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酷な話だけれど、命を預けるものだから

Author: 結城慎二
last update publish date: 2026-07-06 06:00:45

 村に戻って、村の再建・復興作業が再開された。

 ちなみに西の山では最終日にラバトやデヤールを狩って戻ってきてる。

 いわゆるついでってやつだ。

 基本的には狩りの上手なジャリとジャス、サビーやオギンたちが狩猟したものだ。

 僕もラバトを一羽弓で仕留めたぞ。

 西の山は植物型怪物スクリトゥリの生息地だからか、獲物は少し少なめだった。

 村に戻った僕らは改めて役割分担を割り振って仕事を始める。

 冬用の炭焼き、ルンカー作りに二人ずつ。

 サビーたちには北の森で狩猟。

 ジャスに建築現場の監督を任せ、僕はルダーとジャリを交えてジョーと話し合う。

 会場は僕の小屋。

 ジャリを呼んだのはもちろん武器の品質強化の件。

 ルダーは前世知識持ちだから内政問題のアドバイザーとしてだ。

 すでにジャリがむくれてる。

 無理もない。

 ジョーに強烈なダメ出しをくらったんだから。

 師匠もなくよう真似まねで打
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  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    五百年のギャップ

     はた迷惑な。  やがて、負けた人族の反感を買ってお尋ね者に。  それで人間嫌いになって逆ギレ。  逆襲された人族は互いに争うのをやめ、団結して反攻。  戦力が拮抗したところで五年もの間膠着。  やがて戦いに疲れた双方がラバナルはこの森を出ないこと、人族は森を侵さないこと、という条件で停戦。  以来、五百年が過ぎたということだ。  なんでこんなところに村があるかと思えば、ここは対ラバナルの最前線基地だったのか……。  建国記にあった、悪の魔法使いと建国王の逸話は史実とされるものよりはるかに暴力的だったわ。  建国王を英雄にみせるための脚色、相当苦労しただろうな。「ほれ、今度はそちらの番じゃ」 ラバナルに促されて、今度は僕が話す番か?「森にこもってからの五百年は?」「特になにもしとらん。しいて言えば、森に侵入する人族に魔法を放っていたくらいじゃ」 …………。「ほれ、さっさと話さんか」「……ラバナルとの戦いで団結した人族はリーダーとなった人物を国王にした王国を作り、領土を拡大していく。その過程で人族同士が戦うわけだけど、必要は発明の母って言ってね。しょっちゅう戦っていると、より強い武器、より硬い防具が欲しくなるわけだ」「ふむふむ」「やがて銅と錫の合金である青銅器ではなく、どこにでも存在していて大量生産できる鉄器の時代になる」「そこが判らんのだ。ともすれば石器より柔らかい純銅はともかく、錫を混ぜて強化した青銅がどうして鉄などという軟弱なものに駆逐されるのじゃ?」 はいはいはい。  オタクゴコロが刺激されますな。「ラバナルの知っている鉄は今、僕たちが使っている鉄とは違うんだ」「なに!? 鉄は鉄じゃろ」「今、僕らが使っているのは鋼と呼ばれる鉄なんだ」 と、オタク知識をひけらかす。

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    その男、異端につき

    「では、こちらから質問させてください」 先手必勝。「なぜ五百年もの間、人との交流を絶って森に棲んでいたのですか?」「単に人族が嫌いだからじゃよ。なにか問題でも?」 う……なにも言い返せない。「こちらからの質問じゃ。五百年の間になにが起きた?」 こりゃまた等価交換とは言えない質問だな。  いやいや、ほんとにやりにくい相手だ。  クソが。  そうか!「じゃあ、こちら人族の五百年の歴史をお話ししますので、あなたが森に住むようになった経緯から今日までをお話ししてください」「ふむ、それは正しき等価交換。では、ワシが先に話すとしよう」 ラバナルの話すところによれば遡ること六百年前、若きラバナルが古臭いナルフ族のしきたりを嫌って村を飛び出した後、大陸各地を旅してた。  旅の道々で当時の人族と交流を持ち、時にはドゥワルフ族とも誼を通じていたそうな。  ちなみにドゥワルフとナルフは相性がよろしくないと物の本には書いていた。  もっともドゥワルフ族とオルグ族のように合えば殺しあうような中の悪さじゃなく、なんとなくいけ好かないって間柄のようだ。  そのうち人族の使う魔法に興味を持ち出した。  人族の魔法は生命力の根源と定義されている魔力を呪によって顕現させる技だが、ナルフ族の魔法は人族からは一般に精霊魔法と呼ばれ、精霊から力を分け与えられて業を使う。  人族の魔法と精霊魔法は相性が悪く……というか精霊が人族の魔法を嫌っているようで、魔法を使えるようになる代償として異端・闇落ちしたようだ。  まぁ、元々ナルフ族のしきたりが嫌で村を飛び出したくらいだし、そこは気にしていないようだけど、とにもかくにも魔法適性が高くて当時の魔法を瞬く間に習得していったという。  やがて一通り覚えたラバナルは実際に使ってみたくなって、人族の争いに加わっては魔法を行使していたらしい。

