เข้าสู่ระบบ《side アイス・ディフェ・ミンティ》 目を覚ますと、世界が霞んで見えた。 視界に入るのは、崩れた陣地と倒れ伏す兵士たちの姿だった。体は重く、全身が痛みに覆われている。「ここは……どこだ……」 口から出た声は、かすれきっていた。記憶を手繰り寄せようとするが、戦場の混沌しか思い出せない。「目が覚めたか、アイス王子」 低く響く声が耳に届く。 視線を向けると、竜人族のリーダー、エスカルーデが傷だらけの体を引きずりながら立っていた。彼の目には、失望と同時に敬意の色も浮かんでいた。「我々は敗北しました……だが、素晴らしい戦いだった」 彼は武人だ。私の敗北とは意味合いが異なる。 彼は思うのだろう。強い者と拳を交え、気持ちよく敗北したと……。 私は思う。策略が通じず、敗北した。 いや、私は策を講じる前に、何もできなかった。「すまぬな、アイス王子よ。貴殿の役に立てなくて」 胸が重くなる。 敗北。 その言葉の意味が、体の隅々にまで染み込むようだった。「敗北、か……そうか、私は……負けたのか」 敗北という現実を受け入れるたびに、心の中で何かが砕ける音がした。 これまで築き上げてきた誇り、信念、そして未来への希望。それらが次々と崩れ落ちていく。 何よりも、ブライド皇子に敗北したことが、どうしようもないほどに狂おしい。「私は……何をしていたんだ……」 自分の中には何もない。ただ虚無だけが広がっている。「王子、貴殿を誤解していた」「えっ?」 エスカルーデの声が、深い闇の底に沈みかけていた私を引き戻す。「貴方が敗北したとしても、我々は貴方を友と
《side アクアリス・ネプチューナ》 戦場を見下ろしながら、私は静かにその行方を見守っていた。 高台の湖畔に陣取った私は、戦場全体を俯瞰し、戦況を読み取っていく。 フライ・エルトール。あの自由で奔放に見える男は、相変わらず混乱を操る天才だ。 初めて彼を見たのは、クラウン奪取という学園の授業だった。 彼は自分では動くことなく、戦場を操っていた。私はその隙を突き、彼に一矢報いたこともあるけれど、それも彼自身が作った隙に過ぎない。 そして、その力を見込んで私が依頼すると、彼は見事に盤面を作り出した。 ブライド皇子とアイス王子、双方に同時に戦争を仕掛けたその大胆さ。 結果、戦場は泥沼化し、両陣営とも大きく疲弊していく。「まるで自ら舞台を作り出し、そこで踊る役者ね」 私は苦笑を漏らしながら、遠目にその戦いを見つめた。 フライ・エルトールの陣営もまた、疲弊を隠せない。彼の指揮のもと、彼らはよく耐えた。だが、それでも限界は訪れる。 そして、ついにフライ・エルトールがブライド・スレイヤー・ハーケンスに敗北を喫した。「アクアリス様」「分かっています」 ローズガーデンのクラウンであるセシリア公女を討つため、私は機を見て動き出した。「セシリア公女、貴女のクラウンをいただきます」 セシリア公女の陣地に突入し、その防衛陣を次々と突破する。抵抗する兵士たちもいたが、彼らは何も知らされていない。 私たち海人族の連携の前には、ほとんど無力だ
《side ブライド・スレイヤー・ハーケンス》 戦場を染める赤い夕陽が、我の剣に映り込む。 フライ・エルトールの体は地に伏していた。 奴の剣は、すでに我の足元に転がっている。「フライ・エルトール、貴様の策略もここまでだ。我が剣の前に、すべてが無力だったな」 勝利を確信した瞬間、我の胸に込み上げたのは、歓喜と達成感だった。 すべての駒を使い切り、この盤上で最後まで生き残ったのは、この我、ブライド・スレイヤー・ハーケンスだ。「アイクよ。貴様がいなければ、フライを倒すことはできなかったぞ」 フライと相打ちになり、我を勝利へ導いた剣だ。「さぁ、勝利を宣言するぞ――」 その言葉を言い終える前に、冷たい風が戦場を駆け抜けた。 ――ザザザン―― 水の音が響く。突如として、戦場の空気が湿り気を帯びた。「……これは?」 振り返ると、そこにはアクアリス・ネプチューナが立っていた。 いや、アクアリスだけではない。その背後には、水をまとった海人族たちが整然と並んでいる。 彼女の瞳は深海のように冷たく、そこに憐れみや妥協の色は一切なかった。「……海人族だと……はは、あはははははははははははは!!! そういうことか!? フライ・エルトール!」 ここに来て、初めて気づいた。 これも結局、フライ・エルトール、貴様の策略だったのだろう? 我は剣を構え直す。 アクアリスの唇がわずかに動き、言葉を紡ぐ。「あなたがこの戦場で勝者になることは許されないわ。私たち海人族が、この戦いの終焉を告げる」「海人族ごときが、この我を打ち破るつもりか?」 我は冷笑を浮かべながら、再び剣を振り上げた。だが、アクアリスは動じない。ただ片手を掲げると、水流が竜のような形を成し、戦場全体へ襲いかかる。「愚かなる者よ、沈め」 水流が襲いか
