賞味期限切れの愛は、お断りいたします
いつもは冷淡で近寄りがたい社長が、酔った勢いで私を部屋に連れ込んだ。
激しい一夜を過ごした後、彼は言った。
「結婚するか?」
何かに突き動かされるように、私は頷いた。
これが恋の始まりなのだと思っていた。けれど、三年にも及ぶ彼との秘密の結婚生活で、私が正式な妻として認められることは決してなかった。
結婚記念日の当日――彼の忘れられない初恋の人が帰国したその日、彼は私を放っておき、彼女の歓迎会のためにバーへと向かった。私は一人、レストランの閉店まで待ち続け、土砂降りの雨の中を帰路についた。
急性胃腸炎で意識が遠のきかけた時すら、彼は彼女からのたった一本の電話で、苦しむ私をその場に置き去りにして去っていった。
彼女に私のことを尋ねられても、彼は素っ気なく答えた。
「ただの秘書だよ」
あの日、私は法律事務所へ離婚相談の予約を入れた。部屋を綺麗に片付け、彼への感情もすっきりと整理して、彼の世界から永遠に姿を消した。