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第16話(12)

작가: 北川とも
last update 게시일: 2026-02-12 11:00:08

 靴を脱いだ和彦は、熱くなっている頬を手荒く撫でてから、唇を手の甲で何度も拭う。頬以上に、たっぷり秦に貪られた唇が燃えそうに熱かった。

 その秦は、本宅まで和彦を送り届けて、すぐに帰ってしまった。賢吾に睨まれるのが怖いと、冗談っぽく言っていたが、案外本音なのかもしれない。本当に慌しく裏口から出ていってしまったのだ。

 出迎えてくれた組員に促されて廊下を歩きながら和彦は、今度は唇に指を押し当てる。

 秦との口づけは、麻薬めいた中毒性がある。それはきっと、秦という男の向こうに、中嶋の姿を見てしまうからだ。一方の秦も、和彦の向こうに同じ姿を見ているはずだ。

 倒錯的な欲情に魅せられる反面、厄介なことに巻き込まれたくはないと、理性が警鐘を鳴らしている。

 中嶋と距離を取るべきなのかもしれないと思った。本来であれば中嶋は、もう和彦と会う必要のない人間だ。

 誘いさえ断ってしまえば、関係など簡単に断てるだろう。漠然とそんなことを考えていた和彦の目に、廊下の向こうから歩いてくる男たちの姿が飛び込んで
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    「ぼくのオトコの感触だ……」 意識しないまま和彦が呟くと、三田村は口づけで応えてくれる。緩やかに舌を絡め合い、もっと互いを味わいたいとばかりに唾液を交わし、啜り合う。そんな口づけを交わす間にも、和彦の内奥は猛った欲望の感触に馴染み、強い刺激を欲し始める。 腰をわずかに揺らすと、それだけですべてを察した三田村が律動を刻み始める。内奥の襞と粘膜を擦り上げられ、鳥肌が立つほど和彦は感じてしまう。「うっ、ううっ、うあっ――」「……俺は、こういう先生も見たかった。首筋まで真っ赤に染めて、感じている先生を……」 三田村の唇が首筋に這わされ、ささやかな愛撫の感触にすら狂わされる。三田村に触れられる悦びで、体が蕩けてしまいそうだ。 うわ言のように三田村を呼び続けながら、必死に背にすがりつく。そんな和彦を惜しみなく三田村は愛してくれる。淫らな蠕動を繰り返す内奥の深い場所にまで欲望を突き込まれ、呻き声を洩らして和彦は感じる。「あっ、あっ、三田村っ……。奥、すご、い……」「ああ。よく締まってる。先生が、俺を欲しがっている」 狙い澄ましたように最奥を突き上げられ、そのたびに痺れるような法悦が溢れ出し、全身に行き渡っていく。内奥と欲望を擦りつけ合うだけの行為だというのに、気がつけば和彦は、二度目の絶頂を迎え、今度は自分だけではなく、三田村の下腹部も濡らしていた。 このとき恥知らずな嬌声を上げていたかもしれないが、惑乱した和彦には気にかける余裕もなく、ただすがるように三田村を見つめるのが精一杯だった。誘われたように三田村が目元に唇を押し当て、滲んでいた涙を吸い取ってくれる。 熱い吐息がこめかみに触れ、反射的に和彦は目を閉じる。内奥深くで三田村の欲望が爆ぜ、たっぷりの精を注ぎ込まれる。満たされる悦びに、浸っていた。 三田村の筋肉の強張りが一気に解ける。全身の血がめまぐるしく駆け回っているのか、熱い体から汗が噴き出し、流れ落ちていく。まるで、何かから解放されたようだなと思いながら、和彦は優しく三田村の体を撫でてい

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     かつてペンションだったという建物は、そこかしこにその名残りがある。食器の数だけではなく、そもそも部屋数が多いし、風呂も大きい。立地的には、ほどよく隠れ家と呼べる場所にあり、総和会が人を集めるのに利用しているのも、こういったところが使い勝手がいいためだろう。「……悪党の巣窟、か……」 さきほど三田村から聞いた言葉を、無意識に和彦も呟く。賢吾のことなので、三田村に話しながら、自虐とも皮肉ともとれる表情を浮かべていたかもしれない。 和彦に気づいた中嶋が、皿をテーブルに置いて声をかけてきた。「先生、コーヒーを飲みませんか? コーヒー豆を買ってきたんですよ」「だったら、ぼくが淹れる。君はその間に、自分の仕事をしてくれ」 脱いだジャケットをイスにかけると、さっそく和彦はキッチンに入り、コーヒーメーカーを使ってコーヒーを淹れる。 三田村の分はサーバーに残し、コーヒーを注いだ二つのカップを持ってダイニングに戻ると、中嶋は皿にお菓子を出しているところだった。「準備がいいな」「先生のお世話係ですからね、俺は。なんでも言ってください」 和彦は苦笑を洩らしてテーブルにつく。「適当でいいよ。手を抜かれたなんて、誰かに告げ口するつもりはないから」「さらりと怖いこと言わないでくださいよ、先生」 中嶋が隣に座り、同じタイミングでコーヒーを啜る。ほっと吐息を洩らした和彦は、高い天井を見上げた。「なんだか、寂しいな。こんなに広い別荘を、三人で使うなんて」「だからといって、総和会と長嶺組からぞろぞろと護衛を引き連れて、泊まる気にもなれないでしょう?」「まあ……。贅沢を言ってるな。みんな気をつかってくれたことなのに」「同じぐらい、思惑はあると思いますよ」 中嶋から意味ありげな流し目を寄越され、和彦は顔をしかめる。「……何か、聞いているのか?」「長嶺組長からは何も。さっき言ったとおり、別荘に滞在する間のお世話係を頼まれただけです。それと南郷さんからは、先

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  • 血と束縛と   第17話(23)

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  • 血と束縛と   第17話(45)

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  • 血と束縛と   第17話(35)

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  • 血と束縛と   第17話(27)

     思案するように声を洩らした守光が、和彦の傍らに歩み寄ってきたかと思うと、なんの前触れもなくあごを掬い上げた。「……確かに、少し顔色が悪い。やはり、賢吾や千尋と一緒に過ごすほうがよかったようだ」「いえっ、そんなことはありません。お忙しい立場なのに、気にかけていただいて感謝しています」「次に会うときは、もっと打ち解けてくれ」 守光の指がさりげなくあごの下をくすぐる。極度の緊張を強いられた和彦が動けないでいる間に、守光は座敷を出て、廊下にいる南郷に話しかけた。二人の会話が和彦の耳に届く。「――南郷、先生を

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