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誠実そうな彼が偏愛したのは、私じゃなかった

誠実そうな彼が偏愛したのは、私じゃなかった

私、須藤花音(すどう かのん)、誕生日はエイプリルフール。 なのに、付き合って五年になる彼氏・松本律希(まつもと りつき)は、毎年一日早くお祝いしてくれる。 だって、エイプリルフール当日に、幼なじみの中林莉々(なかばやし りり)と過ごす時間を、無駄にしたくないからだ。 今年は「埋め合わせする」と言って、ようやく二人きりで誕生日を祝ってくれることになった。 周りからは「あの日、プロポーズされるよ」と囁かれていた。 エイプリルフール当日。 私はばっちりメイクをして、新調したワンピースを着て、待ち合わせの場所へ向かった。 花びらが舞い散る中、律希が私の前に片膝をついた。 私が言葉を発しようとしたその瞬間―― 指輪ケースから、どばっとインクが噴き出した。 「ハッピーバースデー!真っ黒さん」 「結婚に焦ってる女、怖いね。エイプリルフールのプロポーズを本気にするなんて」 莉々がスマホを掲げて、夢中で連写している。 律希は彼女を止めるどころか、一緒になって笑い出した。 「泣きたきゃ我慢しろよ。 莉々と『お前は泣かない』って賭けてる。負けさせるなよ」 私は無表情のまま、顔のインクを拭った。 心は完全に冷え切っていた。
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結婚式を越えて

結婚式を越えて

婚約者はラーメン屋で私と結婚式を挙げようとしていたのに、豪華なクルーザーで愛する人に永遠の愛を誓っていた。結婚式まであと四十八時間、私はもう彼はいらない。
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色褪せた愛よ、さようなら

色褪せた愛よ、さようなら

千早名月(ちはや なつき)は、誰もが羨む完璧な結婚生活を送っていた。骨の髄まで愛してくれる完璧な夫とともに。 しかし妊娠が判明したその日、彼女は衝撃の真実を知った――最も信頼していた夫が、実は2年間も浮気を続けていたことを。 しかもその浮気相手は、大学時代に彼女を執拗にいじめていた吉塚青(よしづか あおい)であり、二人の間にはすでに双子の子どもまで生まれていた。 あの愛人は繰り返し挑発を仕掛け、夫もまた、愛人と密会するために幾度となく彼女を欺いてきた。 裏切られた約束に復讐するため、名月は躊躇なく中絶を選び、さらに自身の死を偽装する事故を企てた。 そして去る間際、流産したときの診断書と、愛人からの挑発の証拠を贈り物として夫に託し、「数日後に開けて」とだけ言い残した……
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年上は嫌いだったんじゃないの?私が結婚したら泣くなんて

年上は嫌いだったんじゃないの?私が結婚したら泣くなんて

神崎颯斗と付き合い始めて二年目。私が30歳、彼は24歳になっていた。 正直、私は何度も彼に聞いていた。「ねえ、颯斗は将来、結婚って考えてるの?」と。でも彼はいつも同じ答えを繰り返した。 「俺はまだ若いから、結婚なんて考えないよ。今は仕事を頑張る時期だしさ」そう笑って、私の問いかけをさらりとかわしてきた。 だけど......そんな彼が他の女性と親しげに寄り添い、笑顔で抱き合う写真を、私は彼のSNSで見つけてしまった。胸が締め付けられた。 さらに悪いことに、彼が酔っ払ったとき、友人たちと話していたという会話の録音が送られてきた。 「おい、本当にあの年増女と結婚する気かよ!」友人にからかわれて、彼は酒瓶を片手にこう答えた。 「俺が結婚?冗談じゃねえよ。若くて可愛い子の方が絶対いいに決まってる。あいつは金持ってて、俺に尽くしてくれるから一緒にいるだけ。あんなシワだらけのババア、顔見るだけで吐き気がする」 笑い声が耳にこびりつく。 私がどれだけ彼に尽くしてきたかなんて、彼には一ミリも伝わっていなかったんだ。全てが虚しい偽りの言葉だったのかと思うと、悲しみと怒りが心を埋め尽くした。 もう、こんな関係はやめよう。私はこの恋に決着をつけ、心を断ち切った。 そして私はただ一つのことに集中することにした。そう、お金を稼ぐことだ。自分の力で手に入れたお金があれば、心の隙間なんて埋められる。
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春はなお昔のままに