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    知識の等価交換

     案内されたのは樹齢千年とかじゃないかと思われる大樹である。  洞に扉がつけられていて、中に入ると思ってもみないほど整頓されたリビングルームが広がっていた。  ラバナルは半ば僕たちを無視するように階段を上がっていく。  二階は書斎っていうのかな?  乱雑に本なんかが広げられている。  三階は寝室か?  そこからは外に出て屋上?  いや、ツリーハウスになってるな。  調理器具的なものがあるからキッチンスペースってことか。  ここで煮炊きをするんだな。  ラバナルは無造作に水瓶からひとすくい鍋に水を汲むと、コンロ的なところに指で魔方陣的なものを書いて鍋を乗せる。  鍋の下に火がつき、お湯が沸く。  ……便利だなぁ。  カップにお湯を入れ、なにやら葉っぱを入れると僕らの前に出してくれた。「毒は入っとらん」 その言葉、信用するよ?「あ!」「なんじゃ?」 これ、ハーブティーじゃん。  美味っ!「美味しいです」「お主、人族のくせに味覚が肥えとるの。前に振る舞ったやつは『葉っぱくさい』などといっておったぞ」「残念なやつですね」 ラバナルはガハハと笑って「気に入ったわい」 と、肩を叩いてくる。「さて、その鎧じゃ」 駆け引きもなにもあったもんじゃないな。「その前に」「なんじゃ?」「こちらが一方的に情報を提供するのは……」「判っとる、判っとる。等価交換じゃ」 話は早いが、こっちのペースにならんなぁ……ったく、やりにくいったらありゃしない。「価値基準は?」「ワシじゃ。文句あるか?」 ……まぁ、いいか。  でも、こっちの条件も多少良くしとかなきゃ割りに合わんよ。  まずは、五百年ぶりの人族との交渉だって言っていた。  で、相手の文化水準が青銅器時代止まり……てことは鉄

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     なんじゃと言われても鎧は鎧よね。  どう答えていいものやらと迷っている間にもう一度問いかけが来る。  今度は見るからに怪しい人物とともに。「その鎧はなんじゃと聞いておる! はよう答えい!」 いや、いかにも魔法使い然としたこすけたローブ姿でフードを深々と被ってるとか、怪しすぎて返答に困るんだってば。  あ、「こすける」は北海道弁だっけ?  とはいえ、なにも答えないというのも問題だな。  まずはコンタクトを取らなきゃ始まらない。「革の鎧ですが……」「革の鎧で石の弾丸を防げるわけがなかろう!」 知らんよ、そんなこと。  てか、ストーンバレットってなんぞ?  こっちが聞きたい。「胸に鉄のプレートがあるからじゃないですか?」「鉄? 鉄がそんなに硬いわけなかろう! 青銅をも砕くワシの石の弾丸を受け止めたその鎧はなんじゃ!?」 話が通じない……いや待て、青銅?「青銅?」 試しに問うてみた。「そうじゃ、青銅じゃ。人の加工できる最も硬い金属じゃ。知らんとは言わせんぞ」 歴史オタクが青銅を知らないわけないんだけどさ……古代人出てきちゃったよ。  さて、どうコミュニケーションをとったもんやら……。「きちんと説明するといえば、冷静に話を聞いてくれますか?」「む!?」「僕と交渉してくれますか?」 ローブのおじさん(たぶん)は「むむむ」と唸ってしばらく考え込んだ後、大きな声でこういった。「よかろう! 人との交渉は五百年ぶりじゃ!」 …………。 とにもかくにも、交渉が始まった。  僕は護衛と世界情勢の補足のためにオギンを残し、捜索隊を返す。  ギランたちがちょっと反対したけど、一対多数で交渉とか冷静に考えてダメでしょうが。  僕らはローブのおじさんの住処に案内されることになった。  道々も大事な交渉の機会だ。  まずは自己紹介から。

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    捻り出せ知恵

     あ・逆にヤバくない?「やばいかもね?」 うん、リリムもそう思うよな。  僕ら魔法に対する知識ほとんどないよ。  相手が魔法使いだとして、僕らどう対処すればいいのさ。  いざ戦闘なんてなった時、相手がモンスターの類だって言う方がむしろ戦いやすいんじゃないの?  どうすんのこれ。「お館様」 またまた思考に没頭しかけた時、ペギーが声をかけてくれた。「魔力が一点に集まってます」 そんなことが判んの?  魔力感知すげーな。  いやいや、今はそんな感想どうでもよくて。「ペギー、指示を出せ!」 カイジョーがその報告を受けて命令する。  僕がすべてを担当しなくてよくなるのはありがたい。  ペギーの指示を受けてカイジョーがカシオペアの三人を散開させる。「イラード!」「承知」 僕が名前を呼んだだけでイラードが三人の後を追う。  頭の回転が早い人は助かるよ。「お館様!」 あ・集中してなかった。  気づくと咆哮が止んでいる。  ペギーの鋭い声を受けて例の場所に視線を向けると、なにかがキラリと光って一直線に僕の方に飛んできた。「ぬぉっ!」 胸に激しい衝撃と金属音、鈍痛が走る。  なにが飛んできた!?  足元を見てもなにが飛んできたのかよく判らない。  ってことは、自然物か純粋に魔法的ななにかってことか?  痛む胸に手を当てると、胸の鉄板が親指くらいの範囲で凹んでいる。  鎧様様だ。  これがなかったら死んでたかもしれない。  そう安堵の息を吐くか吐かないかと言うタイミングで、なんともしわがれた、そのくせ大きな声が森の奥から発せられた。「その鎧はなんじゃ!?」

