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第54話 待つ花

Author: 暁万里
last update publish date: 2026-06-28 14:14:35

 翌週も、綾人はいつものように祖父の屋敷の庭へ足を運んだ。

 門の前を見る。けれど、この日も澪はまだ現れない。

 風だけが静かに庭の木々を揺らしていた。

「……」

 少し待ってみる。もしかしたら遅れているだけかもしれない。

 そう思って庭の白い花を眺めながら時間を過ごした。

 けれど、その日も、稽古が終わる時間になっても澪は来なかった。

     ◇

 稽古が終わり、帰ろうとした綾人は廊下で祖父を見つけた。

「おじいさま」

「どうした」

 綾人は少しだけ迷ってから口を開く。

「……澪……。白石澪さんは……?」

 祖父は一瞬だけ目を細めた。

「最近、お見かけしないので」

 静かな沈黙が流れる。

 祖父は庭へ視線を向けたまま、小さく息を吐いた。

「白石さんのところは、しばらく来られん」

「……どうして」

「今は聞かんほうがいい」

 祖父はそれ以上何も言わなかった。綾人も、それ以上は聞けなかった。ただ、良いことではないことだけは、ハッキリと分かった。

     ◇

 それから毎週。綾人は庭を見るようになった。

 門を見る。

 白い花を見る。

 廊下を歩きながら、無意識に探してしまう。

「綾
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