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last update Terakhir Diperbarui: 2025-12-17 06:00:52

 夜が明けた。けれど、穏やかだったのはほんの一瞬だけだった。

 昨夜の熱をまだほんのり肌に残したまま、美桜は双子の世話をし、一成は執務室で早瀬と話し合いを進めていた。

 その声には、昨夜の柔らかさのかけらもない。
 浅野家当主としての、鋼のような緊張が張りつめていた。

 そして数日後、いよいよ一成は洋子や早瀬の働きのおかげで、東条家を窮地に追いやり、没落させたという証拠を掴んだ。

「これが、東条家を没落させた本当の証拠なんだな。よくやったぞ!」

「はい、旦那様。裏帳簿、放火の指示書、借金の偽装書面……すべて揃いました。西条家と桐島家の癒着も、これで確実に暴けます。先日侵入できたのが大きな一歩でした」

「洋子にも感謝しなきゃな。危険な橋を渡ってくれたんだろう?」

「俺ひとりでは無理でしたが、彼女が見張り役を買ってくれたおかげで、うまくことが運びました」

「よし、早速桐島家に向かおう」

 一成は書類を手

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     刹那、洋子の背後から伸びた腕が、彼女の首元にナイフを突きつけた。「……動くな」 低く、掠れた声がする。 洋子が振りほどこうと身を捩るが、男の力にはかなわない。「洋子さん!」 美桜は反射的に前へ出た。「やめて! その人から離れて!」 その声に、京はにやりと歪んだ笑みを浮かべる。「相変わらず優しいな。美桜。俺の目的はお前だ。こいつの代わりに人質になるなら、この女は許してやろう」「だめです美桜様! こんな男の言うことを聞いてはいけません! きゃっ」  京が洋子の頬を殴りつけた。「黙れ!!」 彼は本気だ。捨て身の覚悟でここへ来たのだ。  彼の目からその狂気が読み取れた。 「あなたの言う通りにする。だから洋子さんを離して!」「聞き分けがいいな。さすが美桜だ。なら、手を挙げてこっちへ来い」 洋子の悲鳴を聞きつけた警備の者たちがやってきた。厳重にしていたはずなのになぜ、桐島京がここへたどり着けたのだ!?「下がりなさい! 彼を刺激しないで!」

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     美桜の中に初めて一成が入ってきた。  狂おしいほどの情熱に包まれ、京の時には得られなかった悦びを感じる。剛直に貫かれ、一成の背中に跡が付くほどしがみついた。溢れる蜜が体を濡らしていくのがわかる。 一成が触れるたび、囁く声が耳に落ちるたび、心の奥底にしまい込んでいたなにかがほどけていく。 京との夜にはなかった、自分が愛されていると実感できる幸福が、波のように押し寄せてきた。  苦しかった過去が、ゆっくりと塗り替えられていくような感覚。  一成は美桜の震えを受け止めながら、まるで宝物に触れるみたいにやさしく、それでいて熱く抱き寄せた。「愛しているよ、美桜」 その一言だけで、胸の奥が熱くなる。 言葉以上の想いが、触れ合う距離にすべて詰まっていた。 美桜は彼の肩に額を押し当て、震える声で応えた。「……私も……一成くんがいいの。あなたじゃなきゃ、こんなふうにならない……」 全部を委ねてしまいそうになる。そんな自分がこわいほどだった。 一成はその言葉を聞くと、腕の力をわずかに強くし、まるで美桜をこの世界から守り抜くように抱きしめた。「ねぇ、美桜。君が僕を求めてくれるのが……嬉しくて、たまらない」 低い声なのに、震えるほどの情熱が宿っていた。

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     重なった影がわずかに揺れた。 一成は美桜の頬にそっと手を添え、愛おしそうに指でなぞった。  その触れ方は、まるで壊れ物に触れるように慎重で、それでいて離れがたい熱を帯びていた。「……美桜。もう一度言って。さっきの言葉……夢じゃないって、確かめさせて」 囁きは甘く震え、喉の奥の熱がそのまま伝わってくる。 美桜は胸に手を当て、自分でも驚くほど静かに微笑んだ。「愛しているの。一成くん……心から、あなたを」 その瞬間、一成の瞳がほっとほどけ、  次の瞬間には抑えきれない想いがあふれるように、美桜の身体を抱き寄せた。 ぎゅっと抱きしめられた拍子に、美桜の息がふわりと零れる。「……嬉しい。美桜のその言葉だけで、今日までのすべてが報われる」 彼の声は掠れていて、胸の奥の深いところからこぼれていた。  いまだけは

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     美桜は思わず息を飲んだ。 胸の奥がきゅうっと締めつけられ、心臓が一拍遅れて跳ねる。「離れたりしないように、って……どういう意味?」 まっすぐに見つめられて声が少し震えてしまう。思わぬ一成の真剣な眼差しに、身体の芯まで熱が伝わってくる。一成は迷いなく彼女に近づき、そっと両肩へ手を置いた。「美桜。君が危険にさらされたと聞いた時……胸が潰れるかと思った。あんな思いは二度としたくない。だから、これからは僕のそばにいてほしい。もっと君の心に整理がついてから言おうと思っていたんだけど……僕は、君の心も、未来も、全部欲しい。欲張りだとはわかっている。でも、どうか、僕のものになってくれないか。僕から離れないと誓ってくれないか」「……一成くん……」「夫婦なんだ。守るのは当然だけど……それだけじゃなくて……もっと君を近くに感じていたい。いい加減、美桜を僕だけのものにしたい」 囁くような声なのに、胸に深く響いた。熱く、甘く、抗えないほどに。 美桜の頬がゆっくりと紅潮していく。

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