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第14話 神宮寺家の人々①

Auteur: 暁万里
last update Date de publication: 2026-06-06 07:44:20

 澪の頬から手を離した綾人は、そのまま部屋を見回した。

「紹介しておこう」

 その言葉に、部屋の中にいた使用人たちが一斉に背筋を伸ばす。

 まるで朝礼でも始まるかのような空気だった。

「まずは……佐伯さえき

 綾人が視線を向ける。

 年配の女性が一歩前へ出た。

「改めまして、佐伯梅子さえきうめこと申します」

 柔らかな笑顔を浮かべながら頭を下げる。

「神宮寺家で女中頭を務めております。この家のことは全て把握しておりますので、何か分からないことや困ったことなどあればご遠慮なくお申しつけくださいませ」

「じょ、女中頭……」

 澪は思わず復唱した。そんな言葉、物語の中でしか聞いたことがない。

 衝撃を受けている澪の表情を見て佐伯はくすりと笑う。

「綾人さまがまだこんなに小さかった頃からお仕えしております」

 佐伯は手を少し下のほうに下げる仕草をして言った。

「そうなんですか?」

「ええ」

 佐伯はどこか懐かしそうに綾人を見る。

「昔は今よりずっと素直で可愛らしかったのですよ」

 からかうような視線を佐伯が綾人へと向けると、綾人は小さく咳払いをした。

「佐伯」

 それ以上何も言
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  • 「君は俺の花だ」妹に婚約者を奪われた私を、冷徹華道家が溺愛して離してくれません   第5話 一体誰なの

    「こちらへどうぞ」 年配の女性に案内されながら、澪は何度も周囲を見回していた。 広い。とにかく広い。これを『普通の家』を称した綾人のことを思い出して、澪は苦笑いを浮かべるしかなかった。一体どんな風に生きていたら、これが『普通』という認識になるのだろうか。 磨き上げられた廊下はまるで旅館のようだ。屋敷のあちこちに飾られている生け花はどれも芸術作品のように美しかった。「すごい……」 居間として使われている部屋だろうか。その前を通りかかったとき、一際上品で、一際色鮮やかな花で彩られた生け花に、思わず声が漏れる。「ありがとうございます」 女性は嬉しそうに微笑んだ。「お花はどれも、綾人

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