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第308話
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幼なじみに裏切られた私、離婚したら大物に猛アタックされた！ 第308話
「何だって？隼人は手を引いて知らん顔するのかしら？」神谷夫人の反応に、ことははびっくりした。この反応、どうも理解できないなあ。「まったく！」神谷夫人は腹立たしげにスマホを取り出しながら言った。「女性を労わることも知らないんだから、だからいつまで経っても相手ができんのよ」「？？？」ことはの瞳が、さらに大きく見開かれた。神谷夫人は電話をかけながらことはに言った。「あんな男を甘やかしちゃダメよ。使う時は使わなきゃ。遠慮したり、それによって関係が不平等になるなんて思わないで。これが男として当然の務めなのよ。もしもし、隼人。一体どういうつもりなの？篠原さんには会社経営の経験なんてないのに、どうしてもっと助けてあげないの？」「いつからそんな冷酷になったの？一方ではあなたの会社で働かせておいて、もう一方では会社を経営させて、篠原さんを過労死させたいの？」ことはは思わず息を呑んだ。神谷夫人はまるで別人のようになっている。反応する間もなく、神谷夫人はスマホをことはに渡して優しく言った。「隼人から話があるそうよ」ことはは気を取り直し、スマホを受け取って耳に当てた。「神谷社長」隼人は怪訝そうな声で言った。「俺の母さんに告げ口でもしたのか」「していません……」「頑張れ、もっと俺の悪口を言えば、母さんはお前を贔屓してくれるぞ」「違います、私は……」ことはが言い終わらないうちに、隼人は電話を切った。神谷夫人は状況を見て尋ねた。「切られたの？」ことはは「はい」と答えた。「このバカ息子、さっきわざとあなたのことを罵ったんじゃないの？」「いいえ」「誤魔化さないで、全部わかってるわ。あの子は昔からクズみたいな性格で、あなたの前では少しはマシになってるかと思ってたけど、結局いつも通りなのよね。後で慎之助にぶん殴らせてやる」神谷夫人は怒りをぶちまけた後、再に穏やかな表情に戻った。「さあ、まずは食事にしましょう。心配しないで、私がついているから」ことはの頭はまだぼんやりし出した。食事を終えて初めて、ことはは加恋がわざとこの食事を神谷夫人と二人きりで取らせるように仕組んだのに気づいた。ただ肝心なのは、この食事を通じて、ことはと神谷夫人は仲良くなったってことだ。むしろ関係が良好になったほどだ。レストランを出ると、神谷
幼なじみに裏切られた私、離婚したら大物に猛アタックされた！ 第307話
典明は信じなかった。「ありえない、君が無能なだけだ！」弁護士が立ち上がった。「では、もっと有能な弁護士を探してこの裁判をやってください」「行かせるものか、出て行くんじゃない！」典明は強化ガラスを両手で叩いたが、どうしても弁護士を呼び戻せなかった。そして次の瞬間、ことはが目の前に現れた。典明は再び激昂し、「この卑怯者が！」と言い放った。ことはは典明のことをただのピエロだとしか思わず、落ち着いて椅子に腰を下ろしたまま言った。「もう叫んでも無駄よ。父さんは一生ここに閉じ込められて、死ぬのを待つしかないの」典明は座り込み、顔の筋肉をこわばらせ、怨念に満ちた視線でことはを飲み込もうとした。「たとえ俺がここで老い死んだとしても、篠原家のものは一切君には渡さない！」典明は自分の息子を信じているからだ。「そう？」ことははカバンから株式譲渡書を取り出した。「これが誰から渡されたか知ってる？」