愛のために我が子を失った悲劇の王妃に憑依したみたいです。推しの息子と二人で幸せに暮らすため、夫はヒロインに差しあげます!

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last update최신 업데이트 : 2025-07-03
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日本でアラサー主婦だったのに、気がついたら不倫恋愛ロマンス小説に登場する、性格の悪いアデリナに憑依していた!? しかも素人作品!?未完成!? このままでは夫のローランド王がヒロインと出会い、最推しの息子、ヴァレンティンが悲惨な死を迎えてしまうバッドエンドに! よし。すぐに離婚しよう!…と思ったのに? 性悪妻に憑依した元日本人アラサー主婦×愛のために自分の息子を殺す運命の王。 二人の離婚劇の行末は?

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1화

性格の悪い妻に憑依したので、迷わず離婚します

 「氷の王」と呼ばれたローランド六世は、幼い頃から愛のない夫婦の元で育ち、常に愛を求めていた。

 だが妻にと政略結婚を持ち掛けられたのは、性格の悪い大帝国の皇女、アデリナだった。

 ローランドは迷ったが、自国の民を思って彼女との婚姻を決める。

 始めはローランドも何とか妻を愛そうと努力した。

 だが性格の悪い妻だけはどうしても愛せなかった。

 その事で苦しみ、やがて心を閉ざした。

 数年後。

 二人の間に義務として子供が産まれるが、ローランドは国を守るために隣国の戦場へと旅立ってしまう。

 そこでローランドは瀕死の重傷を負うが、ヒロインで白衣の天使=リジーに命を救われる。

 リジーと触れ合い、心を通わしたローランドは、ついに本当の愛を知るのだ。

 ローランドとリジーの愛は、吹き消せない炎のように燃え上がった。

 「許せない……!!

 私以外の女を愛するなんて許さないわ…!!

 すぐに別れなければ、その女の大切な関係者を、一人ずつ処刑するわよ!!!」

 

 それを知ったアデリナは、自分の所有物を奪われたと怒り狂い、二人を引き離そうと過剰なまでの妨害や嫌がらせを繰り返した。

 だがローランドとリジーの絆は深くなるばかりで、ブチ切れたアデリナはついに母国の兵を引き連れて、夫の治める国に反旗を翻した。

 アデリナの母国マレハユガ大帝国と、クブルク国の全面戦争が始まったのだ。

 嫉妬に狂った母親のために、息子のヴァレンティンは王である父と戦争をする事になる。

 最終的にアデリナは破婚されて身を滅ぼし、最愛の息子ヴァレンティンは、最後までリジーとの愛を貫いた自分の父親、ローランドによって殺害された…

 ……って悲劇すぎん?

 ……タイトルが確か。

 【愛を貫いた白衣の天使と氷の王】っていう不倫恋愛ロマンス小説だったよね?

 何で小説投稿サイトの素人作品に出てきた、性格の悪い妻アデリナに私が憑依してるの?

 しかもまだ未完成作品だったじゃない!!!

 今の段階だと確か、二人が政略結婚して一年後くらいだよね。

 だけどそれなら、既にローランドはアデリナに対して不信感しかないはず……!

 しかも私の最推しのアデリナの息子、ヴァレンティンに至ってはまだ妊娠すらしてないじゃない!

 会いたかったな、ヴァレンティン!

 でもそっか。何か分からないけど、憑依してしまったものは仕方がない。

 それより、この最悪なバッドエンドを一体どうするべき?

 考えて。

 物語やゲームの悪役に憑依してしまった主人公達なら、こんな時どうする?

 やっぱり、バッドエンド回避を目指すのが鉄則だよね!

 それなら私も夫との仲を友達程度に回復しておいて、ヒロインが現れたら快く譲ればいいんじゃない?

 いや、その前に遊んで暮らせるお金を稼いでおいたり、隣国の王子に溺愛されたりすれば?

 って……え?

 ちょっと待って待って待って。

 夫のローランド王は既に、アデリナに対して冷え切ってるんだよね?

