砕け散った愛は満天の星に
「契約が満了するまであと半月。私は野崎松哉(のざき しょうや)と離婚します」
その言葉を口にしながら、浅倉澪(あさくら みお)はiPadで何十回も再生した動画を見つめていた。
動画の中では、夫である野崎松哉が、幼馴染の女性をじっと見つめ、情熱的に語りかけていた。
「紗奈、俺はまだ君を忘れられない。俺のそばに戻ってきてくれないか?」
そう言うと、自ら彼女の赤い唇を奪った。
そして、澪が十月十日をかけて命がけで産んだ息子、野崎哲也(のざき てつや)は、大声で叫んでいた。
「パパ、紗奈おばさんを僕のママにして!」
澪の離れたいという思いは、ますます固まっていった。
電話の向こうで、義母である野崎佳乃(のざき よしの)はしばらく沈黙した後、慎重になるよう諭した。「よく考えなさい。もし離婚したら、今の仕事も手放さなければならないし、契約があるから財産もほとんど手に入らないわよ」
澪はためらうことなく答えた。「わかっています。婚姻届も偽物だったのですから、もちろん慰謝料なしで出ていくつもりです。ご心配なく」
佳乃は彼女を引き留めようとした。「どうしても離婚するというなら、親権は絶対に渡せないわ。もう子供に会えなくなっても構わないの?
あなたが松哉を愛しているのは知っているわ。子供がいれば、彼もいつかはあなたに心を向けるようになるわよ」