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私の彼氏はちょっとだけ愛がオモい。
私の彼氏はちょっとだけ愛がオモい。
Author: 美木 猫助

私の彼氏はちょっとだけ心配性。:001

last update Petsa ng paglalathala: 2026-06-14 16:17:35

 高校一年生から二年間勤めたコンビニのバイトを下田しもだ葵依あおいは、高校三年生の五月、ゴールデンウィーク最終日をもって円満退職を果たす。

 二十二時。終業時間になりバックヤードへ行くと、店長の田中から「みんなからだよ」とプレゼントが入った袋をもらった。バイト仲間たち全員からの寄せ書きが入っていて『一緒に働けて楽しかった』『遊びにきてね』『寂しい』などと書いてある。ガラスドームに入ったプリザーブドフラワーと「受験勉強を頑張って」という気持ちが込められた本革製のペンケースも贈られた。うるっと涙が出てきて、葵依は慌てて手の甲で涙を拭った。

「葵依ちゃん」

『葵依ちゃん』と呼ぶ声がニチャッとした響きを含んでいたのだが、葵依は気付く事なくパイプ椅子に座ったまま自分を見上げている田中に笑顔で返した。

「実は葵依ちゃんに僕個人から贈り物があるんだよ」

「えっ? 店長からですか?」

 バイト仲間からもらったプレゼントに店長も参加しているものだと思っていた葵依は驚いて目を丸くする。

 葵依はプレゼントが入った袋を持ち上げると「僕もそのプレゼントに参加しているけど僕個人から別にあるんだ」と言われ葵依は手を下ろした。

「でも、悪いです。皆さんから沢山貰ったのに店長からも別に貰うなんて」

「いや、葵依ちゃんにはさ……テスト期間中でも出てくれたり連勤させてしまったりさ……申し訳ないと思っていたんだよ。感謝の気持ちを伝えたいんだ」

「ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです」

「じゃあさ、今週の金曜うちに」

 自分が住むアパートへ来てもらおうと金曜日にと提案すると葵依から遮られた。

「学校帰り寄りますね」

「そりゃ困る」

「え?」とキョトンとする。

 田中はワザとらしく咳をして誤魔化してからズリ落ちた眼鏡のブリッジを人差し指でクイっと上げた。店に来てもらったら自分の計画が台無しだ。

「みんなには内緒なんだよ。ほら僕個人が葵依ちゃんに贈ったって知られたらさ、嫉妬とかやっかみがあるじゃん?」

「そうなんですか?」

「そうだよ」

「うーん……わかりました! でも今週の金曜日はLHRロングホームルームなので再来週はダメですか?」

「再来週の金曜でも大丈夫だよ! あとで位置情報送るね」

「はい!」

 ペコッと頭を下げたので、男のしてやったりというイヤラシイ笑みを見る事はなかった。家に上がってもらって、あれよあれよと美味しく頂こう。美味しく、というのは葵依を手籠にするという意味である。

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