偽の御曹司にすべてを譲ったら、彼女がパニックになった
俺と平野恵美(ひらの えみ)の結婚式の日、偽の御曹司が自殺した。
結婚2年目、結局その一件で、俺たちは憎み合うようになった。
彼女は、本物の御曹司である俺が戻ってきたせいで、宮本勲(みやもと いさお)が死んだのだと俺を恨んだ。
俺は、20年も俺の立場を奪っていた偽の御曹司に、彼女が未練を抱いていることが許せなかった。
10年間、俺たちは最も残酷な言葉で互いを傷つけ、「野垂れ死ね」と呪い合った。
だが、あの大地震の時。彼女は俺を庇い、命を犠牲にしてまで俺の生きる道を作ってくれたのだ。
崩れ落ちた瓦礫の下で、彼女は血まみれになっていた。
死の淵で、彼女は俺の耳元で囁いた。「彼が死ぬって分かってたら、あなたを宮本家に連れて帰ったりしなかったのに。
もし来世があるなら、あなたの家族は私一人だけで十分よ」
結局、俺も余震に巻き込まれて命を落とした。
目が覚めると、彼女が俺を実の家族との顔合わせに連れて行ったあの日に戻っていた。
彼女は突然言葉を翻した。「要(かなめ)、私の勘違いだったわ。宮本家が20年前に失った息子は、あなたじゃなかったの」