Beranda / BL / 血と束縛と / 第6話(9)

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第6話(9)

Penulis: 北川とも
last update Tanggal publikasi: 2025-11-18 14:00:37

 そんな思いもあり、トラブルについて深く尋ねようとしない和彦の態度に、賢吾は満足したようだった。

 自分の知らないところで、今こうしていても、長嶺組内部ではさまざまな事情が蠢き、大事なことが決まっているのだろうなと、ぼんやりと和彦は考える。

 このとき絶妙のタイミングで賢吾に言われた。

「――なんでも俺が決めてやる、というわけにはいかないからな」

 ハッとして隣を見ると、賢吾はニヤニヤと笑っていた。

「えっ……?」

「クリニックのスタッフのことだ。昼間働くスタッフについては、お前がいいと思う人間を雇えばいい。組絡みの仕事を手伝うスタッフのほうは、堅気の人間より、組の紐付きの人間のほうが使い勝手がいいだろうから、こちらで探してみる。どうだ?」

 組に関することは、賢吾に一任したほうが無難だ。和彦が承諾すると、賢吾は満足そうに頷く。

 あとは、細々とした決め事を報告をしてしまうと、和彦の用事は終わりだ。

 テーブルの上を片付けようとすると、すかさずその手を賢吾に掴まれ
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  • 血と束縛と   第26話(13)

     普段から組員が出入りし、何かと世話を焼いてくれているため、自分が知らないところで他人が部屋に入ることに抵抗はない。ただ和彦が驚いたのは、賢吾の周到さだ。つい数日前に食事をしたときは、何も言っていなかったし、匂わせもしていなかった。「それはかまわないが……、どれぐらい時間がかかるんだ? 夕方ぐらいまでなら、ぼくは外で適当に時間を潰しているが」「残念だな。ガラスやドアをひょいっと入れ替えるだけじゃねーんだ。バルコニーに面した窓には特殊ガラスを入れるが、これが、厚みがあってな。今のサッシにハマらないそうなんだ。だから、サッシそのものを替える。ちょっとした改装工事だな」「……つまり、一日じゃ終わらないということか」 肯定するように賢吾の息遣いが笑った。 賢吾が決めたのなら、和彦は文句を言うつもりはない。和彦の身の安全のためだというなら、なおさらだ。ここまでしなければならない状況というのは怖くもあるが、逃げられないのなら、受け入れるしかない。 連休が始まったばかりだというのに慌ただしいなと、そっとため息をつこうとしたとき、さらに賢吾が驚くべき発言をした。「工事の間、本宅に泊まればいいと言いたいところだが、せっかくの連休中、いつもと変わり映えのしない過ごし方もつまらんだろう。だから、オヤジに話をつけて、別荘を押さえた。冬に一度、先生も行ったことがある別荘だ。今は気候もいいから、のんびりと過ごせるぞ」 和彦は目を丸くして、まじまじと賢吾の顔を見つめる。やや呆れつつ、こう言っていた。「人の貴重な休みを、なんだと思ってるんだ。なんでもかんでも、ぼくに相談もなく勝手に決めて……」「気に食わんか?」「忙しいあんたが、ぼくのためにあれこれ気を回してくれることは、ありがたいと思う。だけど、少しぐらいはこっちの都合を考えてもいいだろ」「生憎、俺は仕事があって、動けん。だからこそ先生の都合を考えて、三田村を護衛につけるんだが、それも嫌か?」 あっ、と声を洩らした和彦は、次の瞬間には顔をしかめる。「――……喜ぶ顔も

  • 血と束縛と   第26話(12)

