ログイン香織の生誕祭の企画がまとまった俺は、ヒロにLINEを送った。
──
俺:「香織の生誕祭、やる内容まとまった!」
俺:「明日、渋谷で会えない?」
ヒロ:「おけ。ハチ公前でいい?」
俺:「19時集合で」
ヒロ:「飲み代は任せた」
俺:「お前ほんとそればっかw」
──
翌日、渋谷の居酒屋でヒロと合流した。
「ファンの“声”を集めた動画を作りたいんだ。 香織に、これからもステージに立ちたいって思ってもらえるような――そんな動画を」
少し驚いた顔を見せたヒロだったが、すぐに頷いた。
「いいじゃん、それ。俺がカメラ回すよ。で、奏が声かけていく感じで」
「え、俺が声かけるの? そういうのはヒロがやった方が……」
「何言ってんだよお前。人見知りなのは知ってるけど、これはお前の企画だろ。俺がやっても意味ねーんだよ。お前が言うからこそ、意味があるんだよ」
「……わかったよ。じゃあ、明日の現場から少しずつ声かけていこう」
「任せろ。全力で香織ちゃんに届けようぜ」
翌日、俺たちは少し早めに現場へ向かい、メッセージカードと動画企画への協力を呼びかけることにした。
(……俺とヒロ、なんか現場で浮いてないか? ちゃんと話、聞いてもらえるかな……)
その不安は、見事に的中した。
声をかけても目を逸らされたり、足早に立ち去られたり。ひそひそ話の視線も、ひりひりと痛い。
なかなか協力を得られないまま、時間だけが無情に過ぎていく。
そんなとき、会場近くで話している二人組のファンが目に入った。
(……もう、やるしかない)
意を決して、俺は声をかけた。
「す、すみません!!」
そのうちのひとりが、パッと顔を上げて、まっすぐこっちを見た。
「はい! あ、えっ、もしかして香織推しの奏さん? それに、あんじゅ推しのヒロさんじゃないですか?」
「えっ、なんで俺たちのこと知ってるんですか?」
「だって、いつもチェキ券めっちゃ持ってるし、最前列にいたら目立ちますよ。 それにヒロさん、地下界隈じゃちょっとした有名人ですから!」
(……マジかよ、ヒロ。ってことは、俺たち浮いてたんじゃなくて……普通に見られてたのか)
「おい奏、そんなことより……」
「あ、すみません! 香織の生誕祭で、ファンのメッセージカードを集めてて……。あと、“声”を集めた動画も作ってるんです。撮影に協力してくれる人を探してて……」
すると、そのファンは目を輝かせて言った。
「いいんですか!?お二人と話してみたいと思ってたんです!素敵な企画ですね。俺、他のオタともつながりあるんで、声かけておきますよ」
「助かります!お名前は……?」
「風花ほのか推しのトモって言います。よろしくお願いします!」
あまりにもスムーズに話が進んで、俺は一瞬言葉を失った。
そんな俺の肩を、ヒロが軽く叩く。
「心強いな、奏。お願いしようぜ」
「トモくん、LINE交換してもいいですか? 連絡取りたいし」
「もちろんです!」
トモのおかげで現場の空気は一気にやわらぎ、メッセージカードの回収も順調に進んだ。
動画撮影への協力者も集まり始め、俺たちのプロジェクトは静かに動き出した。
生誕祭準備の真っ只中、迎えた7月7日――LUMINAの七夕イベント当日。
バタバタしていた俺にとって、この日は一瞬だけ心を緩める癒しの時間だった。
物販列の横には、笹と色とりどりの短冊が飾られていた。
「るなと付き合えますように」
「あんじゅちゃんと仲良くなれますように」
「目指せ武道館!」
オタクたちの願いが、真剣な筆跡で並んでいる。
俺も、ふと足を止めて短冊を1枚取り、願いを込めた。
――「香織が、ずっと俺のアイドルでいてくれますように」
