インターハイ予選の優勝から、一週間が過ぎた。 常盤台高校のグラウンドを囲むフェンスの外側に、見慣れない大人の姿が増え始めていた。 梅雨前の湿った空気の中、バックネット裏や校門の近くに、スーツ姿の男たちが立っている。保護者でも、学校関係者でもない。彼らは練習全体を見るでもなく、ピッチ中央でボールを受ける背番号十の動きだけを追っていた。 天根蓮の名前は、県予選で初めて知られたわけではない。 ドイツ帰りの一年生。 欧州の育成組織にいた選手。 まだプロ契約を結んでいない、進路の空いた才能。 その噂だけなら、以前から一部の関係者の間にあった。 ただ、噂は噂でしかない。 公式戦の強度で、どこまでやれるのか。 日本の高校サッカーの中で、どれだけ違いを作れるのか。 八十分を通して、判断と出力を落とさずに戦えるのか。 インターハイ予選は、その答えになった。 しかも、答えは噂通りではなく、噂以上だった。 準決勝で、蓮は守備の組織をずらした。 決勝で、蓮は前回敗れた相手の対策を受けても、試合の中心に立ち続けた。 パスを出すだけではない。受け直し、背負い、逃がし、必要なら自分で詰める。 一年生が、県予選の準決勝と決勝で、それをやった。 見に来る人間が増えるのは、自然なことだった。 練習中、蓮がトラップするたび、フェンスの外で誰かが手元の資料へ何かを書き込む。蓮が右足で外へ置き、左足で逆へ通すたび、視線が一斉に動く。 確認ではない。評価の更新だった。 だが、その視線に最初に反応したのは、蓮ではなく、周囲の部員たちだった。 いつもより強く見せようとして、余計な仕掛けを選ぶ選手がいる。 逆に、視線を意識して一歩目が遅れる選手もいる。 普段なら簡単につなぐ場面で、必要以上に前を向こうとして奪われる。 練習の空気に、少しだけ余計な音が混じり始めていた。「おい、今日もいるぞ」 「どこのスカウトだろ」 「見
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-12 อ่านเพิ่มเติม