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第26話

Author: 天野琴
ほかの患者や看護師に迷惑をかけたくなかったため、音は静かに病室へ入った。

中にはベッドが二つ。

全身を包帯でぐるぐる巻きにされた母と弟が、それぞれ一つずつを占領している。

そのあまりに滑稽な姿を目にした瞬間、音の唇に、かすかな笑みが浮かんだ。

――いい気味だ。

自分本位な母親と弟。

ようやく、誰かにお灸を据えられたようだ。

「次は......もう人のお金をたかりに行く気にならないでしょうね」

机の上に置かれたカルテをめくる。

母は頭部裂傷、左腕骨折、腰椎のずれ。

弟はさらに重症で、頭部外傷に加え、手足の骨が軒並み折れていた。

――少なくとも三ヶ月は、カジノに行く元気もないだろう。

「この、出来損ないが......!

笑ってる場合なの!

あんたが離婚だのなんだのって騒ぎ立てるから、宗也にこんな仕打ちをされたんじゃない!」

真恵子は少しでも体を動かすと激痛に襲われ、そのたびに悲鳴を上げながら、罵詈雑言を吐き続けた。

「お父さんのこともあって家はもうボロボロよ!

それなのに今度は私と弟までこんな目に遭わせて......

あんた、自分の家族を全滅させたいの?
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