八角さん、新婚ですから自制してください!
グズグズ現代甘々スピード婚結婚してから恋愛CEO・社長・御曹司身代わり
聴力を取り戻したその日、紗寧は、自分が恋人に裏切られていたことを知った。
浮気男とその愛人に平手打ちを食らわせたあと、彼女は逃げ出した姉の代わりに、噂の「八角家の次男」へ嫁ぐことをあっさり承諾する。
世間では皆こう囁いていた。
蒼士は重病を患い、気性も荒く冷酷非情――
嫁いだところで、生き地獄のような結婚生活になる、と。
だが新婚初夜。
男は彼女の細い腰を掴み、床まで届く窓へ押しつけながら低く囁いた。
「俺が『ダメ』って、誰に聞いた?」
その後の三日間。
脚が震えて立てなくなるほど甘く翻弄されて、紗寧はようやく理解した。
――噂ほど当てにならないものはないのだと。
後日、パーティー会場では元カレが目を赤くしながら復縁を迫ってきた。
蒼士は悠然と錠剤を口へ放り込み、奥歯でバキバキと噛み砕く。
「横川、ナイフを。ちょうど発作が来た。今なら人を殺しても罪にならないだろ?」
――誰もが彼を狂気じみた危険な男だと恐れていた。
けれど彼女だけは知っている。
その凶暴な激情の奥にあるのが、自分だけへ向けられた灼けつくような愛だということを。