Mag-log in「どうぞ。お疲れさまでした」 はいズッキュン‼︎何これ。れいなちゃん、首傾げと微笑みのダブルの攻撃で俺を殺しにかかってんの⁈可愛いだろ。あああ、動画撮りてえ。今の永久保存版だろ。『お疲れさまでした』って毎日れいなちゃんに言われたい人生だった。いや、その人生、実現できるか?「はい炒飯。お前、早めに上がってテスト勉強しろよ」「そのテスト前の受験生に店手伝わせてただろが」「ゔっ……し、心臓が」「そこ、押さえてんの頭な」くすくすと笑いながら餃子をほうばり、ぐびぐびとビールを飲んでいくれいなちゃん。思ってたより、飲みっぷりいいな。唇、エロいな。餃子を食べてるだけなのにそれを連想するとか俺が溜まってんのかな。それともれいなちゃんが誘ってんのか。このまま、酔い潰して……なんて妄想は、妄想の中だけにしないとな。俺は狼じゃない。紳士だ。少なくとも、れいなちゃんの前では。でも妄想の中なら許されるか?その服の中のホック外してえ……。柔らかいんだろうな。先は硬くて。揉みしだいて咥えて吸って。れいなちゃんのいいところ、全部探してやりてえ。「仲良しなのね」「悪くはないですね。れいなちゃん、この店初めて?」俺が知る限り、れいなちゃんは今までこの店に来たことが無い。俺が彼女を紳士的な表情で見つめながら、脳内で服を全て剥いでるなんて伝わらない。全身舐め回したら、どんな声を出すんだろうか。「うん、初めて。でも前から通りかかる度に気になってたの」「美味しいでしょ、ねえちゃん」親父、馴れ馴れしいな。れいなちゃんは俺がロックオンしてんの。彼女を脳内で裸にしていいのも、俺だけなの。「親父、れいなちゃんは先生だよ」「えっ!おま……先生にちゃん付けって」「いいんですよ。私がまだ頼りないから」れいなちゃんは困ったような顔で笑った。その笑顔も保存したい。「らっしゃいせー!あ、れいなちゃん!」「こんばんは」あれかられいなちゃんは、ちょくちょくうちの店に来るようになった。れいなちゃんが来るかもしれないなら、と俺は可能な限り20時まで店を手伝うことにした。勿論時給ありで。20時前後にれいなちゃんはやってくる。俺が手伝い上がってまかないを食べる時間もほぼ同じ。れいなちゃんが来る日、俺はちゃっかりれいなちゃんの隣で賄いを食べた。瓶ビール一本で少し酔ってしまうれいなちゃんは、授業中よ
──まただ。今日は清也も龍樹もしつこいな。授業中、れいなちゃんが表情を曇らせることが増えた。それに気付いた化粧の濃い……えっと……駄目だ、興味の無い女達の名前って、本当に覚えられないな。とにかくそいつらが、れいなちゃんの表情が曇ったことに気付いてしまい、更に騒ぐようになった。れいなちゃんの言葉が止まった。まずい。れいなちゃん、泣くかも。「早く授業続けてくださいよー」「あれえ?せんせー、ちょっと泣きそうじゃん?」もう我慢の限界だ。「うるせえ‼︎」教室内に静寂が訪れた。誰も声を発しない。半泣きのれいなちゃんは目を丸くして俺を見ている。そんなのどうでもいい。「お前らさ……」俺史上、一番低い声が喉奥から響いた。「高校3年にもなって何やってんの?先生いびって授業止めるとか、意味の無い時間強制的に作んのほんとやめて。不愉快」化粧の濃い女達と清也と龍樹に、またしても俺史上一番冷たい視線を喰らわす。「本気で軽蔑するわ。俺、お前らと友達やめた方がいい?」「ご、ごめ、なさ、い……」化粧の濃い女が──やっぱりどうしても名前が思い出せない──俺に向かって謝ろうとする。「謝る相手違うだろ‼︎」声を荒げる俺に、化粧の濃い女達の目から涙が出た。マスカラが溶けてる。余計不細工じゃん。顔洗えよ。「ありがとうございましたー!」「おう!絢斗くん勉強頑張れよー!」丼を下げ、皿を重ねる。油っぽいテーブルを拭くのは慣れている。小学生の頃から手伝わされているからな。俺高校3年生で受験生なんですけど。受験生に店手伝わせるってうちの親はどうなってんだ全く。「絢斗、5番さんの餃子ね」カウンターに置かれた餃子2人前を5番テーブルに運ぶ。「なあ、親父。俺来週テストなんだけど」「あ、ああ……。うーん、8時までは頑張ってくれんか」「……時給上乗せね」「けっちいこと言うなよ」「どっちが」俺の家は町中華を営んでいる。母親は俺が小学生の頃に病気で亡くなった。再婚する気は無いらしい親父と俺だけで店を回している。繁盛してるんだから、バイトぐらい雇えばいいのに。店の引き戸が開いた。「らっしゃいせー!」おやっさんばっかりが常連のこの店には珍しく、若い女性が入ってきた。ひとりで。一瞬、店中の客が色めきだったのがわかった。「え……?」れいなちゃんだった。客がおっさんばっかであ
