共有

第885話

作者: 歓乃
凛は嫌な予感がした。「交流を深めてる?」

理央は少し間を置いた。「まあ……一方的に?」

凛が社長室へ向かうと、理央は黙って道を開けた。秘書室を抜け、まだ社長室のドアにもたどり着かないうちに、中から低いうめき声が聞こえてくるのだが、それは明らかに、誰かが殴られているような声だった。

凛がドアを開けると、駆の声が真っ先に聞こえてくる。

「だから、わざとじゃないって言ってるだろ。食事の席で、もうすぐ発表会があるって話をちょっとしただけなんだって。俺だって海斗さんと凛さんのことが嬉しかったんだよ。それがどう伝わったのか、勝手に一部分だけ切り取られてマスコミに流れて、こんな騒ぎになっちまってさ」

ドアを大きく開けた凛は、そこで足を止めた。海斗は椅子に座り、床に倒れた駆の胸を片足で押さえつけていた。普段の彼からは想像しにくいほど、目つきが険しい。

それに、駆の口元には青あざまでできている。

物音に気づき、二人が同時に入り口の方に視線を向けた。海斗の目にはまだ冷たい怒りが残っている――誰も入れるなって言ったはずだ。そう思いながらドアへ目を向け、そこに立っているのが凛だと気づいた瞬間、駆
この本を無料で読み続ける
コードをスキャンしてアプリをダウンロード
ロックされたチャプター

最新チャプター

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第943話

    将希は彰菜のほうを見ようともせず、冷たく言い放った。「もう君の意思でどうにかなる話じゃない。そもそも茂が君と結婚すると言い出したときから、私たちは反対していた。それでも結婚を認めたのに、君は秀明にとって最も大事な時期に、娘を捨てるという騒ぎを起こした。茂はあれほどの将来を捨ててまで、君と離婚せずに支えたんだぞ。それなのに28年後、ようやく娘が戻ってきても、償おうとするどころか自分の娘を目の敵にするとは!」一見すれば、凛を庇っているようにも聞こえるが、将希が本当に言いたいことを、凛はわかっていた。彰菜が凛が戻ってきたことを素直に受け入れ、失われた28年を埋めるように母親らしく接していれば、ここまでの騒ぎにはならなかった……将希はそう思っているのだろう。そうすれば凛も親子の情にほだされ、過去を蒸し返さず、「赤ん坊の取り違え」という神谷家の筋書きを受け入れたかもしれない、と。けれど、そんな仮定は最初から成立しない。神谷家へ戻るよりずっと前から、凛には母と呼べる人が二人もいた。だから、今さら彰菜に母親らしく振る舞ってもらわなければ埋まらないようなものなど、凛にはなかった。それでもただひとつ、捨てられたという事実だけは、忘れることも、なかったことにすることもできない。将希に責められ、彰菜は言葉を失った。自分は凛を目の敵になどしていない、そう言いたかったが、口には出せない。それよりも彰菜には、どうして凛が今さら戻ってきたのかが、どうしても理解できなかった。もう28歳で、自分の人生を築き、何不自由なく暮らしていたのに神谷家へ戻ってきた。それは結局、自分に昔の借りを返させるためではないのか?わざわざ目の前に現れて、自分を苦しめるためではないのか?美雪はそんな彰菜の肩を抱き、身体を寄せた。言葉は何もいらない。自分だけはいつまでも母のそばにいる、そう伝えるように、強く抱きしめる。これが、自分と凛の違いだ。凛は母親を見下ろし、皆の前で過去の罪を突きつけるけれど、自分は何も言わずに寄り添う。そもそも、美雪は将希が離婚させると言ったからといって、茂が本当に離婚するとも思えなかったのだ。自分を追い出した日、茂は確かに「28年前に彰菜を見捨てなかったからといって、今も見捨てないとは限らない」と言っていたが、それから何か具体的に動いた様子