典明はじっと見つめると、すぐに崩れ落ちた。「誰だ！」「父さんの大事な息子よ」「ありえない！」涼介に自信を持っていた典明は、これほど早く裏切られるとは思わなかった。「これはきっと偽物だ」ことはは何も言わず、代わりにスマホを取り出した。「ほら、東凌ホールディングスはすぐに社名変更するわ」典明はほぼ顔全体をガラスに押し付け、そして再び暴れ始めた。「これは俺のものだ、下劣な女め。もし触れたら、たとえ幽霊になっても君を許さないからな」ことはは冷たい笑みを浮かべた。「心配しないで、幽霊になったら私の肉親が最初に許さないから」典明は体を震わせ、椅子から崩れ落ち、眉間には恐怖が滲み始めた。死ななくても、いずれここで死ぬまで拷問される。死ねば、あの世で典明を待っている人たちがいる。典明の反応に満足したことはは、何も言わずに立ち去った。東凌ホールディングスは確かに会社名を変更している最中で、本来は面倒な手続きだが、隼人がついている。会社については、ことはは暫くの間碩真に代行させる。これまでの経験を生かせられて、最適な人選だからだ。涼介が株式譲渡書をことはに渡した時、まだこの事でことはを引き留めようとしたが、涼介はことはに冷たく拒絶された後、傷心してその日に帝都を離れた。篠原家の別荘も没収され、寧々は家から追い出された。最初は東雲家に助けを求めたが
幼なじみに裏切られた私、離婚したら大物に猛アタックされた！ 第306話
次の瞬間、ことはは胸のボタンから小型カメラを引き抜き、「ほら、これが証拠よ」と言い放った。その小さなカメラを見た典明の顔が徐々に青ざめていった。「ことは！」ことはは典明の動きを読んでいたようにサッと立ち上がり、典明の奪おうとする手をかわした。「やるからには万全な準備をしないとね」話している間に碩真も身に着けていた小型カメラを外し、ことはに渡した。「まさか……」典明は信じられない様子だった。「まさかも何も、さっき篠原さんが言った通り、万全の準備で来たんです」慎吾が釘を刺す。「だから典明さん、全てを今自白すれば子供たちの将来は守られます。自白しますか？それとも警察に引き渡されて取り調べを受けますか？」「あ、その時には篠原家は完全に崩壊してますけどね」「これは弱者いじめよ！」佐奈江はヒステリックに叫んだ。「ことは、あなたに良心はないの？誰があなたをここまで育てたと思ってるの？これが私たちへの恩返しのつもり？」それを聞いたゆきは鼻で笑った。「よくそんなことが言えますね。みなさんがことはの肉親を殺した時、良心なんてあったんですか？」「良心があるならこんなことは言えませんよ」慎吾は腕組みしながら言った。「そうですね」ゆきはことはと隼人を見た。「証拠はもう手に入れましたので、直接警察署にいきましょう。ここで時間を無駄にする必要ないので」ことはも頷き、「うん、警察に渡そう」「ダメだ！」両腕を押さえられた涼介が焦った声で叫んだ。「ことは、そんなことをするな」「じゃあどうしろって言うの？」ことはは冷たい視線で涼介を見つめた。「あなたは最初から全てを知っていながら、わざと隠して父さんの手伝いをしていたんでしょ？だから涼介、あなたにここで私に道徳を振りかざす資格なんてないわ！」涼介は体を震わせた。ことはがそこまで知っていたとは思ってもいなかったからだ。碩真はひそかに言った。「三人の命、それに狂った人が一人。僕の父親、近藤さん、それに篠原さんの肉親のお金を、篠原家は20年以上も横領してきました。そろそろ吐き出す時です」「連れていけ！」浩司の一声で、典明は連行された。典明が連行されそうになるのを見て、寧々はもがき始めた。「パパを連れて行っちゃダメ！あなたたちにはまだ完全な証拠もないし、こんなことしたら違法よ！ことは、あなた