会場が暗転し、ライブ本番が始まる。
浴衣姿のLUMINAのメンバーたちがステージに登場する。
香織は、メンバーカラーの白い浴衣を身にまとっていた。
まるで月の光を纏ったかのようで、思わず見惚れてしまう。
ライブは熱気に包まれ、最高の盛り上がりのまま終演。
その余韻の中で、特典会が始まった。
香織の列に並んでいる間、俺のスマートウォッチが「心拍数上昇」の警告を出してくる。
(……いや、ほんとやばい。浴衣フェチの俺にこれは無理)
ようやく順番が来る。
「奏くん!」
いつものように明るく呼んでくれるその声に、心が揺れる。
「よ、よう……」
「浴衣、どうかな?」
「……すごく、似合ってるよ」
正直すぎる感想しか出てこない。
「感想それだけ? 奏くんってそういうとこ可愛いよね。すぐ照れるし」
「はぁー……?」
「ていうか、奏くんが書いてくれた短冊、読んだよ」
「……えっ!?」
「“香織がずっと俺のアイドルでいてくれますように”って。嬉しかった」
「なんでわかったの? 名前……書かなかったのに」
「わかるよ。……何年の付き合いだと思ってるの? ありがとう。
奏くんにそう思ってもらえるだけで、本当に嬉しいよ」
そう言って微笑んだ香織の目が、ふと、ほんの一瞬だけ伏せられる。
その瞳の奥に宿った小さな影が、なぜか胸の奥に引っかかったまま――七夕イベントは幕を閉じた。
イベント後、ヒロとファミレスに入って、動画編集を進めつつ今後の話をする。
「今日のイベントも最高だったな、奏〜。あんじゅの浴衣、見た? エロすぎた」
「お前ほんと……ファミレスで“エロい”とか言うなよ。香織の生誕祭の話しようぜ」
「つまんねぇの。お前だって浴衣見て興奮して、スマートウォッチ鳴らしてたじゃん」
「……なんで知ってんだよ」
「列すぐ隣だったからな。バッチリ見てた」
ヒロは笑いながらコーラを注いで戻ってきた。
「でもさ、トモのおかげでカードも動画も集まってきたろ?」
「うん、形にはなってきた。けど……なんか、まだ物足りない」
「十分感動できる出来になってると思うけどな」
そのとき、俺のスマホにLUMINAのYouTubeチャンネルから通知が届いた。
「……あ、LUMINA、大型フェスに出るんだ。すげぇ。あんじゅって進行うまいよな〜」
「それだよ……ヒロ!!」
「ん? どれ?」
「……ああして、こうして……」
「…………あーーー! なるほど! 天才だな、俺の奏は。わかった、任せろ」
「マジで? いいの?」
「俺しかいないだろ、そういう役。立場的にも、距離感的にもな」
その瞬間、ふたりの間にバチッと火花が散るような感覚が走った。
香織の生誕祭。
準備は、いよいよクライマックスへと進んでいく――。
「ゴホッ、ゴホッ……」「香織ちゃん、大丈夫?」「るい……お見舞い、ありがとう」「親友でしょ。そんなの当たり前だよ」今、LUMINAは大型フェスに向けたセンター&立ち位置を決める人気投票の真っ最中。……そんなタイミングで、私はまさかの夏風邪を引いてしまった。明らかに不利。推しが出ない現場に来るオタクなんて、ほとんどいないのに。「ねえ、香織ちゃん、聞いてる?」「ん? なに?」「いやだから、奏っちがさ……」「え、どうしたの? 奏くんが? ゴホゴホッ」「風邪引いてるのに、大声出しちゃダメ〜!」「いやさ、奏っち。香織ちゃんいないのに、ライブ毎回来てるんだよ」「えっ、奏くんが……?」「こないだ全員握手会もあったんだけど……」そう――とある握手会の日。「うわぁ、香織ちゃんいないのに参加って……まさか浮気?」「ははっ、まさか〜」(でも……奏っち、目が笑ってなかった)「人気投票、今香織休んでるだろ? 俺1人が頑張ってもどうにもならないのかもしれないけど……。香織の悲しい顔、もう見たくないんだ」るいの言葉が、頭の中で繰り返された。(そんなこと……言ってくれる人、他にいないよ……)胸の奥が、熱くなる。嬉しいのか、苦しいのか、自分でもわからなかった。「……って話なんだけど、香織ちゃん、顔すごい赤いけど大丈夫?」「な、なんでもないよ。熱ぶり返したかな」「えっ、じゃあ私、帰ったほうが――」「…&helli