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第942話

    凛はふっと笑った。「証拠なら、いくらでもありますよ」彰菜は目を見開いた。まさか茂が、本当に証言するはずがない。「知らないんですか?」凛は、上品に着飾りながらも、もはや取り乱した様子を隠しきれない彰菜を見つめた。「あなたが赤ん坊を抱いてどこへ向かったのか、実際に見た人がいるんです。しかも、その人に弱みを握られたからこそ、あなたの旦那さんは公職を辞めたんですよね?」凛は徹のことまで知っている!彰菜の顔から一気に血の気が引いた。徹本人を見つけたのか?それとも、茂が話したのか?どちらにしても恐ろしかったし、とりわけ後者だけは、考えたくもない。「理由を聞くつもりはありません」凛は続けた。「どうして私を捨てたのかは、もう知ってますから。私が聞きたいのは一つだけです」彰菜をまっすぐ見据える。「生まれたばかりの私を、雪の中へ置き去りにした。死ぬかもしれないとわかっていて捨てた……それを認めますか?」将希は、もう止められないと悟った。深いため息をつき、人に支えられながら椅子へ腰を下ろす。もう好きにさせるしかない。せめて家の中だけで全部吐き出して、それで収まるならまだいい。外にまで持ち出されるよりは、よほどましだった。それでも、彰菜はなおも認めようとしない。凛はもう一度、同じことを尋ねた。「生まれたばかりの私を、雪の中に捨てた。それを認めますか?それとも、認めませんか?」それは問いかけというより、もう確認だった。逃げ道を一つずつ塞がれるような静かな圧に耐えきれず、彰菜が叫ぶ。「殺そうとなんて思ってなかった!」その声が仏間に響いた。「そんなこと思ってない!誰かが通りかかると思ったの。きっと誰かが見つけてくれるって……絶対、誰かが……」そう言いながら、彰菜は大粒の涙をぼろぼろと流した。凛の胸にも、鈍い痛みが走ったが、それでも次の瞬間には、静かに言った。「じゃあ、故意に私を捨てたことは認めるんですね」周囲が一気にざわめいた。本当に捨てられていた。それも彰菜の手によって。和江は足元が揺らぐような感覚に襲われた。これまで、親の言うことを聞き、結婚してからは夫を立て、大きな波風もなく生きてきた。そんな彼女の人生で最も衝撃的だったのは、裕香が自ら命を絶ったことだった。そして今、その次に並ぶほどの事実を突き

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第941話

    凛はそっと手を伸ばし、海斗の指に自分の指を絡めた。「どうして来たの?」凛が声を潜めて尋ねると、海斗は凛のほうへ身をかがめた。それでも、視線だけは神谷家の面々から一瞬たりとも外さない。「家の利益が絡んだら、こいつらは結局そっちを優先する。だから、今日は君を一人で帰してくれる保証がないと思ったんだ」凛が眉を寄せる。そこへ日和も寄ってきて、小声で話に加わった。「凛さんにはわかりにくいかもしれないけど、こういう家に生まれると、小さいころから何より『家の利益が最優先』って叩き込まれるんです。学校でいう集団の一体感みたいなものかな。でも学校と違って、こっちは生まれたときからずっとだから、もう考えるより先に身体が動くんですよ。普段どれだけ仲が悪くても、外から何かあれば一斉に同じ側につくんです」長年染みついた価値観は、理屈ではなく反射に近い。凛はようやく納得し、小さく頷いた。「でも大丈夫。私たちがいますから。中に入ってきたのは三人だけですけど、外にはちゃんと人を待たせてます」神谷家と草壁家の長年の付き合いがあるからこそ、ボディーガードを引き連れて強引に踏み込むことはせずに、海斗と日和、それに策だけで中に入ってきたのだった。智也との関係を断ち切ると決めてから、海斗と出会い、日和と出会い、ほかにも多くの人と知り合った。今では、その誰もが自分のそばに立ってくれている。人がどうして誰かを「自分の大切な人」にしたがるのか、少しだけわかった気がした。大切な人が増えるたび、自分一人では得られなかったものまで、いつの間にか手の中に増えていくのだ。そのとき、策が彰菜の診察を終えて振り返った。「大丈夫みたいです。今すぐ病院へ運ぶような状態ではありません。長い間いろいろ抱え込んできたせいで、かなり不安定にはなってますけど」ずいぶん言葉を選んだ診断だった。凛は彰菜へ目を向けた。「それなら、続きを話せますね。28年前のこと、ご自分で話しますか?もし話したくないなら私が話しますので、そこで聞いていてもらうだけでも構いませんよ」目を閉じた彰菜の頬を一筋の涙が伝う。やがて目を開けると、そこにあったのは後悔でも罪悪感でもなく、ただ凛への恨みがあるだけだった。「A市で初めてあんたを見たときから、わかってた……」彰菜は涙を流しながら、凛を睨んだ。「