 そんな人に好かれようと、媚び売りながら生きるなんて無理じゃない?

 こっちもそれなりの年齢だし、プライドが許さないというか。

 それにヒロインが現れるまでにって。

 ……ヒロインが現れて、夫が横から奪われていくのを見守れって?そんなドロ沼、現実だけで十分なんですけど!

 それにこんな異世界でお金を稼ぐなんて、そう簡単じゃないと思う!

 隣国の王子が人妻を溺愛?

 本物の小説の住人じゃあるまいし、そんな都合のいい展開あるわけない!

 つまり自力で救われる以外に、私が助かる道はないって事だよね!

  

 うん………バッドエンド回避のために即離婚しよう!

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性格の悪い妻に憑依したので、迷わず離婚します
 「氷の王」と呼ばれたローランド六世は、幼い頃から愛のない夫婦の元で育ち、常に愛を求めていた。 だが妻にと政略結婚を持ち掛けられたのは、性格の悪い大帝国の皇女、アデリナだった。  ローランドは迷ったが、自国の民を思って彼女との婚姻を決める。      始めはローランドも何とか妻を愛そうと努力した。  だが性格の悪い妻だけはどうしても愛せなかった。  その事で苦しみ、やがて心を閉ざした。  数年後。  二人の間に義務として子供が産まれるが、ローランドは国を守るために隣国の戦場へと旅立ってしまう。  そこでローランドは瀕死の重傷を負うが、ヒロインで白衣の天使=リジーに命を救われる。  リジーと触れ合い、心を通わしたローランドは、ついに本当の愛を知るのだ。  ローランドとリジーの愛は、吹き消せない炎のように燃え上がった。   「許せない……!!  私以外の女を愛するなんて許さないわ…!!  すぐに別れなければ、その女の大切な関係者を、一人ずつ処刑するわよ!!!」   それを知ったアデリナは、自分の所有物を奪われたと怒り狂い、二人を引き離そうと過剰なまでの妨害や嫌がらせを繰り返した。  だがローランドとリジーの絆は深くなるばかりで、ブチ切れたアデリナはついに母国の兵を引き連れて、夫の治める国に反旗を翻した。  アデリナの母国マレハユガ大帝国と、クブルク国の全面戦争が始まったのだ。 嫉妬に狂った母親のために、息子のヴァレンティンは王である父と戦争をする事になる。 最終的にアデリナは破婚されて身を滅ぼし、最愛の息子ヴァレンティンは、最後までリジーとの愛を貫いた自分の父親、ローランドによって殺害された… ……って悲劇すぎん?  ……タイトルが確か。 【愛を貫いた白衣の天使と氷の王】っていう不倫恋愛ロマンス小説だったよね?  何で小説投稿サイトの素人作品に出てきた、性格の悪い妻アデリナに私が憑依してるの?  しかもまだ未完成作品だったじゃない!!! 今の段階だと確か、二人が政略結婚して一年後くらいだよね。  だけどそれなら、既にローランドはアデリナに対して不信感しかないはず……!  しかも私の最推しのアデリナの息子、ヴァレンティンに至ってはまだ妊娠すらしてないじゃない!  会いたかったな、ヴァレンティン!    
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性格の悪い妻に憑依したので、迷わず離婚します
 「アデリナ。何か悪い物でも食べたのか?」   面と向かって離婚しようと言った。  善は急げと思い。    広い王宮の中。侍女だという女に案内されてようやく、辿り着いた執務室。  そのど真ん中のご立派な机の、ご立派な椅子に座っていた男は、私を見るなり明らかに怪訝そうな顔をする。 これがあの氷のローランド王……!    角度によっては、薄水色にも見える銀の髪。  それを後ろで一本に丁寧に束ねてある。  見事な色。本当に地毛……?  威圧感のある切れ長の目。口元の黒子。  いかにもコスプレイヤーが着ていそうな英国貴族風の服。腕には金のカフスがキラリと光っている。  この何事にも動じないような重圧感は、まさに氷の王という感じがする!