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第289話

Penulis: ルーシー
拓海はジャケットを片手に、窓辺へと歩み寄った。

しかし途中で、ふと足を止める。

部屋の中央で、まるで時間が止まったように立ち尽くしたまま、しばらく動かない。

玲奈はその背中を見つめ続けた。

目を逸らすことも、声をかけることもできなかった。

やがて、拓海はゆっくりと振り返った。

肩にジャケットを掛け、指先でその襟を軽く引っかける。

酔いはすっかり醒めている。

だが、どこかだらしないその姿のままでも、彼は相変わらず絵になるほど整っていた。

「言ったことを、守らないからな。

おまえの言うことなんて、聞くもんか」

もし玲奈が約束を守る人なら――彼女はとっくに約束を果たしていたはずだ。

彼女は嘘をついた。

だから、もう信じない。

玲奈は一瞬、何か言いかけたが、その前に拓海が再び背を向けた。

窓辺まで行ったところで、彼は再び振り返る。

そして、ためらうことなく大股でベッドのそばまで戻り、両手で玲奈の顔を包みこんだ。

そのまま身をかがめ、彼女の額に勢いよくキスをする。

唇を離すと、彼は満足げに舌で唇をなぞり、低く笑った。

「......俺がバカなんだろ」

そう
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