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第940話

    海斗は険しい表情を浮かべ、鋭い目でその場を見渡していた。その隣で、日和は神谷家の年長者たちににこやかに頭を下げる。「すみません、皆さん。勝手にご先祖様をお祀りする仏間まで入ってきたのが失礼なのはわかってます。でも、いつまで待っても凛さんが戻ってこないから心配になっちゃって。兄ってこういうとき、止めても聞かないんですよ。迎えに来ただけなので、大目に見ていただけますよね?」日和は笑顔で謝りながら、責任はすべて海斗に押しつけた。そうすれば、神谷家としても簡単には強く出られない。突然現れた海斗を見て、凛は一瞬きょとんとした。自分はまだ何も連絡していないし、今日ここで彰菜と決着をつけることになったとも伝えていないのに、海斗はまるで頃合いを見計らったように現れた。それも、よりによってこのタイミングで。しかも海斗と日和の後ろには、手に救急バッグを持った策までいる。どう見ても、最初から何か起きることを想定して来たようにしか見えなかった。三人の登場で、美雪と将希が彰菜を連れ出そうとしていた流れは完全に止まった。辺りも静まり返り、皆が海斗の出方を窺っている。海斗がまっすぐ凛のそばまで来た。「疲れたか?」凛は小さく頷いた。「少しだけ」海斗はそれ以上何も言わず、焼香台の前に行き、三度焼香をあげた。「本日は突然お邪魔して、申し訳ありません」一礼してから振り返ると、その視線が彰菜、美雪、そして将希を静かに通り過ぎた。「病院まで行く必要はありません。医者なら連れてきましたので」待ってましたとばかりに策が前へ出て、医師免許を見せる。「ご安心ください。祖母は元大学教授で医学の専門家、父は柊病院の院長、母はそこの医師です。母のことは調べていただければ、たぶんすぐ出てきますよ。まあ、そんな家で育って俺だけ何もできないってことはないので」にこりと笑い、さらに胸を張る。「一応、竹内社長の専属医もやってますしね。この人、身体に何かあったら大変なんで」策が笑えば笑うほど、将希と美雪の表情は険しくなった。将希は海斗を睨む。「海斗くん。これは神谷家の問題だ。いくらなんでもやりすぎだぞ」海斗は平然と返した。「竹内家と縁を結びたがってたのは、どこの家でしたっけ?」都合が悪くなった途端、今度は部外者扱いか。将希は返す言葉を失った。その間に、策は美