そして若い! 暇つぶしにこの小説を読んでいた時は、あまりにも落ち着いた性格をしていたから、勝手に老けたイメージを持ってた。  だが実際はまだ20歳と言われても納得できそうなハリ、艶のあるイケメンである。    これが私の夫(正確にはこの体の持ち主・アデリナの)! どうやら執務中だったらしい(そんなの知るか!)。  隅に控えていた補佐官風のメガネの男に、ギロりと睨まれた。  でも睨まれたって全然怖くない。  なぜなら私は、あなた方の知っているアデリナではないのだから……!!  「悪い物なんて食べてませんわ。  ただ……私は貴方の妻には相応しくないと分かったのです。だから離婚しましょう?」 この人は王だからきっと、言葉使いはこのくらい丁寧でなければいけないよね?  アデリナの喋り方なんかいちいち覚えてない。  ただ、とんでもない悪女だったとしか。  「……ハア、王妃陛下。見ての通り陛下は今、政務中なのです。ご冗談はお控え頂きたい。」  補佐官風の男はアンティーク調のメガネを揺すり上げて、呆れたように溜息を吐いた。  この人は確か……  乙女ゲームに出てきそうなイケメンで…だけど冷たい感じの、ローランドの補佐官で……名前が……何だっけ。スミ……スミス……  ミラル……ミーラー…… 「ランドルフ。待て。  何か良くは分からないが、この際アデリナの話を聞こう。」 あ・全然違った……!!!  正解はランドルフさん!!  「失礼しました、陛下。」 彼が引き下がると、ローランドは前のめ
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性格の悪い妻に憑依したので、迷わず離婚します
 何にも……!? 私は何っんにも企んでませんけどね!? それはお宅の奥さんでしょ(この体の持ち主の)!? 私は単にアデリナに憑依してる、日本生まれ日本育ちのふつーの主婦ですからね! ついさっきまで、自宅で推しのアイドルグループのライブ配信見てましたけど何か? ちなみに現実の我が家でも冷え切った夫婦関係で、夫は常に浮気相手優先にしてたクズ野郎でしたけど何か!??  ていうか私、死んじゃったの? ライブ配信見てたその後の記憶が、サッパリないんだけど。 気が付いたらアデリナの顔と体になっていて、この小説の世界の住人に…… あー…それにしても、この小説の男主人公だっけ? アデリナの夫、ローランド王! 人の話をろくに聞こうともしないで。 そんなだから平気で浮気なんてするのよ。 本当にムカつく男………!!! ◇ 「アデリナ様……今夜はどうかなさったのですか? そのようにおやつを深夜に食べると…」 「は?」 「……ひいぃっ!」 あの後——————。 『また何か悪いことをしでかす前なんだろう? お前は本当にろくでもない女だ。』 それはそれはご丁寧に……! あの男、ローランド王にまるで害虫でも見てるみたいに睨まれ、辛辣に毒を吐かれ、どんなに取り繕っても全く相手にされず、気づいたら邪魔者扱いされて部屋を追い出されていた。 ろくでもないって何よ!! ……言ってやりたかった、それはお宅のアデリナさんでしょ!って。 ただでさえその怒りが収まっていないのに、今度は別の侍女から「王妃陛下、夕飯の時間です。お急ぎ下さい。」とか言われ、強引に食事の席に誘導されてしまう。 幸いあの男はまだ仕事があるらしく、食事中にまであの顔を見なくて済んだからよかったけどね! やたら広く、長いテーブルのある部屋。 映画とかでしか見た事ないような高い天井。 大きなシャンデリア。 かなり豪華な食事が並んでいたけれど、マナーも分からないし本当に困った。 ただ周囲はアデリナが怖いのか、誰も何も言ってこなかった。 食後、たくさんの侍女達にお風呂に入れられて、あっという間に夜のシュミーズドレスというやつに着替えさせられていた。  アデリナの部屋はこれまた超豪華で、金色に輝く装飾品ばかりが置かれていた。 ベッドも童話のお姫様とかが寝ている、あの天蓋付きベッ
last update최신 업데이트 : 2025-06-09
