雪が淵に降り、道を照らさず
三年前、私は三木グループの社長を救った。
その夜、彼は自ら孫を連れて私の家に縁談を申し込んできた。
それは私が七年間密かに想いを寄せていた人だ。だから、私は承諾した。
そして、結婚して三年、夫は私を溺愛し、誰もが羨むほどだった。
しかし、三木家の養女が帰国した時、私は偶然にも夫が彼女を抱きしめて、優しく声をかけているのを見てしまった。
「橋本寧々(はしもと ねね)の子供が生まれるまで、祖父が会社の相続権を俺に与えてくれない。まあ、相続権なんていらなくてもいいけど、今すぐにお前を嫁に迎えるさ」
彼女は艶やかに笑った。「急いでいないわ。むしろ、あなたが三木家の後継者として私を迎えてくれる方が嬉しい。ただ、彼女を好きになってくれなければ、それでいいの」
彼は優しく微笑みながら言った。「七年前、お前が俺を火事から救ってくれた。その時言っただろう、この一生、お前だけを愛するって」
その瞬間、私はどん底に突き落とされたような気分になった。
一つは、彼が私に真心を持っていなかったから。
もう一つは、七年前、彼を救ったのが実は私だったから。