カレー作りが終わり、夜になった。キャンプファイヤーの炎がパチパチと音を立てる中、みんなで輪になってカレーを食べていた。もちろん、俺の隣には――キャンプファイヤーの炎より暑苦しい、いや、情熱的な男・ヒロがいた。「おい、奏」「ん?」ヒロが俺の肩を小突いてくる。「香織ちゃん、さっきからちょっと落ち込んでる感じだったけど……なんかあった?」「え? いや、特には。でも、ちょっと元気ないかもな……」「にしても、このカレーうめぇな」「特に“香織がといだ米”、最高すぎだろ」「いや、俺も米担当だし」「ヒロ、夢を壊すな……」和やかな笑いがこぼれる中、香織は少し離れた場所で、静かにスプーンを動かしていた。「はぁ……」その小さなため息を聞きつけたのは、輪から少し離れた木陰に座っていたあんじゅだった。「香織、どうしたの?」あんじゅが声をかける。リーダーとしての気配りが自然とにじみ出る、穏やかな口調。「……なんでもないよ」香織はスプーンを止め、俯きがちに答える。「また、アイドル辞めようとしてたときみたいに、自分で抱え込んでない?」あんじゅの言葉に、香織はピクリと肩を揺らす。「……」火の粉がふわりと宙に舞う。沈黙が、ほんの少しだけ、場の空気を張りつめさせた。ほのかが怪我をして、奏が救護室に付き添って行った。私も心配で、少し時間を置いてから向かった。ドアの前に立つと、中からかすかに話し声が聞こえた。ほのかの声と――奏の声。「香織ちゃんじゃなくて、私じゃダメですか?」その瞬間、息が止まりそうになった。「それって……推し変してほしいってこと?」「そ、そうじゃなくて。アイドルとファンじゃなく、1人の女の子として……」冗談だよね。そう思いたかった。でも、耳に届く声は真剣だった。「冗談じゃないです! 奏さんって、オタクとしてもすごいけど……1人の人として、素敵だなって思ってます」胸がぎゅっと締めつけられた。ほのかが奏くんを、そんなふうに見ていたなんて――。私たちはアイドル。ファンと恋なんて、許されるはずがない。でも、1人の女の子として見たら、それはきっと自然な感情だ。……それでも。なんで、よりによって奏くんなの。私のファンでいてくれて、どんなときも支えてくれて、あの笑顔で、私の全部を肯定してくれた、あの人を。胸の奥がざわつい
私は、アイドルが大好きだった。小さな頃からテレビの前で踊って、笑っていた。アイドルが歌って、笑って、誰かの心を照らすたび、「私もいつか、あんなふうになりたい」って──ずっと思ってた。夢が大きくなったのは、中学の頃。私も、誰かを笑顔にしたい。その想いは、自分の中で揺るぎないものになっていた。私は幼い頃からクラシックバレエを習っていて、ダンスには少しだけ自信があった。だからきっと、夢を叶えられるはずって信じてた。でも。いざ親に話したときの反応は、あまりにも冷たかった。「アイドル?そんなもの、将来性がないだろ。もっと現実を見なさい」──父の言葉は、まるで冷水みたいだった。それでも私は、諦めきれなかった。誰かの夢を照らす存在に、どうしてもなりたかった。