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    論理的に考えて

    「カイジョー、指揮を頼む! サビー、ペギー」 と、カイジョーに指示を出して、二人の名を呼ぶ。  僕の護衛にあたってもらうためだ。  ペギーを選んだのは戦闘経験豊富でカシオペアのリーダーであるカイジョーを呼ぶわけにはいかないのと、今回の捜索隊の中で唯一魔力感能力があり索敵能力が高いからだ。  残念なのは魔法が使えるわけじゃないってところかな。「ペギー、魔力って感じられる?」「ええ、ビンビンに」 む。  ビンビン……いやいや、中学生かっての。  今はそんなところに反応している暇はないだろ。  さて、これで散漫にならざるを得ない周囲への注意を補った。  主の考察再開だ。  そういえば、この間一度も咆哮が途切れたことがない。  ゆうに三分は経っているぞ。  そこから考えると肺呼吸するような生き物じゃないってことが判る。  音は、この世界でも振動によって発生する。  これは体験的に間違えようのない事実だ。 とすれば、発声でこれだけの音を出し続けるには……なんて考えていたら、音が止んだ。  捜索隊は警戒態勢のまま身構える。  カシオペアや僕の側近とも言えるメンバーは多少の緊張もあるだろうけど、ちゃんと地に足がついている。  けれど反お館派はみんな一様に浮き足立っているようだ。  そこに追撃のように咆哮が響く。  あれ?  これって、初めてのことだな。  そこはいい。  今は、咆哮の考察だ。  音の鳴り方はでも、「咆哮」なんだよなぁ……。  なんとなく角笛のような…………角笛?  そうだよ! 吹奏楽器のような響きがあるんだ。  あ・でも、楽器を使うにしたってこんな音量は拡声器でも使わな……きゃ? …………。 なんてこった。  結論出てるようなもんじゃないか!  この世界の文化水準に対する先入観と、身近に魔法がなかったせいでそこに思い至らなかっただけなんだ。  これは吹奏楽器と拡声器的な魔法で作り出された

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    晩秋の枝の上で八方塞がり

     さて、ここからは前世の記憶をフル活用だ。  襲ってきたのは、十数人の盗賊団。村には女子供を含めて三十人ちょっと。ここは本当に農村の一集落だった。  ん? この世界は前世知識的にどれくらいの文明水準なんだ?  くそっ、ど田舎の未成年じゃ参照知識がなさすぎる。  異世界転生ものならそれなりの環境に生まれ直させろっての。  ──って言っても仕方ないわけで、そもそもテンプレの神様にあった記憶がない。  現世の記憶を手繰り寄せてもなろう系のお作法である知ってるゲーム世界的な場所でもなさそうだ。  あ、もっとも僕、

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    朱夏-ある中年のつぶやき-

    「人生やり直せたらなぁ……」 そう思っていたことが僕にもありました。 ありましたが……。 だからってこれはないんじゃないでしょうか? こんな状態で前世の記憶が蘇るとか、神様の仕業だとしたら「あんたバカぁ!?」って罵ってやりたい。 いいや、一発殴らせろ。 こんな切羽詰まった状態だが、現在の状況を冷静に確認分析だ。 まず、ここは村はずれの雑木林をちょっと入

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    五日ぶりの温かい飯

    「で、僕のステータスはどうやったら確認できるの?」「なにそれ、美味しいの?」 え?「うそうそ、そんな便利機能現実世界にあるわけないじゃない」 だよねー。「数値が知りたいなら体力測定とかIQ検査でもしてみる?」「それって実際あてになるの?」「参考程度には」 だめじゃん、そんなの。「まぁまぁ。ホラ、そろそろ準備始めなきゃまた木の上で寝ることになるよ」 リリムに言われて気がついた。  お日様がだいぶ西に傾いているらしく、僕の影

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    都市伝説は真実だった

    「じゃあ次は概要ね」 と、リリムは言う。「世界の概要は現世の知識があるから割愛ね」 あらま。「あなたは転生の際にDNAってやつに細工されていてね、神様曰く人よりちょっと優秀になってるそうよ」 え? ちょっと?「そこはとても優秀になってんじゃないの? テンプレ的に」「いくら世界に干渉できる環境にある神様だってそんなことホイホイしたら世の中のバランスが狂っちゃうでしょう?」「異世界転生は世界のバランスを崩さないのか?」「崩すわよ。それなりに。そもそも

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