──あれ?視線の先にれいなちゃんと食物科の教師の鈴木が話し込んでいた。この学校は普通科と理数科と食物科がある。鈴木は食物科の女子達からものすごく評判の悪い教師だ。鈴木に睨まれたとか、嫌味言われたとか、ネタは豊富だ。れいなちゃんと鈴木は話し込んでいたというよりは、鈴木がれいなちゃんにガミガミ……じゃないな、ねちねち言っているように見えた。「だからあなたはダメなのよ。出来てると思ってるんだろうけど、出来てないんだよ……」うわー。鈴木はキツくてワガママなくせにすぐ泣く、めんどくさいので有名なおばさんだ。どうやらバツイチらしい。化粧の濃い女達の情報だ。泣きそうな顔をしながらも、涙をぐっと堪えてるれいなちゃんは、もう限界かもしれない。「檀せんせー、俺ちょっと聞きたいことがあってえー」顔をあげたれいなちゃんはきりっと先生の顔になっていた。何だよ。さっきまで泣きそうだったのに。でもれいなちゃんを鈴木から救出するのが先だ。「……じゃあ、家庭科教官室へ」「えー、でも俺の教科書教室にあるからさ」「わかった。教室ね。では、鈴木先生」「いいから早く行きなさい」面白くなさそうな鈴木は、しっしっとでも言うように、顎で教室のある方向を示した。「……で。聞きたいことって?」「えーっと。何だったっけな」れいなちゃんを鈴木から救出したいだけだった。聞きたいことか……。うーん。どうしようか。神妙そうに俺の隣で廊下を歩くれいなちゃんは可愛い。自分の身長が伸びていくと、世の女の子達がこんなに小さく可愛かったのかと気付いた。れいなちゃんは特に、先生であるはずなのに可愛い。他の先生達より歳が近いからか。「れいなちゃんは投資とかやってんの?」「へ?」しまった。質問おかしかったか。眉を上げ、目を見開き、少し気の抜けたこの顔も、頬をそっと撫でたいぐらいの可愛さだ。「やってないけど」「投資語ってたじゃん
桐生くんは瞬く間に前菜の皿を空にした。私、まだ1皿目をもぐもぐしてるんですけど。もしかして、アフタヌーンティーって女同士じゃないと成り立たないのか?そういえば健次郎をアフタヌーンティーに誘ったら渋い顔をされたことがある。お腹がいっぱいにならないかも疑惑か。「ええと。桐生さんは壇さんとは……」「俺が高校の生徒で、れいなちゃんが家庭科の先生」今回の対象者、桐生絢斗さんのお相手は壇れいなさんという方で、高校の教師と生徒。うわー、またドラマ出来そうなやつ。てか、れいなちゃんって呼んでるのね。でも相手が高校生って、淫行扱いされるよね?「桐生さんは高校生ですか、もう少し小さい声で言われた方が」「俺が、一昨日誕生日だったから18。18ならセーフでしょ?」18。淫行疑惑。セーフ……なのか?慌ててスマホでググる。『18歳との性行為は同意があれば基本的に犯罪ではない。成人を迎えた18歳との性行為は、基本的に犯罪にはならない』そうか、成人は18歳になったからか。ん?誕生日が一昨日……。そのふたりは一昨日より前に身体の関係が……あった……のか?うーん、追及するのはやめておこう。私、警察でも弁護士でもないし。しかし、迫ったのが桐生さんからだったらセーフなのか?「れいなちゃんは、4月に先生になったばかりでさ。家庭科の先生なんだけど、何か舐められててさ」新卒の先生か。大学出たて。高校生の扱いなんて出来るものなのか?ストレートで採用されてて、誕生日来てれば23歳。で、この桐生さんが18歳。え?5つしか変わらないじゃん。そりゃ舐められるわ。「桐生さんとは、5歳差、ということでいいですか?」「はい。もうね、皆全然れいなちゃんの話聞かなくてさ。泣きそうになってたからちょっとシメてやったんだよ」シ、シメる、だと……?発言怖いんですけど。「シメる、とは……?」恐る恐る尋ねる私に桐生さんはわかりやすいドヤ顔で私に言った。