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性格の悪い妻に憑依したので、迷わず離婚します
 ……珍しい? アデリナは性格の悪い妻で、ローランドの事を完全に私物扱いしてたから、気に入らない事があれば悪口ばっかり言ってたんじゃないの? 「あら。 じゃあ普段の私(アデリナ)はいつもローランドの事をどんな風に(悪口)言ってるの?」 「はい……?」 この侍女から言わせれば、自分の事なのにまるで他人のように尋ねる私が不審に思えてならなかっただろう。 茶色の髪にちょっと細い目。 背も小さめで可愛らしい。 見た目には随分と大人しめな若い女性。 まさに本場の外国人メイドといった黒いワンピースに白いエプロンを身につけている。 その侍女は、少しだけ緊張を緩め粛々と言った。 「そう、ですね…アデリナ様はいつもローランド様をベタ褒めしておいでです。」 「そう……私がローランドを。 ……褒め………!?えッ!?」 「はい。いつもお恥ずかしそうに顔を真っ赤にし『今日、ローランドが召していた服は私が特別に王室御用達の衣装係に作らせたものだ、とても似合っていた、素敵だったわ。』と。 『廊下ですれ違った時に睨まれたの。ドキドキしたわ。さすがローランド。目で人を惚れ殺せる天才ね。』『今日、4日ぶりにローランドと一緒に食事をしたの。イケメン過ぎてあんまり顔見れなかったけど、幸せだったわ。』とも。 アデリナ様はいつもこの様にローランド様をベタ褒めしておいでです。 だから悪口など仰ったのは今夜が…初めてではないでしょうか?」 なん………ですって………!?? 間違いありませんと、侍女は何を思い出しているのか頬に手を当てうっとりとして瞼を閉じた。 「ちょっ……っと待って…… じ、じゃあアデリナは……まさか、ローランドの事を本気……で?」 「あ、アデリナ、様…?」 まさかそんな筈はないと願って、侍女の肩を無意識に強く掴んでいる。  「……アデリナはローランドを自分の財布だとか、何をしても怒らない道具だとか、自分の私物だとか思ってるわけじゃなくて…?」 「は…はあ。左様です。 アデリナ様は結婚されてからずっと、ローランド様を物凄く愛されていらっしゃるではないですか?…一体どうなされたのですか?」 一体どうなされたのか……?  そんなの…私だってアデリナに聞きたい! この身体の持ち主は一体どこに消えちゃったのよ!? それに……アデリナ。あんた。
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性格の悪い妻に憑依したので、迷わず離婚します
 ◇ アデリナ・フリーデル・クブルク。 このクブルク国の王妃。 小国クブルクを他国侵略から守ってやる代わりにアデリナと結婚しろという、マレハユガ大帝国の強引な取引の末に嫁いできた元皇女。 珍しい薄青紫の瞳に、青みがかった黒の髪。 アジア系の顔立ちで息を呑むほどに美人。 美人という設定は悪役あるあるである。 憎まれ役の悪役にせめてもの長所をという作者達のお情けかな? それとも財も権力も美貌もありながら、ヒロインに負けるという展開が、アツいから? 第一皇女として生まれた時から甘やかされて育ってきたアデリナは、傲慢で我儘でとんでもなく性格が悪い。 そんなアデリナがローランドを本気で愛してたなんて……衝撃の事実でしかない。 だって小説がスタートしてからアデリナはただただ性悪妻としてしか登場してこなかったから。 読者がアデリナの悪事の数々に怒り狂い、壮絶なざまあを願う程のキャラだったから。 それがただの不器用な女だったと……? いや、だったらちゃんとローランドに好きって言いなさいよ! って、不器用だったから言えなかったのね。 謎は全て解けた。 だとしたらそんな不器用なアデリナは、ローランドにずっと悪女と誤解されたまま浮気されるという事になる。 まさか戦争を仕掛けてまでローランドを振り向かせたくて? 不憫………! 不憫すぎる! 確かにこの小説の内容を思い返せば、アデリナはローランドとリジーに対して酷いことばかり繰り返していた。 