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第65話……潜航

last update تاريخ النشر: 2026-06-10 15:44:48

 巨艦「ハンニバル」の現在位置から、およそ六光秒。

 その虚空に、音もなく一本の潜望鏡が浮かび上がっていた。

 否。

 正確には、浮かび上がったように「見えた」だけである。

 新型海賊船「モリガン」は依然として位相空間の膜を半ば残したまま、現実宇宙の縁に爪をかけている。

 巡洋艦級の船体で異次元潜航を維持するなど、本来なら狂気の沙汰であった。

 だが、その狂気を形にしたのが、いまこの艦である。

 潜望鏡越しに戦場を覗いていたツーシームは、細く息を漏らした。

「……へぇ、やるじゃないか。あの巨艦」

 視界の彼方では、「ハンニバル」が帝国軍の集中砲火を正面から受け止めていた。

 幾百もの火線。無数の誘導弾。

 それらをものともせず進む艦影は、もはや艦艇というより移動する要塞であった。

 隣に控えるトロスト技師が、乾いた笑みを浮かべる。頬はこけ、指先はかすかに震えていたが、声音だけは妙に弾んでいた。

「そりゃあそうでしょう。あの艦の主機関、燃料はエーテルじゃない。小型とはいえ、人工重力井戸――要するに、ブラックホールです」

「本物かい?」

「ええ。本物ですとも。生きた地球文明の超兵器。帝国
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