春はなお昔のままに

佐治海翔(さじ かいと)の愛人がまたもや自殺騒ぎを起こした時、彼は当然のように私との結婚式をまた延期した。 五ヶ月の間に九回目の延期。私のお腹は、誰が見ても妊婦だと分かるほどに大きくなっていた。 今回、私は引き下がることなく、彼を真っ直ぐに見据えて問い詰めた。 「この結婚、するの、それともやめるの?」 前世では、私の弱さのせいで、式は何度も何度も先延ばしにされた。 母は怒りのあまり倒れて入院し、私は大きなお腹を抱えたまま、彼の愛人に許しを請いに行った。 だが、彼女を追い詰めたと濡れ衣を着せられ、階段から突き落とされて流産した。そうして、二度と母親になれない体になったのだ。 海翔は彼女を罪に問うどころか、子供を死なせたのは私のせいだと責め立てた。 絶望と怒りのあまり、私は急性心筋梗塞で命を落とした。 生まれ変わった今、はっきりと理解している――こんなクズ一人のために、自分の人生を台無しにする必要など、どこにもないのだ。
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春の終わり、私はあなたを手放した

春の終わり、私はあなたを手放した

「私は魂の純度を求めている。だからこそ、私が相手に求めるものは、肉体ではなくイデアの領域なんだ。俗世にまみれた君は、その相手ではない」 大学教授の上杉悠真(うえすぎ ゆうま)が、初めて九条凛(くじょう りん)の告白を断った時のその声は、冷淡そのものだった。 凛の表情が一瞬にして強張る。しかし、すぐに笑顔を作り直して言った。「じゃあ、豪華な金縁の『恋愛哲学書』でもプレゼントしようか?」 「いらない。そんな低俗なもの」そう言うと、悠真は背を向けて去っていった。「これ以上、こんなくだらない事に時間を費やさない方がいい」 だが、簡単に諦める凛ではなかった。 高卒という肩書を持ちながらも、18歳で会社を興した凛。そんな彼女は、欲しいものは全て手に入れてきた。 寝る間も惜しんで哲学書を読み漁り、悠真の講義に通い詰めた。しかし、講義中に質問をした際、分かったふりをするな、と切り捨てられてしまった。 それでも、覚悟を決めた凛は、悠真の隙をついて、勢いよく背伸びをし、彼に口づけをしたのだった。
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DISTANCE

DISTANCE

ジゴロのイオリは、出会い系ゲイバー「DISTANCE」で、次の〝パトロン〟を物色する日々。 金の切れ目が縁の切れ目──かつてのパトロン・ケイタとの喧嘩で入院し、借金を背負ったイオリは、街で悪名高い「トライアルローン」から金を借り、返済に追われていた。 そんなある日、「DISTANCE」に現れたのは、上質なブランドに身を包んだ男・雪村真澄。 カモとして口説いたはずが、いつしか本気で恋に落ちていくイオリ。 ジゴロが恋をした先に待つのは、甘い夢か、それとも──? ※ この物語は、平成頃の設定です。
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心が追いつくまで

心が追いつくまで

彼に自分の臓器を提供するまで、あと十日。 蘆田風鈴は心の中で、その日をひっそりと数えていた。 あと十日さえ耐えれば、彼は健康な身体を手に入れ、鬱陶しい替え玉である私は、きっときれいさっぱり捨てられるだろう。 そのあと、好きな人と幸せになった彼は、私のことを思い出してくれるだろうか。 ……きっと、ないよね。
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二十七日の懇願、三日遅れの離婚

二十七日の懇願、三日遅れの離婚

母が病に倒れ、余命わずかの中で、最後に望んでいたのは私の結婚だった。 私は高嶺辰哉(たかみね たつや)に二十七日間も頼み込み、ようやく一緒に婚姻届を出してくれると約束してもらった。 けれど、私は区役所で窓口が閉まる時間まで待っても、彼は現れなかった。 その日のうちに、辰哉の幼なじみ――村瀬冬実(むらせ ふゆみ)が、SNSに一枚の写真を載せた。 【早いなあ。あと三日で、入籍して一か月になるんだ】 その瞬間、私は気づく。最初に彼へ必死に頼み込んだあの日、辰哉はすでに幼なじみと婚姻届を出していたのだと。 同時に、スマホに彼からの謝罪のメッセージが届いた。 【穂花、冬実は家に無理やり結婚させられそうになっていた。放っておけなかったんだ。 あと三日で、俺たちは離婚する。 三日後、必ずお前を迎えに行く】 ――そして三日後。 正装姿の辰哉が区役所の前に現れたとき、彼のスマホに届いたのは、ただ一通の私からの言葉だった。 【辰哉、もう二度と会わない】
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憎しみの婚約破棄に彼は涙する

憎しみの婚約破棄に彼は涙する

桔梗穂乃果(ききょうほのか)と織田拓海(おだたくみ)は一夜限りの関係を結ぶ。二人は織田コーポレーションの後継問題で、一千万円の契約金で婚約関係を結ぶことになった。穂乃果と拓海は徐々に惹かれ合う。やがて穂乃果は拓海の子供を身籠る。その事実を知らない拓海。そんな折、拓海の初恋の相手がイタリアから帰国した。拓海は穂乃果に別れを告げる。穂乃果はひっそりと身を隠すが、拓海は穂乃果の母子手帳の写しを見つけ動揺する。
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