高校に入り、バイトをいくつも掛け持ちした。制服のままコンビニへ直行して、帰るころには日付が変わっていた。自分で貯めたお金で、養成所に通いはじめた。ダンスはずっと得意だったけど、歌はどうしても弱かった。何度もオーディションを受けた。書類で落ちて、一次審査で落ちて、最終審査で落ちて。何度、もう無理かもって思ったか、分からない。でも──“誰かの希望になりたい”という気持ちだけは、誰にも、負けてないと思ってた。とある日の午後、公園の広場で、私はひとりダンスの練習をしていた。何度も何度も、同じ振り付けを繰り返す。バイトを掛け持ちしながら、わずかな時間をぬって練習して。ボーカルトレーニングにも通って。それでも、オーディションにはなかなか受からない。努力は、すぐには報われないってわかってるけど──それでも。足が止まった瞬間、視界がぼやけた。気づけば、涙が頬をつたっていた。
生誕祭のあとも、変わらず香織のオタクとして、LUMINAの現場に通い続けていた。今日はショッピングモールでの外部イベント。イベントの最後には、メンバー全員との握手会が行われることになっていた。香織以外のメンバーには、まだ顔を覚えられていない気がして、ちょっと緊張する。最初に現れたのは、黒髪ロングでスタイル抜群、落ち着いた雰囲気のリーダー・黒瀬あんじゅ。まさに“頼れるお姉さん”という言葉がぴったりだ。「こないだの生誕祭はありがとな」と声をかけると、あんじゅは優しく笑った。「香織のためだし、ヒロくんに頼まれちゃったしね。素敵な生誕祭だったよ。……これからも、香織のことよろしくね」「こちらこそ、香織を支えてやってくれ。あと、ヒロもな」「あら、ヒロくんの扱いが軽くない?」と、くすっと笑う彼女にちょっと救われた気がした。続いて現れたのは、小柄で内気な雰囲気の風花ほのか。ステージ上では力強いダンスを見せる、メインダンサーだ。「こんにちは」と声をかけると、彼女はしばらく黙っていた。戸惑っていると、小さな声で「奏さん……」とつぶやく。「僕のこと知ってくれてたんだ、ありがとう」「そ、それは……」と言いかけた瞬間、スタッフが声を飛ばす。「お時間でーす!」「またね」と手を振ると、彼女は「あ……」と何か言いかけたまま、視線を落とした。次に現れたのは、金髪が目を引く元気な美少女・秋庭るい。LUMINAのメインボーカルだ。「あー!奏っちだー!香織からよく聞いてるよ!」「えっ、まじか。どんな話されてるか気になるな……」「それはヒミツ♪」と、いたずらっぽく笑う。「でもね、香織が言ってたよ。『奏くんって頼りになるオタクなんだよ』って。一緒に香織を支えていこうね、奏っち」「頼りになる……か。う
私は、地下アイドルLUMINAのセンター、白咲香織。昔よく一緒に遊んでいた男の子に、男の子だと勘違いされたのが悔しくて──それがきっかけで、小中学生の頃はモデルをしていた。でも、成長するにつれて需要は減り、仕事も激減。ちょうどその頃、両親が離婚して、私と妹・弟の3人は母に引き取られた。そんなある日、当時所属していたモデル事務所の社長が言った。「知り合いが地下アイドルの事務所を始めるんだけど、やってみないか? 興味があったら連絡してほしい」迷いはあったけれど、新しいことを始めたい気持ちが勝った。アイドルなんて自分にできるのか、わからなかったけど……勇気を出して電話をかけた。初めて事務所に足を運んだ日、社長の隣には一人の女の子がいた。「この子は黒瀬あんじゅ。香織ちゃんと同い年で、グループのリーダーをやってもらおうと思ってる」「香織ちゃん、よろしくね。黒瀬あんじゅです!」──これが、あんじゅとの出会いだった。