※【ピロトークを聴きながら】の作中で、どうして遅れたかの理由を、稜くんは適当に言って誤魔化しましたが、出がけのアレとコレせいで遅刻したのでしたw*** 楽屋にて――。「結局、遅刻しちゃったね。どうして不幸って、こうも続いちゃうんだろ」 あのあとタクシーはすぐに見つからず(ほら最初から呼んでおけばと、文句を言い続けた克巳さん)遅刻した上に衣装選びに時間がかかっちゃって、どれを着ようか迷ってた俺に、克巳さんは奥の方から、赤い色地の派手なTシャツを、押し付けるように手渡してくれたんだ。 喜んで着たのはいいんだけど――洋服にタグが付いていたから克巳さんに切ってもらったのに、タグの片方が中にある網目に引っかかり、ずっとチクチクしっぱなし。 微妙すぎるトコなので、指でその場所を差すこともできず、口で言うしかなかった。「稜……それよりもどこなんだ?」「えっと、もっと右っ。もうちょっと奥の方」「むうぅ……」「あぁん、もう! 引っかかってる、早くしてよ」 畳の上に寝そべった俺に克巳さんが覆いかぶさり、背中から手を伸ばして、必死に取ろうとしてくれてるんだけど、触れる気配すらないのはどうしてなんだよ?「……じっとしててくれ、動かれるとズレる」「だって克巳さんの手の動きが微妙すぎて、うずうずするんだ。しょうがないだろ」「微妙って……こんなに一生懸命、頑張っているというのに」「ワザとでしょ。俺だけイって自分がイけてないから、ワザと感じさせてるんだ」「なにを言ってるんだ、稜」 顔だけ振り向いて文句を言ったら、渋い表情を浮かべて唇を尖らせる。 ホントは、すっごく克巳さんとひとつになりたかったのに時間がないせいで、スキンシップのみで終わらせてあげたんだぞ。 しかも、克巳さんがさっきから探してる場所――。「だって文句を言いたいよ。右って言ってるのに、さっきから左側ばかり触ってるじゃん」「…………」「うわっ、なにその大きなため息。間違ってるの、克巳さんなのに」 俺は最初から右側って言ってた。向かい合わせじゃないのに、このミスはかなり珍しいかも。 それとも、やっぱりわざと――?「脱いだほうが早い」「え~っ、これ着るのすっげぇ苦労したっていうのに、今さら脱ぐのはイヤだ」「じゃあ、別の衣装を着ればいい」「イヤだよ。克巳さんがこれ似合うって言ってくれた
Last Updated : 2025-07-27 Read more