幼なじみに裏切られた私、離婚したら大物に猛アタックされた！ 第305話
「このクソ女め！」典明は怒りに任せ、再び佐奈江に強烈な平手打ちを浴びせた。その時、お手伝いさんが走りながら叫んだ。「旦那様、旦那様、外に大勢の人が来ています」この混乱した様子に乗じてこっそり二階に上がった駿は、素手で二人のボディーガードを制圧し、ことはを部屋から解放した。ことはも予想外だった。「上がってくるとき、誰にも気づかれなかったの？」ことはは不思議そうに尋ねた。「今の典明さんは怒りで頭がいっぱいで、誰がいなくなったかなんて気にする余裕なんてないさ」駿は言った。「言っておくが、今夜の計画がこれほどまでに綿密に繋がっているとは、君も全部は教えてくれなかったな」そのせいで駿は最初から最後までドキドキしっぱなしだった。「全部話していたら、サプライズがなくなっちゃうでしょ」ことはは自信たっぷりに言った。「じゃあ、このスリリングな体験をくれたことに、感謝しないとな」「どういたしまして」二人は慌ただしく会話を終えて一階へ降りると、隼人が既に部下を引き連れて家の中に入ってきていた。ちょうど彰が典明を見つけた瞬間、彰は狂った獣のように飛びかかり、典明を床に押し倒して首を絞め始めた。「この野郎、絞め殺してやる、絞め殺すぞ！」と彰は叫んだ。典明は彰を見ると、恐怖で震えた。そのため、彰に飛びかかられた時、典明は反撃する余裕もなかった。今まさに窒息して死にそうになっている典明は、必死に床を叩いた。涼介がすぐさま典明の元へ寄ろうとしたが、隼人の部下に阻まれた。「パパ！パパ！」寧々が叫んだ。「典明、やめてよ、このままじゃあなた死んでしまうわ」佐奈江は泣き叫んだ。涼介は真っ赤な目で隼人を睨みつけ、「父さんに何かあったら、神谷社長も責任を取らされるぞ！」と吼えた。隼人は薄笑いした。「心配するな、篠原社長は死なないさ」典明が白目をむき始めた時、浩司は隼人の部下と共に駆けつけ、麻生先生も彰へ説得し始めた。まもなく、典明は息を整え、まるで地獄の淵をさまよったかのように感じた。ことははこの光景を眺めながら、ゆっくりと典明の元へ歩み寄った。「死にかける感じはどうだった、父さん？気持ちよかった？」ことはが問いかけた。典明は首を押さえ、猛然と顔を上げた。ことははしゃがみ込み、冷たい目で典明を見つめながら言った。「
幼なじみに裏切られた私、離婚したら大物に猛アタックされた！ 第304話
「え？そうだっけ？」佐奈江の反応は次第に鈍くなっていった。「私、本当に忘れてたわ」「たとえこの人が権威ある麻生先生だとしても、彼の言うことなんて信用できるの？」寧々は慎重に話に加わった。「そうよ、私たち麻生先生は親しくもないのに、突然家に来てこんな話をするなんて、明らかに揉め事を起こしに来てるんでしょ？」佐奈江はこの点を頑なに主張した。「それは、麦野先生が私の患者をだまして、もう少しで自殺させかけたからよ。私が麦野先生のことを突き止めたとき、彼は『自分には初恋の恋人が後ろ盾についている。もし私に手を出せばあなたは終わりだ』って言ってきたんだ。だから、初恋の恋人が誰なのか、どれだけ手強いのかを確かめに来たんだよ」と麻生先生は嘲るように言った。「初恋の人？」その言葉に典明は自分が浮気されたような感覚に襲われた。麻生先生は佐奈江のことを見た。寧々が素早く察すると、すぐに声を荒げた。「初恋の人って何よ、デタラメを言わないで」「ああ、違うのか？」麻生先生は薄笑いを浮かべ、「では、麦野先生がデタラメを言っているようだな。