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第939話

    彰菜の取り乱しようを見れば、もう疑う余地はなかった。凛と美雪は、取り違えられたのではない。凛は彰菜に捨てられたのだ。当時、彰菜は二人目を出産したあと精神的にひどく不安定になり、茂は妻を支えるために公職を辞した――そう聞かされていたのだが、一族の中には腑に落ちない者も多かった。神谷家なら、医師も使用人もいくらでも雇えるため、産後に心を病んだ妻の世話が必要なら、専門家に診せ、子供には専任の世話役をつければいい。それだけのことで、将来を嘱望されていた茂が公職まで捨てる必要があるのか、と。一族の期待どおりに進めば、茂はいずれB市の中枢でさらに上を目指せたはずだった。だから、それほどの将来を、妻の療養だけを理由に手放したという話には、どこか無理があったのだ。けれど、彰菜が生まれたばかりの娘を捨てたのなら、すべて辻褄が合う。公職にある人間にとって、家族をめぐる不祥事は致命傷になりかねない。まして神谷家全体にまで影響が及ぶとなれば、なおさらだ。彰菜が本当の娘の帰還を喜ばなかったことも、凛とまともに目を合わせようとしなかったことも、これで説明がつく。凛を見られなかったのではない。凛を見るたび、彼女自身が28年前にしたことを突きつけられるから、見られなかったのだろう。周囲から彰菜へ向けられる視線が、明らかに変わっていく。驚き、そして非難。凛はそれを淡々と眺めていた。今さら誰が彰菜を責めようと、何も感じない。そもそも、この場にいる人間が全員、本当に何の責任もないと言い切れるのだろうか?特に、秀明。凛の視線が、ほんの一瞬だけ秀明に止まる。秀明は内心ひやりとしたものの、顔には出さなかった。どうやら今年の春の彼岸は、到底穏やかには終わりそうにない。将希はどうにか凛を止めようとしたが、凛のほうが先に口を開いた。「何をそんなに怖がってるんですか?」彼女はまっすぐ将希を見る。「神谷家は家族の結束を何より大事にするんでしょう?だったら秘密だって、みんなで共有すればいいじゃないですか。四人だけで28年間も抱えてきたなんて、大変でしたよね。そろそろ皆さんにも教えてあげたらどうですか?それとも、ここにいる人たちだけじゃ足りませんか?世間中の人に知ってもらったほうがいいですかね?」「黙れ!」将希は杖を握る手に力を込めた。気力だけで立っているため、もう今にも

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第938話

    取り違えじゃなかったのか?当時、真相を知る一部の人間を除けば、神谷家の誰もが「赤ん坊の取り違え」という説明を信じていた。それだけでも一族にとっては十分すぎるほど衝撃的な話だったから、まさか、その裏にさらに大きな秘密が隠されていたとは誰も思わなかった。凛は取り違えられたのではない。母親である彰菜に、捨てられたのだ。「捨てられた」その言葉はあまりにも重かった。凛の口からは淡々と語られたのに、その場にいる全員の胸へ重くのしかかる。彰菜はもう一人では立っていられず、美雪にもたれかかっていた。目の前には、凛が差し出している焼香台がある。漂ってきた煙にむせ、彰菜は激しく咳き込んだ。凛とは目を合わせようともせず、必死に否定を繰り返す。「何を言ってるの……でたらめよ。私はそんなことしてない。取り違えだったって言ったでしょう?そうよ……取り違えだったの!」最後の言葉は、ほとんど叫びに近かった。まるでそう言い続ければ、それが真実になるとでもいうように。凛はそんな彰菜を見ても、声を荒らげなかった。「本当に取り違えただけなら、どうして一度もまともに私の顔を見ないんですか?」静かな声が、かえって彰菜を追い詰める。「何がそんなに怖いんですか?今まで一度も夢に見なかったんですかね。夜中に目を覚ましたとき、赤ん坊の泣き声が聞こえたことは?」偶然か、それとも当然の報いか?最近の彰菜は、まさにその夢に悩まされていた。彰菜の指先が、目に見えて震え始める。美雪は口を挟めなかった。ここで目立てば、次に矛先が向くのは自分かもしれない。できることなら、このまま存在そのものを消してしまいたかった。けれど、ほんの少し足を動かしただけで、凛の視線がすっとこちらへ流れてくる。感情の読めない、暗く静かな目。その一瞬、美雪は海斗に見られているのかと錯覚した。「凛!」ようやく息を整えた将希が、厳しい声を上げる。「今日は春彼岸で、神谷家にとっても大事な日だ。こんなご先祖様を供養する大切な日に騒ぎを起こして、何を考えている?ご先祖様に失礼だろう!」「私から始めたわけじゃありません」凛はわずかに顎を上げ、彰菜と美雪を示した。「先に怒鳴ってきたのは、あちらですから」将希は今朝の自分を殴りたくなった。彰菜が現れた時点で、無理にでも帰らせるべきだったのだ