そのあと、秋庭るい、風花ほのか、南雲つむぎが加入。最初は、観客が数人しかいないような、底辺地下アイドルだった。それでも、がむしゃらにレッスンして、必死で歌って、笑って、時には泣いた。気づけば、仲間と過ごす日々が宝物のようになっていた。そんなある日、ライブ後の特典会で、彼に出会った。「こんにちは。今日はありがとう……初めましてですね、僕は奏です」(あのとき、ずっと私を見てくれてた子……奏くん、なんだか懐かしい雰囲気を持ってる)「こんにちは! 来てくれてありがとう、奏くん!」「香織さんの歌、すごく良かったです。今日、友達に誘われて来たんですが……一目惚れしました」(えっ……そんなこと、初めて言われた……)「嬉しいなあ。そんなふうに言ってもらえると、すごく励みになるよ!」「これからも応援します。無理しないでくださいね」(やさしい……また来てくれたら嬉しいな)「ありがとう、奏くん。あなたの応援が何よりの力になるよ。次のライブも、待ってるね」──そして次のライブにも、彼は来てくれた。「こんにちは、香織さん! また来ちゃいました。あの日のパフォーマンスが忘れられなくて……。それに、“待ってるね”って言ってくれたのが、すごく嬉しくて」(パフォーマンスを褒めてくれて嬉しい。私は努力を見てもらえたんだ……)彼は、ライブのたび
香織の生誕祭が終わり、LUMINAの現場もしばらくお休み。仕事も夏季休暇に入ったので、俺は久しぶりに実家のある八王子へ帰省することにした。同じ都内といっても、帰るのは半年ぶりだ。「母さん、ただいまー」「おかえり奏。ごはん作って待ってたわよ」「ありがと。ちょうど腹減ってたし、助かる。荷物置いて着替えたら食べるわ」「はーい、ゆっくりしていってね」いつもの会話。少し懐かしい、実家の空気。自室がある2階に上がり、押し入れをがさごそと探る。「そういえば、この辺に……あった、あった」引っ張り出したのは、幼少期のアルバムだった。ページをめくると、記憶の中で引っかかっていたあの一枚が目に飛び込んできた。「あー……この子だ。俺のこと“かなくん”って呼んでた……あの“男の子”」手にした写真を持って、リビングに降りる。「ねえ母さん、この男の子って誰だったっけ?」「うん? ああ、この子ね……男の子じゃないのよ。女の子。髪短くて活発だったから、あんたが勘違いしてたのも無理ないけどね」「えっ……じゃあ、名前は?」「うーん……相当昔のことだし、ちょっと待ってね……」「しっかりしてくれよ、母さん」「言うじゃないの。でも、なんで急にこの子のこと思い出したの?」なんて答えようかと考えていると、母がふと思い出したように口を開く。「……あっ、思い出した。香織ちゃんよ。その子。白咲香織ちゃん」(──やっぱり……香織だったのか)「その子がどうかしたの?」「いや、なんでもない。ただの偶然。……せっかく作ってくれたごはん、冷めちゃう前に食べよ。いただきます」食後、久しぶりにのんびりと実家の空気に身を任せていたら、スマホにLINEの通知が入った。──ヒロ:「奏、今なにしてる?」俺:「実家だけど」ヒロ:「じゃあ新宿で飲まね? 八王子だろ? 中央線一本じゃん」(……めんどくせぇ。でも、生誕祭で世話になったしな)俺:「わかった。今から出る。アルタ前18時な」ヒロ:「了解!」────ということで、中央線に揺られて、新宿まで向かうことに。アルタ前で待っていると、「奏ー!」「ヒロ。誘ったくせに来るの遅いな」「すまんすまん。じゃ、いつものとこ行こうぜ」居酒屋までの道中、ヒロの“最近調子いい”っていう自慢話を聞き流しながら、俺の頭の中は、あのアルバムに