とはいえ。二人目の育児って思った程しんどくない。ひと通り経験してるからかな。そう気付いた途端、私の中の野次馬根性が出てきた。私の第二子・博樹《ひろき》はもう6ヶ月になった。麻子さんももう出産終わったかな?ライティングぐらいなら、もう仕事復帰してもいいかも。そうすれば、二人とも保育園に入れてもらえる。私の住む地域は幸いにも、保育園の待機児童ゼロを目指しているところだった。出版社に交渉すれば、保育園に入るための必要な書類はすぐに揃うだろう。『お世話になっております。インタビューの案件を担当する準備ができました。つきましては詳細を教えて頂きたいです』はい、新規のインタビュー案件、他の人に取られてない前提ね。インタビュー案件は人気なので本来取り合いだ。本当にご指名案件だったら生きてるはず。『里崎様。育児、順調そうで何よりです。詳細添付致しましたのでご一読ください』返信はやっ。やきもきしないで済むから助かるけどね。ええと、添付ファイルは……。うわー。またしても禁断の愛シリーズじゃん。私ドロドロ担当班なの?『男子高校生と女性教師の恋。両方にアポ可能』また女性が年上パターンか。禁断の愛は年上女性が多いのか?違うか。男性教師と女子高校生だと記事が平凡になりがちだから?みんな刺激、欲しいのねえ……。久しぶりのホテルのラウンジ。うん、熱いぜ。家事と育児だけの世界から飛び出たこの感じ。解放感最高!……じゃなくて。仕事仕事。今回もラウンジの個室でアフタヌーンティーだ。しかし今回の取材対象者は男子高校生。甘いものなんて食べられるのだろうか?「予約した里崎です」スタッフに伝えてラウンジのテーブル席に通される。まだ例の男子高校生は来ていないようだ。男子高校生ってDKとかいうのだろうか?女子高生がJKっていうじゃん?どうでもいいけど。……まだかな?約束の時間から20分が過ぎている。個人のスマホの番号なんて知らないしな。
肯定も否定もしてはいけない。だって私はインタビュアーだから。一度その境界線の向こうに片足だけでも突っ込んでしまったら、私も関係者になってしまう。不倫のインタビューって、こんなに難しかったのか。麻子さんは、きっと今でも岳さんを想ってる。それでも麻子さんが離婚しないのは、岳さんの立場を守るためでもあるけど、旦那さんへの忠誠心もあるのかもしれない。あのとき麻子さんは旦那さんとの回数が増えたと話していた。それは、旦那さんの防衛本能というか、麻子さんを手元に置く為の奪還行為だったのかもしれない。麻子さんも岳さんも神妙な顔してるけどさ。一番の被害者、麻子さんの旦那さんだからね?みんな、そこ忘れちゃダメなやつよ?あ。だからお墓の中まで持ってく話なのか。しかしなあ……。不倫モノのドラマって、大抵最後どっちか死ぬか心中だ。でも現実の当事者は案外たくましい。厚かましいと言った方が合ってるのかもしれない。現実、だもんな。ドラマは最後、誰か死なないと収まりがつかない。でも私達が生きているのは現実なわけで。だからといって、ふたりがしたことは許されることではないのだけど。麻子さんのお腹の子の父親が本当に旦那さんでありますように。岳さんが立ち直って前に進めますように。私に出来ることは、ただ祈るだけだ。「人妻と大学生の背徳LINEに“妊娠疑惑”──禁断愛が迎える最悪のシナリオ」「まさか、私が……」──28歳人妻Tさんの震える声に、年下大学生Yさん(21)との背徳の恋が新たな局面を迎えた。M市内の喫茶チェーンRで出会ったふたり。ショップカードの裏に書かれたLINEから始まった関係は、夫が知らぬ間に燃え上がり、ついにはYさんの部屋で逢瀬を重ねるようになった。だが先月、Tさんに“妊娠疑惑”が浮上。つわりのような症状に苦しみ、夫と姑は「新しい命かもしれない」と彼女を労った。罪悪感に押し潰されそうになりながら、Tさんは産婦人科を訪れる。結果は「妊娠していない」。想像妊娠だった。だがこの騒動で、Yさん







