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80.2度目の訪問

Author: 桜立風
last update publish date: 2026-08-30 10:24:31

夏の終わり……日が暮れるのが早くなってきたのか、西の空が茜色に染まり始めている。

義母に見送られ、もう一度海辺の別荘へとやってきた。

「……来たのか」

今度は家政婦の美沙に玄関を開けてもらった。

父はデッキチェアに寝そべりながら、まだ海を見ていたらしい。さつきの肩を抱きながら。

「……もう、その人でいいんじゃないですか?」

何が母を海外へ連れて行くだ。全員帰ったあともこうして隣に置くあたり、さつきは完全に愛人だろう。

父はさっきと変わらない薄ら笑いを紅に向けるだけ……腹立たしい。

「縁を切りたいです。あなたと」

「それは無理だ。お前は俺のたった1人の娘だからな」

「若い愛人に産ませたらいいんじゃないですか?」

もうどうでもいい。母の病気を理解させることなど、はじめから無理な話だった。

「海外に行くならもう帰ってこなければいい。こっちのトオキ屋は早々に譲って……」

「光世にか?あいつにトオキ屋はやらんぞ」

「何を言い出すかと思えば……呆れて物が言えない」

トオキ屋は代々、長男の息子が後を継いできた。けれど父に息子は生まれなかったので、弟の息子、片桐光世が後継者の予定だ。

今の父の言葉を
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