でも愛に飢えている孤独な王と、健気で愛情深いヒロインのリジーの恋はその度に燃え上がっていったのよね。 つい二人に頑張れ! アデリナなんかに負けるな!と、思わずコメントで応援したくなるような。 え?作者天才? 考えてみれば邪悪でしかないアデリナの存在自体が、二人の恋の最強のスパイスだったのかも知れない。 後にローランドに一身に愛を受ける、リジーがヒロインのこの世界。 主役二人の心理描写は毎回当たり前のように登場していたけれど、逆に言えば性悪妻だったアデリナの心理描写なんか全くなかった。 だから、我儘で傲慢で悪事ばかり働くアデリナの本音なんか誰にも分かるはずない。 私は浮気された妻の気持ちが分かるからアデリナを同情の目で見てたけど……  本当は好きで好きでたまらない夫に悪女なんて言われて、浮気
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性格の悪い妻に憑依したので、迷わず離婚します
 確か終戦直前にローランドに破婚されたアデリナは、まだ少年だったヴァレンティンの死を知り、絶望しながら孤独に死んだはず。 つまり……このままだと私は死ぬ……!! そんなの絶っ対嫌だ!!  地獄の様なバッドエンドを思い出し、一人ガックリと肩を落とすと、侍女がまた物珍し気に私を見つめていた。 「駄目…駄目だわ。 いくらアデリナがローランドを愛していたとしても、このままだとあの最低で最悪の結末は避けられない……」 「あ、アデリナ様……?」 「ねえ、あなた名前は……?」 「わ、私ですか?アデリナ様? 私はアデリナ様付きの侍女で、名前はホイットニーです……」  「そう。ホイットニー……」 ああ。確かそんな名前の王妃付きの侍女がいたよね。 アデリナのお気に入りだっけ? 「ねえ。聞いて。ホイットニー。 私、ローランドと離婚したいのよ。 だけど彼は全く相手にしてくれない。 …どうしたら別れられると思う?」 「わ、別れ?ですか?アデリナ様が? どうして………こんなにもローランド様を愛しておられるのに? それに……いくらローランド様に別れたいと離婚を切り出されても、許可はされないと思われます。 この国は、アデリナ様の母国であるマレハユガ第三帝国によって加護されています。 その国の皇女様であったアデリナ様を受け入れるというのが条件で、お二人は成婚なされたのですから…ローランド様がアデリナ様と離婚なされるというのは、現実的にありえません。」  そうだ。このクブルクという国は周囲を大きな大国に囲まれた小国。 隙あらば侵略しようと狙う国が多い。 それを地図上で見ればすぐ真上のアデリナの母国、マレハユガ第三帝国によって守られているのだ。 ローランドはそのためにアデリナと結婚する選択をした。 どれだけアデリナの性格が悪くても、ローランドは戦争に発展するまで離婚はしなかった。  「なるほど……パワーバランスというやつか。 だとしたら今はローランドに何を言っても無駄なのね。」 「ぱわ…ばら?」 不思議な言葉だとホイットニーは首を捻る。  もしも、物語の強制力というやつがこの世界にも存在してるとしたら。 私がこのままローランドに浮気されて、戦争を引き起こしてしまう? だとしたら、やっぱり早めに何か手を打たないと、最押しのヴァレ
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ローランドの困惑
 ◇◇◇ 「………は? 今夜は寝室を共にしない………だと? あの……アデリナが?」 その夜。 様々な政務を終えた私は、報告をしに訪れた侍女の言葉に思わず自分の耳を疑った。 それには側で控えていたランドルフも、同様に眉を顰めた。 「はい。王妃陛下は今夜から、陛下とは別々の寝所に眠ると………」 「……そうか。分かった。 もう行っていい。」 気まずそうに報告を終えた侍女に、下がるように指示をする。 閉まった扉の方を見つめ、私は無意識に握った拳に力を込めていた。 