     そう皮肉を言い置いて、鷹津がリビングを出ていく。他人のことは言えないだろうと思いながら、鷹津の背を見送った和彦だが、ふと、あることを思い出して、慌ててあとを追いかける。しかし、鷹津の姿は玄関のドアの向こうに消えるところだった。 靴を履いて追うべきだろうかと逡巡している間に、すっかりタイミングを失う。和彦は軽く息を吐き出すと、くしゃくしゃと自分の髪を掻き乱す。 思い出したのは、実に些細なことなのだ。 何日か前に、賢吾と一緒に夕方の街を歩いているとき、和彦は鷹津を見かけた気がした。鷹津も、こちらを見ていたように感じ、ただそのことを確認したかっただけだ。見間違いかもしれないし、仮に鷹津がいたとしても、何か問題があるわけではない。 次に会ったとき、覚えていれば聞けばいい。その程度のことだ。 忘れている確率のほうが遥かに高いだろうが、と心の中で呟いて、和彦はキッチンに向かう。 南郷は苦手だが、だからといって花に罪はない。可憐な花に相応しい花瓶で活けてやろうと思いながら、ワイシャツの袖を捲くり上げた。**** 寝返りを打った拍子に、指先に硬い感触が触れた。和彦は夢うつつの状態で、これは一体なんだろうかと、緩慢に思考を働かせる。 いよいよ連休に突入するということで、夜更かしをする気満々だった和彦は、ハードカバーのミステリー小説をベッドに持ち込んだのだ。眠くてたまらなくなったにもかかわらず、続きが気になって仕方なく、目を擦りながら読んでいたのだが、本を閉じた記憶がない。 指先に触れる感触は、その読みかけの本だと見当をつけ、安心したところで再び意識を手放そうとする。が、叶わなかった。 前触れもなく、まばゆい光が瞼を通して目に突き刺さる。和彦は低く呻き声を洩らすと、もぞりと身じろいで布団に頭まで潜り込む。一体何事かと、目を閉じたまま考えたが、心当たりは限られる。 睡眠を中断された不満を小声で洩らし、渋々布団から顔を出す。薄暗かった室内は、すべてのカーテンを開けられたおかげで、清々しい陽射しが満ちていた。「――連休初日にふさわしく、今日は天気がいいぞ、先生。五月晴れという

  • 血と束縛と   第26話(11)

     玄関のドアが閉まる音を聞いて、一気に緊張が緩む。和彦は安堵の吐息を洩らすと、次に鷹津を睨みつけた。「南郷を挑発してどうするんだ」「俺が相手をしなかったら、あいつはネチネチとお前に絡み続けたぞ」「だからといって――……」 鷹津と長嶺組は、反目しつつも利用し合うという関係を築いているが、だからといって同じ手法が他の組織に通じるとは限らない。特に、手駒が多いであろう総和会には。南郷のあの余裕は、たかが一介の刑事など恐れていないという自信の表れだ。だからこそ、その南郷を挑発したあとのことを考えると、和彦は空恐ろしくなるのだ。 和彦の側にやってきた鷹津が顔を覗き込んでくる。揶揄するようにこう声をかけてきた。「なんだ。俺の心配をしてくれてるのか?」「……あんたを狂犬だと、よく言ったものだと感心していたんだ。誰彼かまわず噛みつく」 鷹津が左手で頬に触れてこようとしたので、その手を邪険に振り払う。すかさずその手を握り締められた。「――やけにあの男と会話が弾んでいたな」 思いがけない鷹津の発言に、和彦は眼差し同様、刺々しい声を発する。「それは、皮肉で言っているのか?」「いや、本気で言っている。俺の知らないところで、南郷と何かあったみたいだな。傍で聞いていて、ムカついた」 南郷との間に、『何か』は確かにあった。だが、口には出せない。理由の一つは単純で、盗聴器を通して、長嶺組の男たちに知られるからだ。その男たちは、賢吾に隠し事は絶対にしない。すべて、報告される。 そして今、和彦の目の前にいるのは、蛇蝎の片割れである、鷹津だ。 すでに複数の男たちと同時に関係を持っている身でありながら、いまさら体に触れられたぐらい、と鷹津に言われたくなかった。事実ではあるが、きっと自分は屈辱感に苛まれると、和彦には予測できる。 さらに、鷹津が南郷への敵意を募らせる状況を恐れてもいた。 揉め事を恐れて二人を部屋に上げたのだが、予想以上に険悪さが増した状況に、和彦は後悔を噛み締める。南郷が気を悪くしようが、迂闊に花束など受け取るべきではなかったのだ

  • 血と束縛と   第26話(10)

