永遠に届かぬさよなら
結婚式当日、私の婚約者と妹の高橋蘭(たかはし らん)が控室で夢中になって関係を持っているところを、人に見られてしまった。
私は皆の笑い者になった。そんな中、幼馴染の六郷景一(ろくごう けいいち)が人々の注目を浴びながら私にプロポーズし、私を守ってくれた。
結婚後、彼は私にとても優しかった。
ただ、彼は思うようにいかず、夜の営みがうまくいかなかった。
今年体外受精をして、私はやっと妊娠することができた。
その後、彼はさらに私を大事にしてくれた。
彼は私の運命の人だと思っていた。
あの日、彼と友人の会話を耳にするまでは。
「景一、お前もひどいよな。寧はお前にあんなに尽くしてるのに、蘭が出産を怖がってできないからって、卵子をすり替えて寧に代理出産させるなんて。
それに、あと2ヶ月で子供は生まれるんだぞ。どうするつもりなんだ?」
彼は少し黙って、ため息をついた。
「子供が生まれたら、蘭に渡して、彼女の願いを叶えてやるつもりだ。
寧には、子供は死産だったと伝える。
残りの人生は、俺が寧のそばにいてやる」
そういうことだったのか。
私が優しい愛情だと思っていたものは、全て蘭のためだった。
私はすぐに手術の予約を入れた。
この汚れた子供はいらない。
この偽りの結婚生活も、もういらない。