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第三十六話

Penulis: 麻木香豆
last update Terakhir Diperbarui: 2025-12-08 08:53:52

 シックスナインは、あの日の車内で古田と初めてやってからというもの寧人のお気に入りになってしまった。気づけば積極的に求めるほどだ。

 そんな変化に一護はどこかざらつくような不信感を抱いていた。あれほど性に無頓着だった寧人が、こんなふうに淫らに慣れていくなんて――と。

 二人は横に倒れ、互いの身体を口で探る。

 一護は背の低い寧人に合わせて身体を縮め気味だ。寧人は一護をあいしながら言う。

「ごめん、やりにくい?」

「うん、ちょっとね」

「じゃあ僕は足の指触ってる。一護の」

「くすぐったいって」

 一護は寧人の足の親指をいじりながら、ふいに観察した。

「寧人、足の指の毛めっちゃ濃い。他は薄いのに、膝から下だけモジャモジャ」

「変だろ……つかくすぐったい。一護はツルツル……剃ってんの?」

「脱毛。すっきり」

「痛い?」

「慣れれば、痛くない。セックスも」

 寧人はついつい吹き出した。

「そこでその例え出す?」

「ねぇ、しようよ」

「口じゃダメなの?」

「嫌。寧人の入れてほしいの……」

 それでも一護は寧人の足の親指を揉み続け、妙に落ち着かない指先だった。

「だってさ、あの穴に入れるんだろ?」

「そこしかないじゃん」

「僕、大腸カメラやったことあって……嫌な思いしかしなかった」

 一護の手つきが急に強くなる。土踏まずのツボを容赦なく押してきた。

「いでででっ!」

「そういうの言うと、一気にロマンス消えるの」

「お前だって痛いって言ってたじゃん」

「……まぁ痛いよ。でもその先あるでしょ、ってこと」

「だったら余計やらない」

 一護はぷいっと体を起こし、ストンと距離を作った。

「一護……?」

「なんでさ」

 寧人も起き上がり、一護の頬をそっと撫でる。

 真剣な、それでいて照れが隠せない目で言う。

「僕、自分が痛かったことは相手にやんない。相手が痛い思いすることも、しない」

「寧人……」

 一護の顔は複雑にゆがむ。嬉しさか寂しさか、そのどちらもだ。

 そして言葉の代わりに、一護はすっとパンツを履き、パジャマを着はじめた。

「ちょ、ちょっと。もう少し……」

「寝る。おやすみ」

「ねぇ、一護。不満ある?」

 布団を頭までかぶって、一護は叫ぶ。

「もう飽きたの! ペッティング!」

「飽きた……」

「あなたが何も知らないから付き合ってたの! もう嫌なの!」

「ああああ……」

 寧人は
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