     ふっとそんなことを考えた和彦は、患者の治療をしたあと、仮眠室で一泊したときの出来事を思い返す。あのとき、守光の行動に倣うように顔に薄布をかけられ、それだけで和彦は抵抗を封じられたのだ。「――俺のわからない話を、いつまで続けるつもりだ」 唐突に鷹津が、不機嫌そうな声を発する。我に返った和彦は、このときばかりは鷹津に感謝していた。南郷のペースに巻き込まれる寸前だった。「番犬は、おとなしく飼い主の足元に身を伏せているもんだろ。会話に割って入るのは、無作法だぜ、鷹津さん」「佐伯がイライラしているのがわかったから、その番犬としては知らん顔はできないんだ。あとで、気が利かないと叱られたくない」 鷹津の言葉に納得したように南郷は頷き、意味ありげに和彦を一瞥した。「俺はすっかり、先生に嫌われているようだからな」「ほお。つまり、それだけのことをしたということか?」「先生に聞いてみたらどうだ」 南郷の発言に動揺しかけた和彦を救ったのは、電話の呼出し音だった。反射的に立ち上がった和彦はリビングを出ると、ダイニングで電話に出る。『先生、大丈夫ですか?』 切迫した声の主は、いつも和彦の護衛についている長嶺組の組員だ。ついさきほどまでマンションの前で、第二遊撃隊の男たちと睨み合っていた。和彦がマンションに入ったからといって、彼らの仕事はまだ終わっていないのだ。 和彦はリビングの気配をうかがいつつ、小声で尋ねた。「鷹津がいるから、ぼくのほうは心配いらない。それより、まだマンションの前に?」『遊撃隊の連中は、車で待機しています。こちらは、マンションから少し離れた場所に車を移動させました。何かあれば、すぐにでも部屋に駆けつけられます』「いや……、何もないだろう。向こうはあくまで、見舞いだと言っているんだ。今晩はもう、護衛の仕事はいい」 仮に何かあったとしても、盗聴器を通して危険は伝わる――とは、さすがに口には出せない。とにかく和彦は、心配されるような事態にはならないと確信があった。「何があったか、組長に報告だけはしておいてくれ」 そう頼んで電話を切った

  • 血と束縛と   第26話(9)

    「俺が凄んだところで、屁でもないだろ。総和会第二遊撃隊を率いる、南郷ともあろう男が」「……長嶺組長だけでなく、うちのオヤジさんにとっても大事な先生を、警察の人間が守っているんだ。何事かと気にもなるってもんだ」「そういうお前は、どうしてこいつにつきまとう。大事な『オヤジさん』の側についていなくていいのか?」 口元に笑みを湛えたまま、南郷は凄むように鷹津に視線を定める。傍で見ていて息を詰めてしまうほど、冷たく鋭い目だった。 二人の男のただならぬ雰囲気が伝わったのか、それとも、そんな男たちの間で戸惑っている和彦の様子から何か感じたのか、南郷の護衛についている男たちだけではなく、和彦の護衛として、鷹津の車の背後からついてきていた長嶺組の男たちが、互いに威嚇し合うように静かに距離を縮めていた。 友好的とは言いがたい空気を無視できなくなった和彦は、ため息交じりに南郷に提案する。「――まだ話したいなら、場所を移動してもらえませんか。ここで立ち話をされると、迷惑になります」「だったら、先生の部屋に。前にも言ったが、長嶺組長がオンナを住まわせている部屋を見てみたい」 こういう流れになるのは予測していた。和彦がそっと目配せすると、心得たように鷹津も応じた。「コーヒーぐらい出せよ」** ソファに腰掛けた二人の前にコーヒーを出した和彦は、少し迷ってから、鷹津との間に一人分のスペースを空けて隣に腰掛ける。 足を組んだ南郷は、ソファの背もたれに腕をかけ、賢吾の好みで統一されたリビングを見回す。一方の鷹津は、そんな南郷を不躾なほど観察していた。刑事としての習性なのかもしれない。「思った通り、長嶺組長は先生にいい暮らしをさせている。――金をかける価値のあるオンナ、ということだな」 この部屋に入れた時点で、事情を知る男たちが何を思うか、和彦は容易に想像できるし、覚悟もしている。明け透けすぎる南郷の言葉に、眉一つ動かさずにこう答えた。「堅気としてのぼくの人生を、めちゃくちゃにした対価だと思うようにしています。どれだけ金をかけるかは、あの人の自由です」 この

  • 血と束縛と   第26話(8)

