒した道具で枯れ枝や病的な枝をまず取り除き、次に交差している枝や内向きの枝を切って風通しを確保する。切る場所は芽のすぐ上で、芽が外向きならその向きに枝を伸ばすように45度の角度で切ると自然な展開になる。大きな主枝は一度に多く切り過ぎず、全体の30%以内に抑える。
針葉樹(例えばヒノキやカイズカイブキのようなもの)は古い木質部からの再生力が弱いので、緑の部分に沿って選択的に枝を詰める。花木系の常緑(ツバキやシャクナゲ等)は花後に整えるのが原則で、花芽を落とさないように注意する。若木は芯を残して形を作り、古木の再生は数年かけて段階的に行うのが安全だ。
道具は剪定鋏、枝切り鋏、ノコギリを状況に応じて使い分け、切断面はなるべく滑らかに仕上げておく。作業後は切り口の消毒は必須ではないが、病気が出ている場合は確実に処理すること。最後にマルチングと適度な潅水で回復を助ければ、樹も元気を取り戻す。自分の手で整えていくと樹の季節感や反応がわかってくるはずだ。