《side フライ・エルトール》 目を開けると、天井が見えた。いや、正確には天幕の布だ。 どうやら野戦病院のような場所に運ばれていたらしい。薄い布越しに聞こえるざわめきと、実況と思われる声が頭に響く。「おいおい、何があったんだ……」 体を起こそうとすると、全身に鈍い痛みが走る。 視界に映るのは、包帯で覆われた自分の腕だ。ぼんやりと記憶をたどると、最後の戦場での激しい戦いが思い浮かぶ。「あっ、フライ様! 目を覚まされたのですね?!」 ジュリアの声がして、慌ただしくこちらに駆け寄ってくる。その顔には安堵の表情が浮かんでいた。そのまま胸に飛び込んできたので、モフモフな頭を撫でてあげる。 自分で決めたことではあるけど、最終決戦で身体強化を使わず、剣と放出系の魔法だけで戦いに挑んだのは、なかなかに骨が折れたね。「ジュリア……どうなったんだ?」 ジュリアは少し目を伏せたが、すぐに笑顔を作った。「結果が出ましたよ。実況ちゃんが、今ちょうど順位を発表しているところです!」 そう言って、彼女は天幕の外を指さした。 外では観客たちの声援と歓声が響いている。 外に出ると、大きなモニターに順位が映し出されていた。傷を抱えながら歩いている仲間たちが、それぞれ結果を見つめている。「さぁ、皆さん! ついにクラウン・バトルロイヤルの結果が出ました! 五日間にわたる熾烈な戦いを制したのは……!」 実況ち
戦場は、沈みゆく夕陽の赤い光に染められた。 その中心で戦士たちは、それぞれの疲労を押し隠しながら、互いを睨みつけていた。血と泥にまみれたその姿は、もはや人間の戦士というよりも、戦場に生きる獣そのものだった。 戦場に響くのは、遠くで倒れ伏した者たちの呻き声と、風に揺れる木々の音だけ。その静けさが逆に、ここに立つ者たちの緊張感を高めていた。「フライ・エルトール……ようやく直接相まみえる時が来たな」 ブライド皇子が低く冷たい声で言う。その隣に控えるのは、アイクとエドガー。アイクは剣を握り締め、エドガーは傷だらけのゴーレムを操りながら、ブライド皇子を守るように立っている。「お前の仕掛けた全面戦争も終結だ。だが、この状況を作り出した才能だけは認めてやる」 ブライド皇子の瞳には獰猛な戦士の光が宿り、その手には剣が握られていた。「終わらせる? そう簡単にいくかどうかは、やってみないと分からないですよ」 私は微笑みながら剣を構える。その背後には、バクザンとノクスが控えている。二人とも満身創痍だったが、その目にはまだ闘志の炎が灯っていて頼もしい。「フライの兄貴、ここで決めるんだな?」 バクザンが拳を鳴らしながら言う。戦斧は砕け、その身一つで戦う姿勢を見せた。私は彼に軽く頷き、視線をアイス王子の陣営に向けた。 湿地帯から抜け出し、ここに到達したアイス王子は、すでにボロボロの状態だった。それでも、彼の隣に立つエスカルーデは、竜化した姿で未だに威圧感を放っている。「フライ・エルトール。君はとんでもない策を使ってくれたな。早々に二つの陣営を取り込み、私とハーケンス皇子をこの場に引きずり出し、二正面戦争を仕掛けるなんて。この混沌を生み出したことは素晴らしいと思うよ」 アイス王子の声は冷静だったが、その奥には焦燥が見え隠れしていた。「ふむ、終わらせたいのはこっちも同じさ。さぁ、やろうか。これが最後の舞台だ」 私の言葉に応じるように、エスカルーデが一気に飛び上がった。その巨大な翼が風を巻き起こし、戦場の緊張を
四日目の夕刻を迎えようとしていた。 総力戦に突入した戦場は、予想通り泥沼化していた。 どの陣営も疲労の色を隠せず、初日から次第にすり減ってきた兵士たちの姿は、見ていて痛々しいほどだった。 空には赤い夕陽が沈みかけ、戦場の景色を血に染めているように見える。 その中で、兵士たちの倒れる音、魔法の炸裂音、金属のぶつかり合う音が響き渡っていた。 ドラゴンの咆哮が嫌というほど響き、ゴーレムが崩れ落ちる轟音が続く。 百を超える人々と、ドラゴンやゴーレムなどの魔物が入り乱れ、倒れていく。「ノクス、耐えられるかい?」「フライさん。ええ、まだやれます」 ノクスは、すでに何度も敵の攻撃を受けていた。それでも最前線に立ち続けられる。これこそが、物語の主人公である彼の強さなのだろう。 歯を食いしばり、剣を握る手に力を込めている。「俺は平気です。ただ、他の奴らが……」 視線の先には、ローズガーデンの兵士たちが倒れていた。 ブライド皇子の陣営やアイス王子の陣営とぶつかり、次々と打ち倒されていた。 エドガーのゴーレム部隊が押し寄せ、疲弊した兵士たちは対処しきれずに蹂躙されている。だが、そのゴーレムも残り一体になっていた。「クソが! あいつら……!」 バクザンが拳を握り締め、怒りを露わにする。彼の服は裂け、体中に傷が刻まれていた。それでも、鬼人族としての誇りだけで前線に立ち続けている。 大きな戦斧を振るい、竜人を吹き飛ばした。「バクザン、焦るな。ここで潰れるわけにはいかない」 私は冷静を装いながら、じりじりと追い詰められる戦況を見つめていた。「ふん、雑魚どもが」 ブライド皇子の声が響く。彼の後ろには、エドガーの操る巨大なゴーレムと、冷静沈着な剣士アイクが控えていた。 だが、ブライド皇子自身も泥にまみれ、他の兵士は残っていない。「おい、エドガー! 少しは考えて動