それなら、連れて帰るとしよう」そう言うと、麻生先生は手を振って合図し、背後にいたボディーガードに麦野先生を捕まえさせた。自分がまた連れて行かれそうになるのを見て、麦野先生は死ぬのも痛いのも怖がり、今度はしっかりと佐奈江の腕を掴んで言った。「佐奈江は私の初恋です。佐奈江は私の後ろ盾です！」この言葉に、典明と涼介は顔色を変えた。佐奈江は恐怖の表情を浮かべ、必死で麦野先生を振り払いながら罵った。「頭おかしいんじゃないの？誰があなたの初恋よ、早く離して！」暴行を受けた光景が脳裏から離れず、多くの非人道的な拷問さえあった。麦野先生は二度とあのようなことを経験したくなく、全てを吐き出した。「佐奈江、あなたはそんな風にできないはずだよ。私をここに連れてきたのはあなただ。毎年1億円払って仕事の面倒を見てくれて、寧々さんの精神科医もやらせてくれた」「普段あなたが気分が良くない時、いつも私が付き添ってたじゃないか？今私が困ってるのに、どうして見殺しにするんだ？麻生先生たちがどれだけ怖いのか知ってる？薬を注射されそうになったんだ」「愛してると何度も言ってたのに、これがあなたの愛し方なのか？」これらの言葉が典明の耳に入ると、彼
幼なじみに裏切られた私、離婚したら大物に猛アタックされた！ 第303話
この言葉を聞いて、涼介が最初に顔をこわばらせた。「父さん、ことはを誰と結婚させようとしているの？」そう聞かれた典明の口元が再び激しく震えた。この馬鹿者は今がどんな場面かわかっていないのか！典明は冷静さを保ちながら言った。「あいつらを片付けてからだ」涼介は上の階に連れて行かれそうなことはを複雑な眼差しで見つめ、今何を優先してすべきなのかを判断しなければならないと自分に言い聞かせた。碩真さんと俊光さんたちが済んだ後に戻ってきても遅くはない。そう考えた涼介はボディーガードに言った。「連れて行け」涼介が従順な様子を見て、典明は内心ほっとした。彼らが玄関に着き、外に出ようとした瞬間、麦野先生と麻生先生が立っているのが見えた。涼介は麻生先生を知らなかったが、麦野先生の顔には傷があり、恐怖に震えている様子が見て取れた。涼介を見つけると、麦野先生の表情には希望が浮かんだ。麦野先生は必死に助けを求めた。「涼介さん、早く私を助けてください、お願いします！」麦野先生の甲高い声はすぐにリビングまで響き渡った。しばらく放心状態だった佐奈江は、初恋の人の声を聞くと、すぐに立ち上がった。彼女は寧々と視線を合わせ、幻聴ではないことを確認した。もともとイライラしていた典明も玄関の騒ぎに気づき、顔を険しくした。「涼介、今度はまた何だ？」「佐奈江、助けて、助けてくれ」麦野先生が家の中に向かって叫んだ。しかしこの叫び声は、佐奈江の背筋を凍らせた。典明も麦野先生の声だと気づき、佐奈江を怪訝そうに見た。「あれは麦野先生の声だ。いつから麦野先生がそんなに親しくなった？」名前で呼び合う仲になったのか。普段麦野先生が篠原家に来る時は、常に「篠原夫人」と「篠原会長」と呼んでいたのに。「彼は……私とは……」佐奈江が言葉に詰まっていると、麦野先生が家の中に駆け込み、すぐに彼女のそばに走り寄った。「佐奈江、早く助けてくれ。このまま殴られ続けたら、私は死んでしまう」麦野先生は佐奈江の背後に隠れ、彼女の肩を掴んで自分の体を密着させた。そして、その一連の動作は自然で滑らかで、まるで何度も繰り返してきた親密な動作のようだった。典明の瞳孔が徐々に縮んでいく。寧々の表情も大きく変わり、慌てて前に出て麦野先生を引き離した。「麦野先生、何をしているんですか」
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