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第二話「颯太の力」

Author: 北野塩梅
last update Huling Na-update: 2025-07-07 19:13:41

第二話「颯太の力」

 夏休み第二週からはベニヤ板を切り、図面と照らしながら、ひとつひとつにナンバリングしてゆく地味な作業が続いた。昼間は大地との自由研究をやり、夜はその他の宿題をやる。だんだん飽きてきて「お金があったら宿題代行サービスに頼むのになー」夕飯を終わらせて、颯太は算数ドリルの問題を解きながらぼやいた。

 颯太の家は、勉強熱心な他の同級生の親と比べると「勉強しろ」とは言わない。やりたければ、やればいいし、それも自由、と言う方針で、みんなが行っている塾には行っていない。一度、颯太が自ら「塾に行きたい」と言ったとき父が

「なぜ行きたいのか理由をよく考えろ。みんなが行っているから行きたいのか。お前はすぐに飽きるから続かないだろう。目的があってのことなら行かせてやる」と言った。

「何のために行くのか曖昧な考えで行くのなら身にならない」

 父の言い草に腹が立って、売り言葉に買い言葉で、「勉強したいから塾に行きたいんだよ!」と颯太は父と喧嘩になった。その日は父の顔も見たくなくて、夕飯も取らずに布団を敷いて早々に潜り込んで寝てしまった。

 数日後、父宛に小包が届き、父の帰宅後、その小包の中身を渡された。

 学習タブレットだった。颯太は何とも言えない「これじゃない感」を味わった。

 颯太にとって勉強は手段で、目的は塾だった。塾に行きたかったのに。父から渡された学習タブレットに落胆した。言うまでもなく学習タブレットを使うこともなく、父はクーリングオフ期間中にそれを返品した。

 そのくせ父も飽き性で、カメラにハマって買いそろえたのに、カメラの性能だけに助けられている空の写真を撮り、インスタに上げていたが、ものの一ヶ月でカメラをフリマアプリで手放していた。

 颯太の飽きっぽいところは父に似たのだ。父が何かに凝り始めても、母は何も言わずに、父のブームが過ぎ去るまで根気強く見守っていた。

 たまに颯太の中で、父から受け継いだ飽き性と、母から受け継いだ根気強さが衝突することがある。どちらが勝つか颯太自身にもわからないが、通知表の担任の一言欄には「気分屋なところがあります。直して行きましょう」と書かれてしまう。颯太にコントロールできない深い部分で衝突しているのに「直して行きましょう」もない。そのことに母がうるさく言わないでいてくれるのが、颯太にとって救いだった。

 算数ドリルを終わらせて、居間のテーブルでぐったりしていると、風呂上がりの父が発泡酒を出してきて、テレビをつけて座椅子に座り、ちびちびやりだした。母は台所で洗い物をしている。

「颯太も風呂に入ってこい」

 父が声をかけてきた。

 夕方のニュース番組が流れてる。自動車が歩道に突っ込んで小学生を撥ね、一人死亡と報じ、現場に献花する人々を映していた。映像がひしゃげたフェンスに切り替わった瞬間、耳鳴りがして『親の泣き顔が見たかった』と低い嗄れ声が聞こえてきて、颯太は身震いした。父と母には聞こえていない声だろう。平静を装って「お父さん、チャンネル変えてもいい?」と聞くと「ああ」と父が答えた。特に見たいわけでもないが、野球中継に変えた。スポーツ中継が一番、害がない。父は颯太の身震いに気をとめることもなく、アルコールでご機嫌だった。

 颯太は、自分の両親は、いたって普通の人だと思ってる。複雑な事情を抱えてる同級生もいることも知ってる。

 颯太の父は多少の難はある。しかし大人に傷つけられた経験のない子供はいない。大人が子供の言うことをパーフェクトに聞いて、思い通りに動いている環境で育ったとしたら、そいつは一人で生きていけない人間になってしまうのではないか。颯太は一人っ子だが、別段、甘やかされてはいないと思う。

 母が洗い物を終えて居間に来た。

「自由研究はどうなっているの?」

「まだよくわからないんだよね。スケール通りにできてない部分があるし」

 そう颯太が言うと母は

「颯太がお風呂に入っているうちに、同じ町内だし宮司の今薗さんに連絡しておいてあげる」

「ありがとう。お風呂に入ってくるよ」

 人によっては颯太の家が生ぬるく感じるだろう、と颯太は思った。

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