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第8話

    凛が家に帰ると、もう夜の8時だった。智也はソファに座り、暗い目つきで彼女を見つめていた。「なんでこんなに遅いんだ?」「あなたは、なんでこんなに早いの?」凛は不思議に思った。智也は毎日、柚葉を職場まで迎えに行っているはずなのに。智也は眉をひそめた。「俺が最近、帰りが遅いことを責めてるのか?」「まさか」凛がカバンを置くとすぐに、智也が仕事をやめる件について聞いてきた。「退職届は出したわ」彼女は自分に水を一杯注ぎ、ゆっくりと飲んだ。「引き継ぎとかの手続きに、1ヶ月はかかるの」「お前の仕事に、引き継ぎで1ヶ月もかかるような内容があるのか?」智也は凛の痩せた横顔を見ながら、何度も

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第7話

    「凛さん、何を見ていらっしゃるんですか?」「今、あっちから誰かに見られていた気がします」「え?」と理恵がそちらを見たが、人影はなかった。「もうエレベーターに乗ったみたいです」と凛は言った。「エレベーターって、あっちの?」理恵が指差すと、凛は頷いた。それを見た理恵は、緊張した面持ちでゴクリと喉を鳴らした。あそこは社長専用のエレベーターなのだ。理恵のオフィスのドアの前に来ると、凛はドアプレートに、「人事部ヴァイスプレジデント」と書かれているのを目にした。昇進したんだ。凛はにっこり笑って言った。「中村さん、御昇進おめでとうございます」「ありがとうございます」

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第6話

    「それで?彼に、私と離婚するように言ったの?」凛の問い返しは、柚葉の痛いところを正確に突いていた。この2週間、柚葉は何度もそれとなく話を振っていた。でも、智也は離婚するそぶりを見せない。それどころか、今まで通り、いえ、今まで以上に優しくしてくる。まるで自分が不倫相手みたいじゃない。愛されていない方が、邪魔者。よく言ったものだ。もともとは、凛の方が、自分と智也の間に割り込んできたのだ。大学の頃、智也はあんなに自分を愛してくれていた。それは誰の目にも明らかだったのに。それが、留学のことで喧嘩したのがきっかけで、智也がどこの馬の骨とも分からないような女と結婚するなんて、思って

  • 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚   第5話

    「先生、どうしてか聞かないんですか?」凛は涙を拭うと、杏をソファに座らせ、お水を取りに行った。杏が言った。「智也から聞いたわ。子供のことで喧嘩して、昨夜は帰ってこなかったって。彼はまだ子供を欲しがらないの?」凛は首を振った。「今回は、私が欲しくないんです。彼は私に仕事を辞めて妊活に専念して、家で専業主婦をしろって言うんです」「私より考えが古いわね!」杏は腹が立って仕方がなかった。「あの男は出世して偉くなったから、あなたを見下してるの?よくもまあそんな態度がとれるわね。プロジェクトが発表されたら、どれだけの人があなたに会いたがると思ってるの。私の夫が手塩にかけた愛弟子を、使用

続きを読む
無料で面白い小説を探して読んでみましょう
GoodNovel アプリで人気小説に無料で!お好きな本をダウンロードして、いつでもどこでも読みましょう!
アプリで無料で本を読む
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status