青山は苦笑した。「会う勇気がなかったんだ」小夜はひどく意外に思い、胸が締め付けられるようだった。「……私の方が、あなたに謝らなきゃいけないのに」会う勇気がないのは、小夜の方のはずだ。青山は静かに首を振った。「ささよ、もう過去のことだ」小夜がまだ躊躇っているのを見て、青山は不意に提案した。「君は今、大変な状況だろう。落ち着いたら、僕が手配して海外へ行かせてあげる。それでいいかい?」……海外へ。小夜の心は、その言葉に揺れた。小夜の状況は確かに良くない。圭介が目を覚ますかどうか、目を覚ましたらどうなるか分からない。身分証も、すべて取り上げられてしまった。小夜には、これらのしがらみから逃れられる安全な場所が必要だった。あの日、芽衣も言っていた。青山のチームは天野家と提携しており、国家規模のプロジェクトを手掛けるほどの実力がある、と。青山なら、圭介側を牽制し、離婚を成立させて海外へ発つ機会を作ってくれるかもしれない。小夜は尋ねた。「どれくらい、かかるの?」「はっきりとは言えない。でも、そう長くはかからないはずだ」小夜は、この機会を掴むことに決めた。「それなら、お願い。いくつか、取りに行きたいものがあるの」小夜は自身の邸宅「徒花」へ向かった。珠季から任されたデザインの仕事が、この間の監禁のせいで、ずっと滞っていた。六、七月の国際ファッションウィークまで、もう三ヶ月もない。国際的な舞台で作品を発表できる、またとない機会だ。時間は差し迫っており、これ以上遅らせるわけにはいかない。スーツケースはまだ押さえられていて、原稿は手元にない。しかし幸い、クラウドにバックアップを取る習慣があった。邸宅にはパソコンや機材、多くの材料があり、完全に一からやり直せる。徒花に入り、部屋中に溢れる絵やデザイン画、サンプルを見て、青山は思わず感慨深げに言った。「ささよの好みは、やはり変わらないな」青山は、小夜の情熱をずっと知っていたのだ。小夜は、淡く微笑んだ。小夜は二階へ上がってパソコン、ペンタブ、画材などを手に取り、予備のスマホも見つけ出すと、青山と共に、向かいの邸宅へと向かった。……青山の家の内装は、彼自身の人柄を表すかのように、温かみのある暖色系で統一されており、そこに
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