「何だって……寝室を別に? あの女はいつだって、私と同じベッドに寝ないと気が済まないと、以前はひどい癇癪まで起こしたくせに……」 腑に落ちない。私は両眉を顰め、普段のアデリナの様子を思い浮かべた。 だが簡単に答えは出なかった。 あれだけ私を財布扱いし、我儘を通してきたアデリナが、一体何を考えてるのかまるで分からなかった。 今日に限っていつもとは全く違うあの女。 しかも離婚まで仄めかしたのだ。 それがやけに気味が悪いとしか。  「……陛下。お気をつけ下さい。 王妃陛下はまた何か、よからぬ事を企んでいるのでしょうから。」 「お前もそう思うか。ランドルフ。 ……分かっている。 あの女がする事は、いつも大抵ろくでもない事だから。」 疲れたと顳顬を抑えて目を瞑り、私は椅子に深く腰掛けた。 あの女は母国の加護を盾に、これまでも様々な我儘をし、傍若無人に振る舞ってきたのだ。 暴言を吐いたり、自分の侍女を虐めたりというのは日常茶飯事だった。 金遣いが荒く、欲しい宝石があれば買ってくれと駄々を捏ねる。 時には店丸ごと買わせたり。 全く価値のない鉱山まで買わせたり。 気まぐれに奴隷を買ったり。 勝手に見知らぬ画家を連れて来て肖像画を描かせ、大金を支払うなど。 発言や行動があまりに稚拙。 世間知らずで常識知らず。傲慢《ごうまん》で無能な王妃。 その醜聞はすぐに国中に広がってしまった。 どんなに咎めても聞く耳など持ってない。 私を夫どころか、王としてすら尊重していないのだ。 そして最悪な事にアデリナは、私がそれに逆らえないのを知っている。 都合の良いように振り回わされても、人形のように言う事を聞く情けない王。 自分のプライドや見栄のために私を財布扱いし、利
last update최신 업데이트 : 2025-06-17
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ローランドの困惑
 広い寝室は静寂に包まれていた。 手元の照明がわずかに周囲を照らしている。 少し離れた場所には天井まで届きそうなほど大きな窓がある。そこから差し込む月明かりもまた、室内の輪郭を仄かに浮かび上がらせていた。 天蓋付きの広々としたベッドには、皺一つなく整えられたシーツに、ブルーの布団が掛けられている。 その上に私は仰向けで寝転がった。  「………静かだ。」 結婚したあの夜から、今までずっとアデリナと一緒に寝ていたベッド。  ———初夜であの女はここで何て言った? 「私、眠いの。 だから今夜はあなたとはしません。」 結婚式の間どころか、直前までアデリナは強気で偉そうな態度を取り続けていた。 ついに夜が訪れ、この主寝室でいざ初夜を迎えようとすると、アデリナは私に背を向け不機嫌そうに言い放った。 「は………?しかし今夜は………」 「う、うるさいわね!今夜はしないと言ってるでしょう! い、いいから大人しく寝て下さらない!?」 何という物言いだろうか。 いくら政略結婚でお互いに愛がないとは言え、まさか王である私との初夜を拒むなんて。  しかも夫に背を向け、アデリナは一度もこちらを振り返ろうとはしなかった。 話に聞いていた通りだ。 我儘《わがまま》で傲慢で性格が悪いという。 私は仰向けになり、片腕で額を覆いながら高い天蓋裏を見上げた。 ……こんな女を愛せるんだろうか。 いや、例えどれだけ性格が悪いとしても、私は愛さなくてはいけない。 翌日。初夜を無事に迎えたという房事記録官に虚偽報告をして、私は寝室を後にした。 あれから一度もアデリナはこちらを見ようともしなかった。 互いに愛のなかった冷え切った両親の姿を思い出す。 あんな風にはなりたくない………。 ◇ それから何夜目かで漸くアデリナとの初夜を終わらせる。 その間アデリナは珍しく何の文句も言わなかった。 呼吸を整え、露出した肌を隠すように布団を掛けてやる。 「その……痛くなかったか?大丈夫か? もし違和感や体調不良などがあれば医師に」 「……だ、大丈夫です! こんな事くらいで、私は体調を崩すほど軟弱ではありませんから!」 怒ったように顔を真っ赤にし、アデリナはまた背中を向ける。 大事な王族の房事をこんな事とは……  その日はさすがの私も頭にきて、彼女
