それを聞いて、優希は眉をひそめた。「それはどういう意味かしら?」「人生って、何が起こるか分からないものよ」皐月は肩をすくめた。「つまり、彼の心の病はとても安定しているの。このままいけば、これから普通に生活するのに全く問題はないっていうこと」それを聞いて、優希は黙り込んだ。皐月はバッグからファイルを取り出して、優希の前に置いた。優希はちらりとファイルに目を落としてから、すぐに皐月に視線を戻した。「これは何?」「新井社長が私のところで受けたカウンセリングの詳細な記録よ」皐月は彼女を見つめた。「私はプロのカウンセラーなの。新井社長のカウンセリング中は記録のために撮影が必要だったし、専門の助手もずっと付き添っていたわ。だから、私のことを敵だなんて思わないでほしい。むしろ私のおかげであなたの旦那さんは助かっているのだから」「でも、これは患者さんの個人情報でしょ」優希は皐月を見つめた。「それを私に渡すなんてルール違反よ。哲也に知られたら、訴えられてもおかしくないわ」「正直に言うと、こんなルール違反は初めてなの。なんだか緊張しちゃうわ」皐月はそう言って茶目っ気たっぷりにウインクした。「だから、私を暴いたりしないでね!」それを聞いて優希は何も言わず、皐月をじっと観察するように見つめた。今日の皐月の態度は、5年前に会った時とはまるで別人みたいだった。優希はこれまで、皐月が哲也に下心を持っているとずっと思っていた。哲也の記憶喪失に彼女が関わっているのではないかと疑ったことさえあった。でも後に、皐月が颯介と付き合っていたと知ってからは、自分の考えすぎだったのかもしれないと思い直していた。優希は彼女をじっと見つめて尋ねた。「どうしてこんなことをするの?」「私が幸せになれなかったから、あなたと新井社長が誤解ですれ違うのを見ていられなかったのかも」皐月は唇を結んでため息をついた。「新井社長はあなたのことをすごく愛している。あなたもこの5年間、彼のことを忘れられずにいたんでしょ。あの時、N国で言った言葉は、私が話を盛っただけ。あなたが去った後、新井社長は激怒して、私の首を絞めようとしたのよ」それを聞いて優希はきょとんとした顔になった。「あなたが泣きながら去った直後、新井社長はすぐに後悔してたわ。でもあの時の彼が抱えていた心の病は
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