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【42】堕落の始まり

ผู้เขียน: 猫宮乾
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-08-04 19:40:04

 その日は、紫野と映画を見に行く事になっていた。ドラマの劇場版だ。俺は昨日、DVDで全て見て、予習をした。紫野は適度に見ていたらしい。何故この映画を見る事になったのかというと、紫野が「どこかに遊びに行こう」と言い出して、行く場所が他にはゲーセンくらいしか思いつかなかったからだ。どこでも良いというわりに、他に挙がった案は、動物園やら水族館やらテーマパークやらで、どれもなんだか面倒くさそうだと俺は思ったのだ。映画ならば座っているだけで良い。俺は生粋のインドア派なのだ。

 時島の実家から帰ってきて、大学以外で出かけるのはこれが初めてだった。

 チケットは紫野が事前に買っておいてくれた。

 随分と準備が良いなと思っていると、コーラまで買ってきてくれた。

 映画館は、時間帯が平日と言うこともあるのか、それともこの映画の人気が無いのか――ガラガラだった。それもあって、一番良い席がとれたのかもしれない。真ん中あたりで、正面にはひと気が無かった。

 CMが始まった頃――不意に、紫野の隣に人が歩いてきた。

「すみません、そこは私の席なんですが」

 その言葉に、『えっ』と思って俺はチケットの座席番号を確認した。

 紫野は俺の左隣で間違いないから、おかしい。

 だが紫野は何も言わない。ただスクリーンを見ている。どういう事だろうかと思っていると、不意に手を握られた。

「お前、視えすぎ」

「え?」

「それに構い過ぎ。これからは止めて――……その、集中しろよ」

 その声に改めて紫野の隣を見れば、立っていたはずの人は消えていた。

 ゾクッとしつつも、それから俺は映画を見た。

 集中すると作品に入り込むもので、見終わってからはパンフレットが欲しくなった。しかしそんな懐の余裕はない。紫野にチケット代を渡そうと、俺は財布を取り出す。渡すのをすっかり忘れていたからだ。

「いらない。俺が誘ったし」

「は? そりゃそうだけど――」

「俺は、デートする時は、おごる主義なんだよ」

「え」

 デート、デート…&he

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