last update최신 업데이트 : 2025-06-17
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ローランドの困惑
 王城で働く侍従長や侍女、下働きの従者達は皆アデリナを怖がっていた。 相変わらず我儘だし、気に入らなければ侍女を叱りつける。 料理が不味いと言ったり、部屋のカーテンが気に入らないと言ったり。  彼女が来てから皆目に見えて辟易《へきえき》していた。    それにアデリナは一体何処をほっつき歩いているのか、毎日のように馬車に乗ってどこかに出掛けているようだった。  昼間から豪遊か。  いいご身分だな。  そう言えば、アデリナが気まぐれで買ったあの少年の奴隷は、どうしたのだろうか。  ◇◇◇  「陛下……!少しは王妃陛下に、ご自分の仕事をやるように進言なさって下さい!」 その生活態度の悪さに、ランドルフも私に泣きつく様になってきた。  しかもアデリナは、王妃としてやるべき簡単な仕事さえしないという。  例えば、大切な国賓を迎える準備。  特に、王妃との親睦が目的で王宮を訪れる要人達への配慮である。  客人を持て成すための茶葉やスイーツ、酒や料理、そういった具体的な指示なども、アデリナは結局人任せにするのだそうだ。  また自分の住んでる王妃宮の管理、侍女達の管理、采配など。  そのくせ、侍女達には偉そうに文句を言うのだと。    「放っておけ。王妃の仕事は優秀な侍女長にやらせておけばいい。」 「しかし……」 ランドルフはまだ何かいい足りなそうな顔をしていたが、結局諦めたように溜息を吐いた。  どうやら私の意思を汲み取ってくれたらしい。  我が国クブルクはアデリナの母国によって加護されている。  今それを失うわけにはいかない。    「この結婚…やはり失敗だったのでは?」 「……そうだな。  ……そうかもしれない。」 ランドルフの問いかけに、私は諦めにも似た溜息と言葉を同時に漏らした。 それに、もう初夜は終えたのだ。  何も一緒に寝るのがそんなに嫌なら、今夜から寝室を別にすればいい。
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ローランドの困惑
 そうして次第に心が疲れ、アデリナとは距離を置く様にしていた。 だがアデリナは人の気持ちなどお構いなく、連日のように私を王都の人気スイーツ店や演劇、オペラハウスといった場所に連れ回した。 政務があるからと断ろうとすれば。 「私と出かけるのが嫌だとでも!?」 と我儘を言い、結局迷惑行為を繰り返した。 朝昼晩、王宮のどこにいてもアデリナは、私用がない日は私のそばに纏わり付いた。 四六時中、あの薄青紫の瞳で監視されているような気になる。 疲れる。 これが一生続くのか………? いくら自国の民のためとは言え、ランドルフの言う通り早まった結婚だったのだろうか。 誰かに癒されたい…………。 次第にそう思い始めた矢先だった。 「離婚しましょう。」 …………え? 「悪い物なんて食べてませんわ。 ただ……私は貴方の妻には相応しくないと分かったのです。だから離婚しましょう?」 突然のアデリナからの離婚宣言。 しかも今日はいつになく顔つきが違っていた。 真剣な眼差しで、いつもの悪巧をするような顔でもなく。 声も態度もいつもより謙虚で誠実。 あの薄青紫の宝石の様な瞳で私をじっと見つめている。 一度だって私とまともに目を合わせようともしなかった妻が。 離婚………だと? あんなに私を自分の所有物扱いしていた女が、今更何を……? またどうせいつもの下らない悪巧みだ。 私の気を引いて何か強請る気かもしれない。 そんな手に乗せられてたまるか。  その後もアデリナは、食い下がるように何か訴えようとしてきた。 だが私はその態度が
last update최신 업데이트 : 2025-06-19
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