     車から降りた和彦は、警戒しながら南郷に歩み寄る。マンション前に花束を持って立っていて、和彦以外の人間を待っているとは考えにくい。知らん顔をして通りすぎるなど不可能だった。 それに――、和彦よりも先に状況を把握したのだろう。鷹津までもが歩道脇に車を停めて降り、険のある視線を前方に向ける。目を凝らしてみてみると、街灯の明かりを避けるようにして車が一台停まっていた。「大丈夫だ。あれは、うちの隊の人間だ。佐伯先生の見舞いに行くと言ったら、何を心配したんだか、ついてきたんだ」 声を荒らげているわけでもないのに、南郷の声は夜の空気を震わせる。和彦はハッとして、再び南郷を見た。「……見舞いって、なんのことですか……?」「襲われたと聞いた」「誰がそんなことを言ったのか知りませんが、ぼくはこの通り、なんともありません」 和彦は、南郷が持っている花束を渡されたくない一心で、冷ややかに言い放つ。一方の南郷は、和彦の反応を楽しんでいるかのように口元を緩めた。 夜ということもあり、人通りはほとんどないのだが、それでも、マンションを出入りする人間に、明らかに堅気ではない男と話している場面を見られたくない。 和彦が半ば強引に会話を打ち切ろうとしたところで、嫌なタイミングで南郷が切り出した。「――長嶺組の動きが慌ただしいという報告だけは、すぐに耳に入っていたんだ。だが、一体何が起こったのか、総和会になかなか情報が上がってこなかった。見舞いが遅くなったのは、そういう理由からだ」「長嶺組と総和会の情報のやり取りについては、ぼくにはなんとも……。連絡役になっているのは、中嶋くんでは?」「もちろん、長嶺組の本宅に中嶋を向かわせた。が、何も知らされず、聞いたところで答えをはぐらかされたようだ」 それなのに南郷は、襲撃の件も、その場に和彦がいたという事実も把握している。どうやって知ったのか、と考えてまっさきに頭に浮かんだのは、秦の存在だ。秦と中嶋の関係を思えば、情報のやり取りが皆無とも考えにくい。 しかし、和彦の心の内を読んだように、すかさず南郷に言われ

  • 血と束縛と   第16話(54)

     内奥の感触を確認するように慎重にまさぐり、襞と粘膜を指の腹で擦られる。 両足を開かれ、中嶋が腰を割り込ませてくる。高ぶった欲望同士を擦りつけながら、二人はしっかりと両手を握り合った。 もどかしい快感に息を弾ませて、唇を吸い合い、緩やかに舌を絡める。「先生、犯していいですか?」 口づけの合間に、荒い息の下、中嶋がそう囁いてくる。和彦はすかさず囁き返した。「君が秦に犯されたあとなら……」 中嶋は目を丸くしたあと、笑った。普通の青年の顔をしながら、眼差しは〈女〉のものとなっている。秦に抱かれる

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-02
  • 血と束縛と   第17話(3)

     意地悪をするどころか、されているのかもしれない。三田村の口元がわずかに緩んだのを見て、和彦はあっさりと降参した。「三田村、頼みがある」「なんでも言ってくれ」「――あんたの虎を撫でたい。……クリスマスのとき以来、触れてないんだ」 一瞬のうちに三田村の顔つきが変わり、手荒く腕を掴まれて引き寄せられる。和彦を抱き締めてくる腕の力は、骨が軋みそうなほど強く、言葉よりも雄弁に三田村の気持ちを物語っていた。** 内奥に三田村の指が挿入され、和彦は甘い呻き声を洩らして腰を揺らす

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-02
  • 血と束縛と   第16話(41)

     デスクを並べてシーツを敷いただけの簡易ベッドの上に、腹から血を流した男が横たえられていた。顔は青ざめ、呼吸は速いものの、意識は取り戻している。 和彦は指示を出しながら手術着を着込み、洗面器に手を突っ込んで消毒する。その間に、頼んでおいた医療用品などが運び込まれてきた。 生理食塩水で血を洗い落とし、傷口をよく検分する。「ひどいな……」 顔をしかめた和彦は、思わず洩らす。「――大怪我なんですか?」 部屋に残っている組員に声をかけられ、顔を上げる。思わず洩らした一言で不安を煽ってしまったらしい

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-02
  • 血と束縛と   第16話(40)

    『脇腹を刺されたということです。刺された本人が、自分で車を運転して事務所に戻ってきたということなんですが……』 事情を聞く前に刺された本人は気を失い、傷口もひどい有り様だということで、和彦を呼ぶことになったらしい。 患者の様子を聞きながら和彦は、治療に必要なものを組員に告げる。 自分のクリニックだからといって、納入された薬や医療用品を自由に持ち出せるわけではない。むしろ、すべての在庫を管理して、常に詳細な数を把握しておく必要がある。表向きは健全なクリニックとしては、これは当然の処理だ。一方で、組関係の仕事のために、帳簿に載ら

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-02
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