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第十一話「清香の未来」

Author: 北野塩梅
last update Huling Na-update: 2025-07-15 18:00:37

第十一話「清香の未来」

 川底に映る家はすっかりリフォームされて、ケイタが見慣れた自宅の面影は、ほとんど残っていなかった。それに表札も『日野原』から『月神』に変わっていた。一緒に川底を見ていた猿面が「よりによってツキガミとは……」とケイタの隣で独り言を言う。

 川底のその家に、ひっきりなしにケイタの知らない人たちが出入りするようになり、人々が閑静な住宅地に列をなした。並んでいる人々に、整理券を配る白い割烹着姿の女性が現れた。もちろんケイタはこの女性が誰なのか心当たりはなかったし、知り合いにもいなかった。

 車が細い道路を埋めて、近所の住人が割烹着姿の女性に

「こんな細い道で渋滞したら生活に支障がでるからどうにかしてくれ」

 と猛抗議していた。ケイタの自宅の付近に大きな駐車場はない。割烹着姿の女性が玄関に入っていく後ろ姿を追うように、川底の景色が動いた。女性の肩越しにみえた清香の身なりに、ケイタは目を見張った。よく手入れされたツヤツヤの黒髪は真っ直ぐに肩の下まで伸ばし、目尻にあった小さな皺も、口元も額も、アイロンでもかけたようにピンとしていて、それなのに造花のような印象と、険しい表情が、ケイタの知る清香とは別人だった。服装もヨレなどなく、洗濯物を干すときにテキトーにハンガーにかけていたズボラな清香が、自力でこんな綺麗な服装ができるわけがなかった。

「清香さん、周辺の方々から苦情が……」

 言いかけた女性に、冷たく

「知っているわ」

 清香が言い放つ。

「これからは一日一組、予約が取れた方だけにしましょう。広がりすぎたわ。悪いけど、明日から断ってちょうだい。真田さん、よろしね」

 真田、と呼ばれた割烹着姿の女性は、清香に、頭を静かにさ下げた。清香が自室に戻ったのを確認して、真田が家事をし始める。清香の身の周りの世話を真田がしているようだ。真田の肩越しの景色が続く。父が使っていた書斎のドアを真田が開けた。

 あの部屋はケイタが覚えている限りでは閉め切っていたはずだ。が、すっかり様変わりしていて、真田が住んでいるらしかった。簡素な机とその上にノートパソコンと

プリンター、ベッドとクローゼットがある。クローゼットを開けて、鏡の前で割烹着を脱ぐと真田の見た目が、ぐっと若くなる。清香と同年代くらいに見えた。クローゼットを閉めて、真田がノートパソコンを開ける。メールをチェックする。目にとまったメールをプリントアウトして、クリアファイルに入れる。

 タイトルは『月神清香の「神様が教えてくれた人生が好転する九つの宇宙メソッド」』という書籍化の提案だった。

 神様なのか宇宙なのか、ケイタは川底に映される光景に、もはや驚くことなどなかった。ただ、清香が引き返せないところまで行きつくのを見ることしかできない。真田がプリントアウトしているのはそれだけでなく、パワーストーンを扱う店からの見積書、湧き水を販売している企業がスポンサーをする動画配信の企画書、オーガニックアロマオイルの調合プロデュースなどがある。

 真田は、清香のマネジメントもしているらしいと、察せられた。ケイタはお金のことはわからないが、これだけでも収入はかなりになる、くらいは想像できる。息をついてケイタは、顔をあげる。猿面も、うんざりした声で「役満だな、こりゃ」とため息をついた。

 川底の景色に、ケイタにも見覚えのある女性が現れた。真田の肩越しに、清香と女性がテーブルを挟んで座っている。清香が

「私へのご相談は二回目ですね、えっと……三浦陽奈さん」

 造花のような顔で唇の端を少し上げて清香が

「本日はどのようなご用件でしょう?」

 微笑みを作る。三浦と聞いて、ケイタは思い出した。川底を食い入るように見つめる。

 こういう見えない世界の効果が不確かなものに、いくらでもお金をつぎ込んでしまう依存症のような人を、ケイタは知っている。清香が主催していたあの神社ツアーで、家族が怒鳴りこんできた女性。清香から離れていったあの人はどうしているだろうか、とケイタの中に、ずっと残っている罪悪感。

「二回目……?」

 三浦が苦々しく低い声で唸る。

「私は何度もあなたに会っていますよ、思い出せませんか?」

 三浦の言葉に曖昧な笑みを浮かべた清香の表情に、忘れたんだな、とケイタは悟る。

 地を這うような怨嗟を三浦が吐く。

「私が失ってばかりなのに、あなただけが、のうのうとしているのが赦せない。私にはもう何もない」

 それでもなお、清香は思い出さない様子で「何を?」と聞き返す。続けて清香は

「何を失ったって? 言いがかりよ。三浦さんが失ったのは三浦さんのせいじゃない。三浦さんが私の言う通りにしなかったから失ったんでしょ! 私のせいじゃない。『私のメッセージ』は絶対なのよ!」

 清香の放った言葉がざわざわと反響して、ケイタが見ていた川面が激しい波紋になって景色が揺らぐ。

『私のメッセージ』

清香は確かに、そう言った。

三浦の激昂する声だけがこちらにも伝わってくる。

「上手くいけば、あなたの手柄、失敗すれば相手のせい? ずいぶん都合がいいんですね、メッセーを言いうだけ言って、あなたはご自分の言葉に責任を負わないなんて!」

 水面はめちゃくちゃに波紋を広げて、もう川底の景色など映さない。

 三浦の声が叫ぶ。

「あなたに下る神罰がいつかなんて待ってられない! 今だって遅いくらいよ!」

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